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第21話:しましまエブリデイ⑦

※後書きにお知らせアリです。


 言葉にならない悲鳴が木霊していた。

床にガスマスクを転がしたままWaspは顔を押さえ苦悶する。

白亜の左腕は肩から腐り落ち、血色の断面を晒している。

八郎の驚異的な体幹による蹴りを喰らった直後、どこからか飛翔した白い粉末を被ったことで人造の肉体は腐蝕を始めていた。



「ぁ……うぁ……あぁ……!!」



 着地と共に低い姿勢のまま身構える八郎、しかし次の瞬間にはWaspの姿は消えていた。

苦痛に耐え兼ねてその場から離脱したらしい。

研究室には瓦礫の山と血濡れの鎧、そして誰かの左腕だけが残されていた。




「よし、俺の予想通り何とかなったな! 助かったぜ、八郎!」


 数分後、【絶対刹那】の効果が切れクロはようやく動くことが出来た。

改めて人間としての八郎を凝視しつつも自画自賛を織り交ぜることは忘れない。


「いえ、こちらこそ……それにしても、何故あの敵は逃げたのでしょうか? クロさんの言う通りならどんな武器や薬品も効かないんじゃ……?」


「いいや、何事にも例外は付き物だよ。俺が最後に投げようとしてたフラスコあったっしょ? あれの中身は“Gift for D”っていう劇薬で、このニャー(饅頭)と共通する細胞を分解する効果がある。あの時”ベリッ“ってやったのは君だろうからね。

だから相手が空間を奪ってきた時に俺の方に照準が向けられればこの薬も勝手に引き寄せられるってワケ! 逃げたようだけどもう長くはないだろうね!

以前訳あって『二度と使わない!』って封印してたけど、もう少し手前に置いとけば良かったなぁ……」



──────それとアイツが手を向けたりしたら俺の後ろに隠れるんだ、何があってもな!!



 戦う直前にクロが相手の正体を看破し、ニャーが彼、或いは彼女の指示とその意図を理解し、そして八郎が顔や左腕を露出させた。

それは一連の流れを予測していたからこその台詞だったのだ。


「猫たんって本当に人間になれるんだね! もしかして化け猫さんだったりするのー?」


「それが僕にもよく分からなくて。昔テレビにお祈りしたらそれが爆発してこんな事に……」


「テレビねぇ……」


 意味深に首を傾げるクロだったが考えている暇はなかった。

ロレッタの救護と戦闘の隠蔽、Itaf本部への報告も残っている。

その日の夜、八郎は後片付けと聞き取り調査に付き合わされ日付が変わって尚休むことは出来なかった。




「見てごらんエミリア、次は“本物”をこうしてみせるよ」



 月明りに照らされた顔は嘲りの色を隠そうともしなかった。

Irialの拠点に悲鳴とも怒号とも分からない咆哮が響いている。

 負傷したWaspが帰還を果たした直後、親元へ駆け寄る子の様なそれに対し嗣音は躊躇いなく試験管を投げつけていた。

能力者殺しのウイルスを前に腐敗を停滞させていた力も為す術無く、偽りの『未元』はその生を終えようとしていた。


「……流石に、過剰じゃない?」


 呼びかけられたエミリアは造られた生命を前にして渇いた言葉を返す。

その本心を必死に抑えながら。

対する嗣音は、


「いいや、どの道一週間も生きられないからね。これでも(能力者としては)安楽死の部類だと思うよ? あの細胞の有用性について一通りデータも取れたし、役人方もこれで満足してくれるだろうさ」


