表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/22

第18話 死なせはしない

数日経っても、淳に何かが起こるわけじゃない。平穏なまま。

淳の中では覚悟を決めているのかも知れない。

たしかにあの夢の映像は今の年齢のまま。

だったらもうすぐ起きる予知なんだ。もうすぐ起きてしまう決定事項。どうにかしなくちゃ。

どうにかしなくちゃならないのに。


この握っている淳の手がどこかに行ってしまう。

そんなのいやだ。

淳と将来を一緒に生きたい。

一緒に生きて行きたい。


学校の帰り道。これから淳の部屋に向かうオレたち。淳の手を握る力が強くなる。


『やだ。椎太クンの手。今日は強い。強過ぎるよ〜。なにを思ってるんだろ。淳をもう自分のものにしたいってことかな? やだぁ〜。椎太クンはそういう人じゃない。コラ淳。はしたないぞ』


可愛い。

なんて淳は可愛いんだ。

そんな淳がもうすぐ死んでしまう?


嫌だ。嫌だ。嫌だ。


「ねぇ淳?」

「え。なに椎太クン」


「あの〜。あのサ」

「うん」


「えーと、ホラ」

「なに?」


「ん〜、学祭楽しかったな」

「え〜。淳、恥ずかしかったよ〜」


何いってんだオレ。

正直に言うんだ。自分はエスパーだって。

心の中が読めるんですって。

だから分かる。淳のコレからの運命。


でも。


だから。


淳にどうしろっていうんだ。



「淳」

「なに?」


「オレ、淳と将来も一緒にいたい」

「え? もぉ〜なにいいだすの?」


「ずっとずっと一緒にいたい。だから!」

「うん。私も同じ気持ちだよ」


「淳には長生きして欲しい……」

「え? ハイ。そのつもりです」


淳の目からこぼれる涙。うれし涙。いや違う。

その涙の意味が握られた手から伝わってくる。


『……でもゴメンネ。椎太クン。淳もうすぐ死んじゃうんだ──』


そうはさせない。

絶対にそうはさせない。

未来を。決められた未来を変えてやるんだ!



家に帰って考えた。

メモもとる。自分が心を読めるエスパーだという必要は無い。

しかし、うまく伝えられるか分からない。


まず、淳のことをここから遠くへ転校させる。

それが一番だ。実家はすでにないってはいってたから親戚とか、そういうところの人を頼ってもらって。

でも理由もなくてそんなことはさせられない。


だから、オレもコレからの未来を知ってることにするんだ。

淳と同じ予知が出来る力があることにすればいい。


淳が死ぬ未来が見えた。

だからそれを避けるために転校して欲しい。

そう言えばいい。


はぁ〜。これなら完璧だ。

すぐに淳に電話をして伝えよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うまくいくかな。 うまくいかなかったら、正直に言えよー。
[一言] いろいろとフラグが!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