「うぎゃ~! ゴリっといった! 今レンタカーゴリっといった!」
私は5年くらい前、足を骨折した時に仕事を3ヶ月くらい休んで自宅療養していた。
手術が終わり退院し、ギプスも外して強化プラスチックとスポンジとわずかな金具で出来た補装具を装着した頃、レンタカーを借りて田舎に帰り、引きこもりの友人に遊ばなくなったいらないゲームソフトやゲーム機を届けに行った。
しかしレンタカーに乗る前にゲーム機などを入れた袋を思いっ切り「バコッ!」っとドアノブ辺りにぶつけてしまい、(あわわわわ! やっちまった! 傷ついてないか?)
と叫びだしそうになってしまった。
レンタカーを借りる際は当然保険にも入っていたが、修理期間中はレンタカーの貸し借りが出来ないため使用中扱いになってしまい、その車の使用料を請求されてしまうのだ。その辺のルールは店にもよるが。
ちなみに田舎の友人の家にレンタカーを長時間停めていたら近所の人に見張られていたらしく、かなり不審な目で見られた。東京ナンバーの不審なレンタカーが長時間停まっていたらたしかに不審に思う···のか?その辺は私はよくわからん。
返却する時は内心冷や汗かいていたが平常心を装いなにくわぬ顔で返した。幸い修理代とかは請求されなかった。日頃の行いがよかったのだろう。みなさんレンタカーの取り扱いには充分注意して下さい。
それから二年後、私の初エッセイから一年後のことである。私はまた同じレンタカーの店で車を借りて田舎に返り、3日間が過ぎ東京に帰るため3日目の深夜に田舎近くの一般道を走っていた。車通りの少ない丁字路を右折し踏切をわたる所であった。
(ま~あこんな所でこんな時間にパトカーが見張っているはずないだろうけどきちっと一時停止しなくちゃな!)
と思いながら一時停止の後に右折したらなんとほんとにパトカーがいた! 軽くびびってちゃんと一時停止したよな?と数秒前の自分の運転のことを思いながら車を進めた。
なんとかパトカーに追っかけられるようなこともなく、高速に入り安全運転で深夜の高速道路を走って小雨の降る明け方二時頃にパーキングエリアに入りレンタカーを停車させる時であった。
駐車場の先にはちょうど車のフロント部分がぶつかりそうな所に歩道があった。私はなぜかギリギリに停めようとしてしまい、もうちょい前、もうちょい前と車を微速前進させていたら「ゴリッ! ゴリッ! 」と破滅の音が聞こえて車のフロント部分を歩道にこすってしまった······。
「うぎゃ~! ゴリっといった! 今レンタカーゴリっといった!」
私はかなり慌てて車から降り、小雨の降る中レンタカーのフロント部分を触って傷を確かめようとしたが暗くてよくわからずじまいだった。
もうテンションダダ下がりである。もうダメだ、おしまいだぁ······。私は虚ろな瞳のまま、死にそうなほどテンション下がったまま車を運転し東京に戻り、レンタカーを返しに店に戻った。
内心滝汗かいたまま前と同じようにレンタカーを返却した。レンタカー屋さんのチェックは1分あるかないかだったと思う。長くて短い緊張の1分であった。なんと今回も修理代は請求されなかった。
日頃の行いがよかったんだろう。
みなさんレンタカーの長時間運転と深夜の一時停止には充分注意して下さい。