「………………」


 苦しみ悶える肉塊を見下ろし、少女は胸の奥底に黒い点が滲む様な感情を覚えた。

一瞬、哀れな視線がぶつかる。

誰かに似せて造られた顔はあまりに綺麗で、それが腐り落ちる度に罪悪感が心臓を撫でた。

その美しさは壊される為にあったのかと。

その命は潰えることにこそ意味があったのかと。



「いやぁ、どうせ処分するならと思って成形したけど正解だったね。とても清々しい気分だ」



 何を笑っているのか。何を楽しんでいるのか。

彼女は、貴方の知る誰でも無いというのに。

彼女は、ただ生きようとしていただけなのに。


 残酷な終わりから目を背け、エミリアはバックヤードへと消えていった。

その後彼女は御守輝、処分を待つ身である彼から声を掛けられるのだが、どの様な会話が為されたかは不明のままである。


血の残り香を乗せた夜風が一脈、汐ノ目の空を駆けていく。



 数日後、御縞八郎のItaf加入が承認された。

“真也の左腕”と“小手川の旧パーツ”を返還した彼だったが盗品の多くは未だ見つかっていない(実際はクロと嗣音が二重に処分してしまったが)。

それらが戻されない限り彼は責任を取り続けなければならない。

しかしこの処分は罪状に比べて遥かに軽いものである。

クロや天堂顧問が書類などに偽装を施さなければ八郎は檻の中で、かつての不自由さを味わいながら一生を終えていたかもしれない。




「おいおい、御縞のヤツ戻ってきたぜ?」

「もう来なくていいのにね~?」

「刑務所の飯は美味かったかよー?」


 久々に登校した八郎だったが彼の現状に変わりはなかった。

寧ろ犯罪に加担してしまったという罪悪感の分以前より悪化したのかもしれない。

しかし彼の心境にはあの日以来の明るさが訪れつつあった。


「確かこの辺で待ち合わせだよにゃぁ……?」


 嗣音に裏切られた八郎だったが、彼にはこれからItafという仲間が出来る。

共に戦い、共に助け合う。そんな日々が待っている。

それはかつて彼が求めていた“イレギュラーな冒険”への第一歩そのもの。

如何なる嘲笑も少年の純真な心の前では些末なものでしかなかった。


 そわそわしながら廊下の壁に背を預ける。

「話したいことがある」とクロに呼び出された八郎は迎えが来るのを待っていた。

クロ本人は「忙しいから手の空いた人向かわせとくー」と言っていたが、そう言えばItafには他にどの様な人間がいるのだろうか?

