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ぼくのゆめにっき  作者: ゆずちり
1/1

いちにちめ

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ふと気が付くと、自分の部屋にいた。ここで何をしていたのか、思い出そうとしても上手く思い出せない。そんな風に考えているとき突然部屋の扉が大きな音を立てた。だが、扉が開いたわけではない。何が起きたかを頭を整理しようとしても、口は動かない。例えるなら、川辺に打ち上げられたナマコがハイエナにたかられている。そんなものを見ているような気持ち。そんな落ち着いているような、焦っているような気持ちでいると、だんだん意識が遠のいて───

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 目が覚めた。気味の悪いゆめだった。

 「なんであんなゆめを見たんだろう」

一人呟く。返事はない。理由は現在実家から離れて一人暮らしをしているからであるということに他ならない。家は1K。1K・・・。

ああ。そういうことか。

この気味の悪い違和感は扉に似ているなにかではなく、1Kの家に自分の部屋があるはずがないのに最初の疑問が扉であることだ。ゆめというものは不思議だ。ゆめを見ている間は違和感がないのだ。

たとえそれがあり得ないことでも。たとえそれが普通とは違っていても。それが当たり前だと思ってしまう。

 そんな不思議な''ゆめ''に微量ながらも惹かれていた。

 今日は月曜日である。ごく当然のことながら学生なので学校へ登校する。学校はいつも通りだった。しかし、一つ興味深い出来事があった。

 「お前、ゆめにっきって知ってるか?」

 「いや、知らない。なんだそれ」

 「ゆめにっきってのはな───」

 話を聞いたところ、ゆめにっきというのは見たゆめを忘れないうちに日記として記しておくことだそうだ。確かに言われてみると、昨日のゆめはとても気持ちが悪いゆめだったということは覚えているが内容がなんだったか思い出せない。それを記していれば思い出せるということか。面白そうだ。でも確か、

 「ああ、でも気を付けろよ。それをずっとしてると・・・」

 なんて言っていたような・・・?まあそこまで重要な事でもないだろう。

 ・・・ピチャッ

 鼻先に水がつき思わず空を見上げる。空は黒々しい雲が渦巻いている。今夜は豪雨だろうか。そんなことより雨が強くなる前に家に帰ろう。


  〇〇〇 〇〇〇 〇〇〇

 

 「はあ・・はあ・・」 

やっと着いた。さすがにこの距離を走ってくると疲れる。だけどもう家だ。

玄関に勢いよく駆け上がる。まるで子供だな。はは。はあ・・。これから夕食にするか。冷蔵庫に何かあったっけな。冷蔵庫の扉をあける。料理名が頭の中を駆け巡る。


 「うむ。我ながら素晴らしい出来だ。」

豚汁に鶏肉のソテー。そして何より以前実家から送られてきたコシヒカリのお米である。これが日本とフランス。まさに和洋折衷といったところか。やはり、料理が上手になるということは大切なことであるとしみじみ感じる。一人暮らしの前に知人に教わっておいて本当に良かったと思う。

 「それじゃあ早速───」

 

 夕食も食べ終わったしあとは風呂入って寝るだけか。とりあえず風呂に入ろう。

 (もう一日が終わるのか。早いな。)そんなことを考えながら風呂に入って・・・

ガタンッ

 ん?今何か物音しなかったか?

まあ気のせいか。

 

 〇〇〇 〇〇〇 〇〇〇


 風呂にも入ったし、あとは寝るだけだか。時計を見る。

午後11時

 空はすっかり暗くなっている。気づけば雨は止んでいた。

電気を消す。布団とベッドにサンドイッチされると、いつもの見慣れた天井が見えた。

 電気を消す前は暗いと思っていたが窓から月明かりが差し込み、家の中は明るくなっていた。

薄明りの中、目をそっと閉じる。

   

 一日目 終

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― 新着の感想 ―
[良い点] 情景描写や巧みな比喩表現が私を小説の世界へいざなうようで、千字以上描かれたはずの作品も刹那のうちに読破しきれてしまいました。友人の忠告や物音…各伏線が今後どのように物語を織りなす紡糸と成り…
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