推しカップル達の青春
いちくんはレベルアップした。傍点とルビのスキルを手に入れた。
☆★☆ 4月20日(木)放課後 ☆★☆
「木下くん。具合はどう?」
桐生くんが心配そうにぼくを正面から覗き込んできた。なんか照れる。まさかの薔薇?
「あぁ。命に別状はなく、後遺症も残らないそうだ」
「「「えぇえッ!?」」」
あれ?冗談が通じなかった?あ、冗談のキレが良すぎて驚いたのかも? エッヘン。
「そんな大事だったの?」
あれ? なんか違う。ぼくが思ってた反応と。ちょっと困惑。
「まぁ、無理さえしなければ、大体余命80年と言う宣告は受けたがな」
バシッ イテッ
「ちょっと一哉ふざけすぎ!」
ヒトミにツッコミを入れられた。おお、付き合ってからの初ツッコミ。これが愛か。愛というものなのか!
「「かずや?」」
あれ? 知らなかった? ぼくの名前は『木下一哉』つまり、キノシタカズヤなんだぜ?
「へー?ほー?」
長谷川がウザい。ミミズクなのかフクロウなのかはっきりしろ! ミミズクなら『へー』フクロウなら『ほー』だ。
「うん」
は? ヒトミが頷いた。この二人。長谷川とヒトミ。これで通じるの? 通じ合ってるの? 流石ズットモ。
「木下くん。もしかして? もしかしてなの?」
あ~ぼくの最推しの霧島さんも5W1H頑張ろうね。ぼく国語得意だからいつか教えてあげよう。そうしよう。
「木下くん。おめでとう!」
あれ? 桐生くんが祝福を? ぼく、まだ何も言って無いよね?
「やったじゃん瞳~」
みんな?5W1Hの勉強しようね? いや、何が言いたいかは分かってるけどさ~。もう。
「マキ、色々と、ありがとう」
「気にすんなし。中1の時から知って「あーーーー!!」」
「マキ待って、それまだ言ってない! 自分で言いたいからダメーー!!」
なんだ? 中1の時?へへへ。まぁ、楽しみにしておくか。ぼくには後、80年の余命がある。無理をしなければ。
それにしても。ヒトミかわいい。もうラブ。あれ? ぼくってチョロくね? まさに予想外。
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☆★☆ 4月21日(金)昼休み ☆★☆
「ねぇ、霧島~」
「ん? なに? 長谷川さん」
「あんたと桐生のなれそめとか聞きたいんだけど、いい?」
「近衛くん、言っちゃおっか?」
「そうだね。木下くんと草野さんにも聞いて欲しいし、別にいいよ」
ん? 長谷川が、ぼくの推しカップルと随分仲良くなってる気がするんだけど…… どう言う事? あの長谷川が? え? なんで?
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「僕がサチと出会ったのは、小学3年生の始業式だったんだ」
「その日は全然お話しできなかったんだよね」
「僕は興味深々だったけどさ」
あ、なんか始まってる。よし、聞こう。集中集中。
「始業式の次の日、給食の時間にね、サチはピーマンを残したんだ。僕たちのクラスでは絶対にお残しは許しまへんでーって決まりがあったけど、サチは転校生だったから知らなかったんだ」
「あ、アタシたちのクラスもそうだったね?瞳」
「うんうん。あの頃はブロッコリーが苦手だった」
へー。ブロッコリー苦手、と。心のメモに上書き保存。
「それを近衛くんがわたしの箸で食べたの~」
「わお。間接キッスじゃん」Bý長谷川
「えへへ」
「サチ。話が進まないよ?」
「ごめんちゃい」
なにこれ? めっちゃ可愛い。あ、ヒトミに悪いから……あれ? 悪いのか? ぼく悪人?
「そこから仲良しになったのって一気だよね? 毎日給食の苦手おかず、お互い協力して攻略したんだ」
「近衛くんには苦手なものなかったけどね~」
「あと、交換ノートって言うちょっと恥ずかしいこともしてた」
「え? 交換ノートって何?」Bý長谷川
「うん。聞いたこと無いね」Býヒトミ
「え~と、黒板の板書をノートにするでしょ? そのノートを僕とサチでたまに交換するんだ。僕のノートにサチが、サチのノートに僕が書くんだ。好きな子のノートに書くんだから、お互い手を抜けないでしょ?」
「へー? そんなことしたら、そのノートって宝物じゃん?」Bý長谷川
「わかる~? 流石長谷川さん。そのノート、ホントに宝物になってるんだよ~。ぜ~ったいに捨てられないし、今でもたまに読み返してるもん。ね~?」
「うん。僕も大事に取ってあるよ」
交換ノートか……青春だな。いいね。いいな。
「そのノートのね、隅っことか、板書の最後にとか、近衛くんが『好き』とか『愛してる』とか、ちっちゃな字で書いてくれたりしてね。えへへ」
「ちょっとサチ違うでしょ? 『字きれいだね』とか『楽しいね』とかでしょ? 捏造禁止!」
「えへへへ~」
なんと!? 感想コメント送り合える? あれ? 交換日記のほうが効率よくね? いや、青春にはこれでいい。このほうがいい。絶対。
「あ、誕生日!」
「あ~サチの誕生日知ってから、ちょっと僕本気で好きになっちゃったんだよね。なんでだろ?」
ふむふむ。
仲良しの、誕生日を知ると、好きになる。5・7・5的には字余りだな。ってどうでもいい。
「なんかイベント?」Bý長谷川
「えへへ~ニヤニヤ」
「サチ?『ニヤニヤ』ってわざわざ言葉にしなくていいんだからね?」
「え~? だって言いたいじゃん?」
グハッ! 可愛すぎる! これって惚れない男いんの? え? この子が? 転校先でいじめられたってなに? そこの人達ってバカの集団? 鈍感団?
「ちょっと一哉?」
あれ、ヒトミに睨まれた。え?なんか好き。睨むヒトミ。なにこの感情。
「近衛くんがね、わたしの似顔絵を描いてくれたんだ~。1ヶ月もかかったんだって」
「まぁ、3回も描き直したからね」
「カラーだよ」
「「え、カラー?」」
すごっ。桐生くん凄っ。
「画像ある?写真とか撮ってない? 見たい。見たい。今じゃなくてもいいから絶対見たい!」bý長谷川
「あるよ~」
ごそごそ。スマホをポチポチ。
「見て~~!」
「「「!!!」」」
すげー。桐生くん。絵上手い。ぼくは漫画、アニメ、ラノベ等たくさんの絵を見てきたけれど、全く遜色無い出来だ。
「え、これって、小学3年生が描いた絵?」bý長谷川
「そうなんだよ~。うちのお母さんなんか、もう泣きながら近衛くんに電話して、凄くすごーく感謝しちゃってたんだ~」
「最近サチの家に行ったら、額縁に入れられて居間に飾られてた……」
「桐生くんって、なんか……マジで好物件だったんだね」bý長谷川
~~~続く!~~~




