第12話 かわいい彼女
さすが元グラドル淳ちゃん。
むだ毛の処理もちゃんとしてあるんだな〜。
もうすごいよ〜。美しいし可愛いよ〜。
オレの熱い熱い視線を気にして、水着の淳はメガネをかけて自分のその姿を見た。
「やぁだ〜。恥ずかしい〜。人前でこんなことするの〜?」
「なにいってんの〜。今までグラドルでそれ以上に露出の少ない水着着てたろ?」
「そうだけど学校のみんなに見せるなんて〜」
「大丈夫。応募した人もみんな同じ気持ちだよ」
淳は水着のままの自分の胸を両手で覆ってオレを睨んだ。
「なんか言いくるめようとしてる」
してます。
そしてコンテストに出れば完全勝利の予感。
そしたらそしたら〜。誰も淳を馬鹿にする奴らなんていなくなるぞ。
そのグランプリの彼氏は誰あろう、オレ。
う〜ん。優越感。
オレは淳の顔に手を伸ばしてメガネをとった。
「ダメダメ。淳はコンテストに出るときはメガネを外すの。もう会場中が爆発するぞ〜」
「やだな〜。コンテストなんて。今のまま椎太クンといれれば幸せだよ」
「オレはさぁ」
「うんうん」
「今まで地味な人生を送って来たんだ。だから淳がコンテストで優勝したら、なんか自分の人生が華やかになるなぁと思ってるんだ。淳に頼ってってのが格好悪いけどサ」
うん。我ながら格好悪い。
しかし淳の目がキラキラしてきている。
なんだ。どうした。
「そうなんだ。椎太クンのためになるんだね。淳が椎太クンのためになる──。なんか。なんか嬉しい!」
いい子。
いい子だな〜。淳は。
もう好き過ぎる。
淳の水着姿を抱きしめる。
その途端の淳の無心。思わず心の中で笑う。
なんていい子。そして純情。
抱きしめるだけで固まっちゃう可愛らしい子。
そんな真っ白な心の淳を抱きしめながら、露出の多い水着姿を抱いたオレの心は全くの邪悪でいろんなことを妄想していた。
普段の淳も良いけど、雛川陽の淳ももちろんいい。
淳が全てを脱ぎ去ったのが雛川陽。
それが本物なんだから仕方がない。
コンテストが待ち遠しい。
他の生徒たちの割れんばかりの喝采が送られるのを想像するだけでもう。
それは淳に贈られるものだけど、今まで淳を「地味」とか「暗い」とか思ってた奴らの鼻を明かせる。そんなスカッとが待ち受けていると思うだけでワクワクしていた。