親戚の家に行くような期待と不安、焦燥が入り混じる中、彼はふと廊下が騒然としていることに気付いた。

自分への悪口ではなく遠方に響く潮騒のような、荘厳な雰囲気が廊下一帯を支配していた。



「ん、ごきげんよう。あなたが、御縞八郎くん?」



 そして、その人は現れた。

全ての視線を一身に受けて、幾人もの女生徒を侍らせる。

その中心にいた少女を、八郎は一瞬生徒として認識出来なかった。


「はい……そうですけど……」


 紅色を灯した瞳が八郎を見つめていた。

ギリシアの彫像をも思わせるような白亜の肌。絹糸に似た髪が視線を優しく撫でる。

猫としての感性しか持ち合わせない八郎だったが、そんな彼ですらも息を吞む程に目の前の女性は可憐で美しく──────何より非人間的に思えてしまった。


「お、おい、アレって……!」

「天堂先輩よね!? 初めて見たわ……!」

「ヤバい……八郎に話しかけてるぞ……!?」


 ある者は見惚れ、ある者(主に陰口を叩いていた連中)は危機感を覚えたのか退散していく。

仲間から慕われているその姿は八郎がかつて描いた理想そのものだった。


「そう。それじゃ自己紹介、私は天堂天音……細胞が迷惑かけたそうね? 立ち話も何だし、歩きながら話しましょう?」

「はぁ……」


 この時の八郎は終始天音と名乗ったその少女から眼を離せないでいた。

猫の基準でも美しいということもあったが、それ以上に彼は少女の顔を見るのはこれが初めてではなかったのだ。

思い返されるあの時、あの瞬間。眼に焼き付いた光景を忘れることは叶わない。


「えー、天音先輩おねえさまもう行っちゃうんですかぁ?」

「ええ、ごめんなさい。これから天音わたしこの子に勉強教えなきゃだから……それと、今はあなたの方が3年センパイでしょう?」

「私にとってお姉様はお姉様ですっ!!」

「ふふっ、嬉しいこと言ってくれるじゃないの」


 取り巻き達に惜しまれながらも別れを告げ天音は階段を上がろうとする。


「ほら、早くしなさいな? 置いてっちゃうわよ?」

「あっ、はい! 今行きます!」




「天堂さんは……何故あんなに人気者なんですか?」


 端末準備室へと向かう途中、八郎は天音からItafの概要や直近の状況を聞いていた。

そんな話の最中、ふと感じた疑問を彼は口にせずにはいられなかった。


「何故って……まぁ8割見た目とかじゃないの? スキンケアとか結構気を付けてるし」

「そうじゃなくて、何で他の人と色々違うのに、その……嫌われたりしないんですか?」

「…………」

「僕は、人よりちょっと頭が良かったり、ちょっと足が速かったりするだけで嫌われちゃって……何も悪いことなんてしていないのに……」

「…………」

「すっ、すみません! 別に悪気があった訳ではないんです! ただ……秘訣でもあれば参考にしたいなぁ、って……」


 俯く八郎に対し、天音は凛としたままに言葉を放る。


「別に? 天音(わたし)だって人によっては嫌われてるわよ? こないだなんて急に殴られたし、硫酸かけられたこともあったわね。だからぶっちゃけ人間扱いしてくれるだけでも有難いというか……」


「それでも! あんなに沢山友達も居て」


「ちょっとさ、君欲張り過ぎじゃない?」


「……え?」


「人が自分と違う存在を畏怖するのは本能的(当たり前)であって、皆が皆自分を慕ってくれるなんて贅沢の骨頂よ? 『出る杭は打たれる』って言うでしょう? 能力者や元猫なら尚更。それでも好かれたいって言うなら、手ぇ抜くなり自重しなさいな? 言っとくケド、八郎君あなたの言い草聞いてもあんま可哀そうとは思えないのよね」


「そんな…………」


 八郎は言葉の一切を失った。

期待から全く外れた言葉に嫌な気分になったが、しかし天音が告げたのは正論中の正論。これ以上無いまでに的を射た事実であった。

猫の世界にも偏見や差別がある。かつて身をもって知ったはずの教訓を彼は人間として暮らす内に忘れてしまっていたのである。

 愕然とした様子の後輩を見かねて、天音は言葉を続けた。


「ところで、さっき天音わたしのこと『色々違う』って言ったじゃない? 眼とか髪とか……肌も絶対黄色人種じゃないわよねコレ?」


「……はい、珍しいにゃぁと思いました……」



天音わたしね? 普通の人間とは2%くらい、DNAが違うのよね」



「─────!!? どういうことですか!?」


「そのまんまの意味よ。少なくともホモサピエンスサピエンスじゃないってコト。天音わたしからしてみれば現代人類なんて軒並み別種だし、生物学的には進化の先端ひとりぼっち。ちょっと前まで実験動物扱いだったんだから、もう笑うしかないってカンジ」


「…………」


「でもね、こんな天音わたしでもItafは受け入れてくれたわ。八郎あなただってニャーやロレッタに会ったでしょう? 熊だろうが猫だろうが、この学校のどこかに居場所はきっとある……君にだってあるんじゃない? 帰るべき場所が、名前を呼んでくれる人が」


 思い返せば、生まれた時からずっと八郎には寄り添ってくれる人が、猫がいた。

真面目なお爺さんと優しいお婆さん、愛すべき両親と兄弟達……。

狭い部屋の中で不自由を嘆いていたとしても八郎ハムは1人ではなく、いつも見守ってくれる人がいた。

学校で孤立し肩を落とした日も、彼は真っ直ぐ家へと帰っていた。


そう言えば、数日ぶりに帰った日も皆泣きながら出迎えてくれたっけ……。


この時、八郎はようやく理解した。

自分は十分過ぎる程に幸せだったのだと。

目の前の彼女よりずっと人間らしい温かさを知っていたのだと。

それだけに、今まで被害者のつもりでいた自分がどうしようもなく恥ずかしく思えてしまった。


「その……ごめんなさい。色々言ってしまって……」


「ん、いいのよ。だからそうね……“八郎あなた八郎あなたを愛してくれる人を慕いなさい”な? 孤独を愛せなきゃ好き勝手なんて出来ないし、多くを求め過ぎると損ばっかりだろうから」


