第23話:後の火種
遅くなってしまい申し訳ありません…m(__)m
~~~汐ノ目町のはずれ、人気のない場所で世界の明暗を分けうる会話が人知れず行われようとしていた。
「日本に帰って来てたんですね、真緒さん。私のこと...... 覚えてますか?」
「君は確か、扇子をあげた子だっけ。どうだい?あの扇子ちゃんと使えてる?」
「はい、使い方は試行錯誤ですけど」
「うんうん。考えるのはいいことだね。で、使い方はどこまで分かったんだい?」
「えっと、思いを込めて扇ぐと炎が舞い上がることが......」
「........................」
「........................」
「えっ、それだけ?」
真緒の呆れた表情に、夜弥は困惑する。
「えっ?」
「いや、もっとわかってると思ってたんだけどなぁ。やっぱり失敗かぁ。結局、期待できるのは真白だけだなぁ」
「えっ、どういうことですか? 私が失敗って?」
「いやもういいよ。きみは失敗作だ。扇子かえして?」
「なんで......ず、ずっと私......これまで頑張ってきて......」
夜弥は泣きそうな顔で考える。
頑張ったのに......扇子だけ残して.....いなくなったのはそっちなのに......何にもわからなくて......それでもここまで来たのに......なんで......ううん......何かの勘違いに決まってる
「そ、そういえばどうして日本に?」
「ああ、それなら真白に会うために決まってるよね。いやー、今どこまで育ってるかな。楽しみだなあ。ある程度育ってたらもう原典渡してもいいかなあって思ってるんだよね」
「......原典? てなんですか?」
涙のにじむ顔に疑問符をのせて尋ねる。
「そういえば、言ったことないか。まあ知らなくても問題ないんだけどねえ。ある意味、無関係になるからこそ最後に教えてあげよっか。きみにあげた扇子あるじゃん? あれさあ、僕の能力のひとかけらなんだよね」
「それが......そのおおもとが......原典なんですね」
夜弥は顔をうつむかせる。
「思ってたより察しがいいね。その理解力自分に使えればもう少しましだったかもねえ」
「もう私じゃ......ダメなんですね」
夜弥の声は震えていた。
「まあ、もう遅いかなあ。いやー期待しちゃってごめんね?」
「わかりました。ならお返しします」
夜弥が顔を上げたとき、すでに涙は止まっていた。
懐に手を入れて真緒に近づいていく。
「あれ? やけにあっさりだね。色々言ってたのに。ま、いいや。じゃあ返してもらうね............え?」
視界がにじむ。
上手く動けない。
腕がしびれている。
なにか液体が流れる音がする。
胸から見覚えのないものが生えている。
ああ、刺されたのか。
「うーん......まさか刺されるとは......思わなかったなあ......」
流れ出していく命の雫。真緒の意識がおちていく。ぼやける視界の中、血だまりの中から本を拾い上げる少女と思わしき影。
「血に浸かってても、汚れ一つないんですね。へえ、これが本来の使い方ですか。やっとわかりましたよ。もういらないですし、これ返しますね」
血だまりに何かがおちる音
あー、これが死ぬ感覚かあ。案外何にも感じないんだなあ。あーあ、もう少しで実験終了だったのになあ......
◇いれぷろ!(ショート版)◇
天音「......この小説刺されがちじゃない?」
真也「言うな!!」←最初に刺された人




