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【二夜連続クリスマス特別編】ギャグ&日常回 ニャーちゃんのハッピークリスマス②

※1:設定が〇んだ!この人でなし!

※2:見るなよー? 絶対見るなよー?(期待の眼差し)



時刻は深夜0時。


ロレッタが寝床に入り、少し遅れてクロもまた例の物騒なカークラッシュ映画を見終わって眠りについた。


そしてニャーちゃんだけがたったひとりでサンタクロースを一目見たいと天蓋付きベッドで寝たふりをしていた時、事件は起こる。




…バリバリバリッ!!!!!




屋根の方から固い物がどっさり降り注ぐ音が聞こえ、ニャーちゃんは驚いた。




「…ええい、忌々しい!!!」




さらに玄関の方から、誰かの愚痴が聞こえてニャーちゃんはベッドから飛び上がる。




すりガラス越しにかろうじて見えたのはなんと、赤い人影が身体中にへばりつくラミネートフィルムを引き千切りながらエクストリームセコムと交戦する光景。




「クロたーん、クマたーん! 玄関先でサンタさんつかまってるおー!」




ニャーちゃんが呼んでも、今日フルタイムで頑張った彼らは起きない。


知らない人と応対してはいけないと分かっていたが、ニャーちゃんにとっては今こそが


サンタクロースに会えるまたとないチャンスだったので開けずにはいられなかった。




「サンタさーん!!」




ニャーちゃんが笑顔でドアを開けるとそこにいたのは…




「…パパたん?」


「ち、違う!! 人違いだ!!!!」


「へんたーーい!!服がこなごなだお!!いいから今すぐ隠して」






( ´∀`)ノ TAKE2だお ミ☆






「サンタさーん!ニャーちゃんだおー!」




ニャーちゃんの前にいるのは、エクストリームセコムの中枢に拳をめり込ませながら固い笑顔を浮かべるサンタクロース…と思わしき人物。


機械からの容赦ない猛攻を受けていたにもかかわらず、”謎の力”がはたらいたおかげで


赤い服には綻びひとつ付いていない。




「こんばんは、ニャーちゃん。私はサンタクロース。


『年に一度だけ世界中の良い子にプレゼントを配る程度の能力』の持ち主じゃよ。」




それを聞いたニャーちゃんは大喜び。




「わぁいわぁい!ニャーちゃんサンタさんに会えちゃったー!


ニャーちゃんクッキーとミルク用意したの。おうちはいってー!」




「ホッホッホッ、ニャーちゃんは実に優しい子じゃな…」




純粋なニャーちゃんとサンタクロースの一見ほのぼのとしたやり取りが行われているかのように見えるが、一方で“サンタクロースの中の人”のプライドは原形が分からなくなるまでズタボロにされていた。




(作者め。突然この我輩をテレ○ラムで呼び出しおって。


再登場の一報を聞いて我輩は第二章で肩書に相応しい見せ場が来るのを期待してたのだぞ。


だというのに!!! よりにもよってこんな戯けた日常回に、しかもサンタクロースとして


出演する羽目になるとは!!


あの矮人めの腐った根性にも反吐が出る、誉れ高き連邦の将を剥製にしてどうしたかったというのだ!?)




ニャーちゃんの後を追ってサンタクロース、もといニャーちゃんの父親ドヴラートフが


クロの家に上がり込む。


侵入者が玄関からの正面突破に見事成功した驚異の一瞬であった。




「……それで汐ノ目にやってきた私はこの家から発射された全自動迎撃ミサイルに撃たれて墜落、唯一持っていた地図を紛失してしまったのじゃ。


(畜生、なにもかもがあの矮人のせいだ。諸悪の根源め!)」




ニャーちゃんとの会話の話題は“なぜ屋根に落ちたのか”に移っており、クリスマスに


危機が迫っていることが明らかとなる。しかも、この家の主クロによって…




「わかったお! ニャーちゃんもサンタさんとプレゼント配るの手伝う!


ところでサンタさん、クッキーとミルクおいしいから食べてみてお。ニャーちゃんと


クマたんで手作りしたんだから!」




ドヴラートフはミルクと皿の上のクッキーを見つめ思わず不安を覚える。


彼が持つ能力『怨念解放』の都合上生きた人間だけを食べてきたわけだが、人間以外を食べるとどうなるかなど戦う事しか興味のない本人は一度も試したことがない。


しかし、後に引くという行為が敗走を連想させるのに気付いてそこはかとなく嫌悪感を覚えた彼は、それが間違った判断だとも知らずに、我が子の手料理を一口でたいらげた。




「ぐはぁ!!!!」




「ぎゃーっ!サンタさーん、しっかりしてーっ!」




激しい拒絶反応で吐血して痙攣を起こしながら床に突っ伏すドヴラートフ。


戦闘シーンでもないのに再登場でいきなり死にかける羽目になった彼はニャーちゃんの


必死の介抱で一命を取り留めた。








クリスマスの午前1時、やまない雪の中でニャーちゃんとドヴラートフはソリを修復して荷物を積みなおしていた。




「現代建築には煙突がないから不便じゃ。 例えば、こんな大きなプレステの箱をポストに投函しろというのは土台無理な話じゃろ?」




「ニャーちゃんどうすればいいか知ってるお! クロたんが商品化したこれを使えばだいじょうぶ!」




ニャーちゃんが取り出したものは、オレンジと青のコントラストが映える一つの輪っか。クロは某漫画にでてくる“壁に当てると輪の内側が壁の向こう側まで穴でつながる道具”をいつのまにか実用化していたのである。