「はい……ありがとうございます……」




「やぁ八郎! その様子だと天堂と話したみたいだね?」



 暫くの後、八郎は端末準備室の直下、Itaf本部へと通されていた。

行き着いた部屋には屑鉄が散乱し機械油の臭いが鼻を衝く。

萎れた様子の八郎を覗き込みクロは何故かニヤニヤとしていた。


「はい……何というか、僕の見てる世界って狭かったんだにゃぁ……って」


「いやぁ悪かったね。でもお前に伝えるには彼女が適任だと思ってさ? ちなみに俺がやると何故か尋問みたいになって精神に悪影響を及ぼす可能性がある」


「怖すぎません!? いえ……ありがとうございます。お陰で本当に大切なものが分かった気がします」


 少年の朗らかな笑みが向日葵の如く咲き誇る。

この経験は八郎にとっても、そして精神成長を放棄しているはずのクロにとっても大きな一歩に違いなかった。




「さて、俺がお前を呼んだのは他でもない。その『人間に化ける能力』についてだ。ようやく思い出したぜ。この前テレビが爆発したって言ってたけど、多分それ小型のブラウン管テレビっしょ?」


「はい、そうですけど……あれが原因にゃんですか?」


「その通り。まず単刀直入に言うとそのきっかけ、多分俺だわ」


「……どういうことです?」


「始まりは2005年頃、隣の家のヤツが“五月蠅い!”って言ってハンガーを投げつけてきてさ? 怒った当時の俺は復讐の為に某企業の製品に似せたテレビを作ってそいつ行きつけの家電量販店に仕掛けた。その名も“シュレディンガーチューブ”! これは内部に“放射線を検出すると起動する爆弾”と“青酸ガス”を搭載する予定だったんだけど、この時にあるナノマシンと取り違えてしまったらしい」


「はぁ……?」


「そのナノマシンってのが“人間のDNAに作用することで肉体を変容させる”ヤツでさ? 当時の俺は気付いても“まぁ仕返しは出来るか!”と思ってそのまま放置したと考えられる。けれどあの頃は本ッ当に詰めが甘くてさ! あれだけ事前調査リサーチをしておいて寸前で君の親に購入されるとは思ってなかったんだろう」


「……にゃぁ??」


 そんなことがあり得るのかと思う八郎だったが、そう言えば今普通に話している相手はあの“怪物”である。

その程度は朝飯前かもしれないと心の中で納得してしまう。


「当時の設計図を見返したところナノマシンは感情の振れ幅に応じて起動すると分かった。本来は隣人の理不尽な怒りをトリガーにするつもりがお前の“冒険をしたい!”という強い意志によって誤作動したんだろう。人間になれたのは元々人じゃなかったから……とか思ったけど俺にもよく分かんないや」


「にゃあ、どうしてまた猫に戻ってしまったのでしょうか?」


「それはねぇ、純粋にナノマシンの寿命だね。稼働年数がだいたい10年だったから変換状態を維持出来なくなったんだ。それと今人間に戻れているのは瓦礫に抗おうという意思によって奇跡的にナノマシンが再起動したから。

