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僕は黒竜見守り隊  作者: 五山 蓮太
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2.グロ耐性はもっていないです。

※微グロ注意。


声の聞こえた方へ向かうと見えない壁は無いようで難なく歩いて行けた。


「にしても…場違いな恰好だよなぁ。」

情けない事に今の僕の恰好はぼさぼさの頭にプライベート用の黒縁メガネ、部屋着である上下黒のスウェットに素足という綺麗な建物を歩くにはかなり抵抗のある情けない恰好だった。

床に埋め込まれた赤い宝石のように輝く床は流石に良心が痛み何となく避けて通る。


小さく聞こえる声を頼りに歩きながら周りも見てみるが、本当に綺麗な所だ。

大理石の様に磨かれた綺麗な石で作られた建物の様々な所にドラゴンモチーフの装飾品や細工が施されていてまるで美術館の様。


美しい作品に見惚れながら着いたところは大広間。

中央通路を挟んで両脇には教会とかで見るような長椅子があり、通路の先には巨大なドラゴンの石像が大きく翼を広げ天を仰いでいる。

壁と天井に備えられたステンドグラスから月明りだろうか光が差し込み、明かりの無い広間に石像の周りだけが輝いて見える。


「わぁ…なんて神々しい…。」


もしかしたらここはドラゴンを崇拝している教会とかなのだろうか?

にしてはさっきのドラゴンへの扱いはおかしいな?



ドラゴンの石像の前で考え事をしていると、いつの間にか大柄な男が僕の隣に立っていた。

吃驚したが相変わらず僕の姿は見えていないのか、大柄な男は静かにドラゴンの石像を見ている。


「うわぁ…見事な鎧…って、背中から生えてるのって本物のドラゴンの羽??あ、尻尾もある。ほぁ~…すご。」


僕の事を認識していないのを良い事に僕はじっくりその男を観察する。


4,50歳代くらいだろうか?程よく皺の入った中年男性はまるで海外俳優の様に渋くカッコいい上に見えない鎧を着ていても分かる鍛え上げられた筋肉。

赤い瞳に濃い赤い髪、赤い髭が非現実的だが、金と赤の輝く鎧に良く似合う。

生えている翼や尻尾も燃えるような鮮やかな赤。金色のマントに腰には金色の剣。

まるで物語の英傑の様。


ド派手だが、ファンタジー色満載な姿に思わず興奮する。


特撮でも鎧は良く登場するが、そちらはやはり造り物。

技術は込められているんだろうけど、立ち回りの為に軽量化されている素材と違い、彼の鎧はどう見ても金属で出来ている。

しかもディテールも丁寧に作られている。



「ふぁ~…クオリティ凄いな…さっきの人の鎧も本物っぽくてすごかったけど、こっちの人のは贅を尽くしてるって感じ…だ?!」


じっくり鎧を見て改めて男の顔を見上げると、穏やかだった表情は一変、険しく恐ろしい表情になっていた。

(じっくり見ていたのがバレたのか?!)

思わずあとずさりすると、男は何かを像に向かって言っている。

憎悪を隠さないその表情は寒気がするほど恐ろしかった。


すると男は何かに気づいたのか後ろを振り向く。

僕もその方向を見ると若い男が一人、息を切らして男に向かって懸命に何かを叫んでいた。


大きな眼鏡を掛けたその姿はどことなく学者…という言葉に合いそうな白いローブの様な服装でローブの下から水色のトカゲのしっぽの様なものが見える、急いで走ってきた所為か肩辺りで切りそろえられた淡い水色の髪がボサボサだ。

何となく僕と似た陰キャかもしれない…と思いながら勝手に親近感をわかせ若い男を見るが、よく見ると整った顔立ちに眼鏡越しに見える綺麗な青い瞳は全て僕が持っていない美形要素にやっぱ彼は勝ち組なのかもしれない…。


暫く何かを話す二人。


冷静な赤い鎧の男とは対照的に顔を赤くし興奮した状態で叫ぶ若い男。

次の瞬間、冷静な顔をしていた男の顔が醜く歪む。


(あ…この顔…。)

あれだ、悪役…しかも救いの無い程の悪いキャラが見せる時の悪い顔。

特撮で見る演技の表情よりも恐ろしく見られていないというのが分かっていても逃げ出したくなる。

(この人って…ヤバい奴なのか?)


恐ろしさに距離りつつ観察していると、赤い鎧の男の言葉に力無く崩れ落ちる若い男。

追い打ちを掛ける様に腰に差していた豪華な剣を鞘から抜き、若い男の首元へ突きつける男。


(ちょっまってまってまって!!?っ!!!!)


何かを叫ぶ若い男に無表情に剣が動く。

この先に起こりうる出来事に思わず目を瞑り、恐る恐る目を開けると若い男の頭と胴体が分かれていた。

涙を流す転がる若い男の顔…。

夢とは言え初めて見る恐ろしい光景に吐き気が込み上げる。


(ひっ!!さ、さっきまではいい夢だと思ってたのに…!グロ耐性は無いんだよぉ…おぇ…)


生々しい死体を直視することは出来ないので男の方を見るととても穏やかな表情をしていて驚いた。

そして、男の元にいつの間にかグレーのローブを着た目元を隠した面を付けた男が跪いている。


(ふぇっ?!いつの間に…!)


まるで忍者の様に現れていた第三者をよく見ると、グレーのローブから赤茶色の尻尾がはみ出ている。


突如現れた仮面の男は静かに男に手を翳すと、赤い鎧の男に付いていた返り血が綺麗に消えていく。綺麗になった己と剣を確認した男は何か男に一言告げた後、何事も無かったかの様にその場を後にしてしまった。


赤い鎧の男が居なくなった後、仮面の男がどうするか見ていたら驚くことに、男は静かに若い男の首を拾い、胴体の元へ運びまるで切られていないかの様に胴体と頭をくっ付けた。

次に床に広がった彼の血を不思議な力で集め目の前に持ってくると男は一気にその血の塊を飲み始めた。


(うっそ…!なにしてるんだ?!この人…!)


全ての血を飲み干すと、次に男は若い男の死体を大事そうに抱え、血の気の失った唇に己の唇を静かに合わせた…。

静かに何かを呟いた後、一瞬にして彼の姿は若い男の遺体ごと、どこかへ消えてしまった。


「い…一体なんだったんだ…?」


本当に何が何だかわからない…所詮は夢だ…と思いつつ、僕の深層心理の中に誰かを殺したいとか、血を飲みたいとか、男の人とキ、キスをしたいとか…そんな願望が夢に出てきているのだろうか…と不安になって来る。


「うぅ…考えてても仕方ないよな…夢だし。石像を見て癒されよぉ…。」


グロ映像ショックを癒そうと、もう一度ドラゴンの石像を近くで見る為、足に力を込めた瞬間、足元がふらつき、足がもつれ転ぶ!と思った次の瞬間、耳元でさっきまで遠くで聞こえていたうめき声が大きく響いた。



「えっ?!」


次の瞬間、床にぶつかると思った僕の視界は真っ暗になり、床にぶつからず何もない所に落ちていった。


おかしな夢はまだ続きます。

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