これは一時的なもので俺の予想通りなら今日の午後にでもお前は人型を維持出来なくなる。何かしらの後遺症付きでな」


「そう言われても、特に体はにゃんともにゃいしにゃぁ……あれ……?」


「ほら、徐々に鳴き声が混じってきてる! 中途半端な状態が続いたからナノマシンの癒着が始まったに違いない。このままだと最悪“猫でも人間でもなくなる”ぞ!」


「そんにゃ!? にゃあはどうすればみゃーお!?」


 八郎はようやく体に起きている異常を自覚した。

動悸が全身を駆けまわり心臓は早鐘を打つ。

それは何時ぞやかの変容とはまるで違う、奈落の淵に立つような感覚だった。


「落ち着くんだ八郎! こんな事もあろうかと昨晩の内にこれを作っておいた」


 デスク横の冷蔵庫から何かを取り出すクロ。

その手には赤と青、液体の入った試験管が2本握られていた。


「これはナノマシンの効果を固定化する薬だ。ただし色によって結果が変わってくる。

赤は“ナノマシンをもう一度だけDNAの改造に使う”。つまり人間の状態を今後も維持出来る。

青は逆に“ナノマシンをDNAの復元に使う”。これを飲まない限りお前が猫に戻れる可能性は一切絶えてしまう。

そして両方を飲んだ場合お前の体は内側から爆発四散する。

こんな事になってしまって本ッ当に申し訳ないと思ってる……けれどどちらかを選ばなきゃ──────」


ゃぁ赤で(ゴクゴク)」


「はやっ!? もう少し迷うかと思ったけどなー?」


 八郎の即断即決に驚くクロだったが、顔を上げた瞬間に彼はその理由を悟った。

少年の細まった瞳。その奥には揺らぎ無い決意が灯っている。

それは大空を仰ぎ見るような感覚に近かしいものだった。


にゃあにはまだやるべき事があります。1つは桐張さんを、Irialを止めること。自分が犯した過ちと向き合いたいです。もう1つは……」


「もう1つは?」


「……周りの人達を大事にしたいです、まずは“ありがとう”って言って。気付いたんです。それが出来なきゃ友達作りも始められないって」


 澄み渡った笑顔がそこにはあった。

人間ですら至り得ない感謝の価値をかつての仔猫は見出したのである。


「そうか……ならお前にはログインボーナスをあげよう!」


「ログイン……何ですソレ?」



「具体的に言うとItaf(俺達)が友達になってやるってことさ! 多分これから毎日驚くことになるぜ? なんせここは喋る狼やら喋る籠手やら、“喋る猫すら普通になる場所”だからな!」



 こうして御縞八郎はItafの調査班員として活動を開始した。

元猫の素早さと直感は特筆するに値し、諜報員としてその後の戦局を大きく変えることになるのだがそれはまた別の話である。



 高等部1年2組には不思議な青年がいる。

以前は人並み外れた頭脳と運動神経を見せつけていたというけれど、今はそんな噂も聞こえてこない。

先生に聞いてもクラス委員に立候補して積極的に働いている、という話くらい。

ある日を境に、私以外の人は軒並み彼の話題を忘れてしまったようだった。

あらゆる認識が漂白された今、前々から気になっていた彼を知るには本人に直接聞くしか方法は無い。

とは言え好都合な状況には違いない。

今まではいじめに巻き込まれるのが怖くて話すのもはばかられたけれど、ここ数週の様子を見る限り何ら問題は無さそうだった。

何というか、春先みたいに穏やかだ。

だから今日こそは、彼に話しかけてみよう。

もしかしたら何か、面白いことを言ってくれるかもしれない。


件の彼はクラスメイト数人と談笑していた。

ちょうどいい。共通の友人もいるみたいだ。

たまたま通りかかったフリして、熟考していた話題を口にする。



「ねぇねぇ? 八郎君家ブリーダーやってるって本当?」



「─────うん。自慢の家族さ!」



笑った彼の顔は、何だか猫みたいだった。




お久しぶりです、作者Aです。本日もご一読ありがとうございました!


今回の話をもってイレギュラーズプロジェクト第2章は一応一区切りとさせていただきます。

3章については現在絶賛執筆中につき、もう暫くお待ちいただけると幸いです。多少期間が空いてしまうかもしれませんが必ず掲載する所存です!


それではまたお会いしましょう!


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