輪っかのデザインは“空間に穴を開ける人気ゲーム”を丸パクリ。


クロよ、ダブルでパクってどうする…




一章で自分にとどめを刺した矮人の力を借りることとなるのは癪に障る展開だが、物理的に壁に穴を開けるわけにはいかないので渋々クロの道具を積み込んだ。




「よし、それじゃあ飛ぶよ。」


「わーい!! 大空の旅へしゅっぱーつ!!」




ニャーちゃんとドヴラートフの乗ったソリは赤鼻のトナカイに引かれて汐ノ目の空へと飛んでいった。








舞い散る雪の結晶、大空に鎮座するオリオン、ひときわ輝く北極星…


夢のような世界がそこには広がっていた。




「どうじゃ、素敵な夜景じゃろ。」


「わーっ、すごーい!! 銀河鉄道の夜みたーい!!」




ニャーちゃんとドヴラートフは眼下に広がる汐ノ目の街を見下ろした。


ニャーちゃんは自分達以外にも同じような服装の人が大きな袋を片手にイルミネーションを纏った街を歩いている事に気づき、ドヴラートフに尋ねる。




「サンタさん、あの人も何か配ってるお?」


「あのこげ茶の服を着たサンタは世界中の職を失った人に新たな職をプレゼントする、


社会の受け皿的存在じゃよ。」


「じゃあ…サンタさん、あのハチマキの人は?」


「帽子の代わりに鉢巻を付けたサンタは世界中の受験生に気合をプレゼントしておる。」


「サンタさん、あのピンクの人がポストに雑誌とDVDを投函したお?」


「そ…それは見なかったことにしなさい。世の中には知らない方がいいことも山ほどあるんじゃ…」




「ねえサンタさん、あっちにゆきちゃん(西川小雪)のおうちあった! VRセット届けに行こう!!」




ニャーちゃんの一声でトナカイは西川の家に着地。




(重力を操るあの茶髪女の家か…)




ドヴラートフはクロの発明品で時空に穴を開けそのまま西川の家に入っていった。








「まったくけしからん…西川は寝ているどころか起きていて、しかも特撮を見ていたぞ。


最近の若者は遅くまで起きて一体何をしているのじゃ!?」




西川の家から戻ってきたドヴラートフは思わず愚痴をこぼす。




「えーっ! まさか見られちゃったの!?」




手渡されたチョコチップクッキーを頬張りながらニャーちゃんは尋ねる。




「ああ、見られたよ。だがあの子の反応は薄かった。表情一つ変えずに、


『サンタさーん、VRセットありがとッスー』とだけ言っていたのじゃ。


西川小雪という女は本当に何があっても冷静沈着でむしょうに腹が立…」




「ねえ、次しろちゃん(真白)のおうちいこ、しろちゃんのおうち!」


「真白の家は地図に載ってなかったぞ。地図にない家をどうやって探すと言うんじゃ?」


「路地裏がスタートになっている迷路を解いた先にしろちゃんのおうちは有るんだってー!  それでね、なんかわかんないけど迷路は毎回かわるらしいお!」


「それなら根性で捜すほかない… 根性は何にでも通用する神の力じゃ。


根性のまえでは時空や重力なんぞ全て非力な存在となる。 そんなの有り得ないなどと抜かす腰抜けの根性無しは漢とは呼ば…」




「だめだめっ! 今の最低な発言は現代の考え方にぜんぜんふさわしくないお!!


ただしい道には精神エネルギーがいっぱいあつまってるから、クロたんが作ったゴーグルでその道を探せばおうち見つかるおー!」


「…ニャーちゃん、何でそんなに詳しいんじゃ?」


「このおはなしを書いてる作者さんとは別の作者さんがついさっき教えてくれたのー!


あと、別の作者さんのおともだちもー!」




ドヴラートフは素が出そうになったのをなんとか抑えてサンタクロースとしての仕事を続行する。




真白の家に入ったドヴラートフはアーモンドクッキーを回収して一枚の手紙を読んだのだが…




『サンタはん 現金20万円いただけまへんか?   愛を込めて 真白より』




「なっ…」




憤怒で胃が焼けそうになったドヴラートフは1ルーブル硬貨をおよそ150万枚テーブルにぶちまけて戻っていった。








「酷いものじゃろ!? 聖なる夜に真白は現金20万円を要求してきたのじゃ!


どれもこれも、憎きアメリカがクリスマスを商業主義で汚したせいじゃよ。」




「サンタさん、ニャーちゃんはイブの夜にクロたんとクマたんで一緒にお料理を食べたの。


二人ともふだんは忙しくてなかなか一緒にご飯食べたり遊んだりできないの。


でもニャーちゃんクリスマスのおかげで二人といっぱい遊んでお夕食も食べられて


とってもうれしかった!


お金儲けなんかじゃなくて、『みんななかよく』がクリスマスの本当の意味なんじゃない?」




「ニャーちゃん、なんて純粋な子なんだろう!君とは話が合いそうで嬉しいよ…」




「あっ、見て!らいらちゃん(李家(りのいえ) (らい)())のおうちだー!早速いっちゃおう!」




(今度は去年殺しそびれた筋肉質の甘党女か…


あの女のことだ、どうせキャラメルヌガー欲しいんだろう?違うか!?)




ドヴラートフは人の嗜好を勝手に決めつけ李家の家にあがりこむ。


ところが、バタークッキーとほうじ茶の横にある手紙に書かれた予想外の内容に


ドヴラートフは腰を抜かしてしまった。




『サンタさんへ  


私はおもちゃとかゲームとかは要りません。


私の望み…それはこの閉塞感と格差に満ちている間違った世の中が、皆幸せな正しい世の中に変化することです。


世界の恵まれない子供が十分な医療サービスを受けられるようにしてください


あと中東の紛争と、右翼と左翼の激しい抗争も全部解決して、みんなが違いを乗り越えて協力し、友達になれる世界を望みます。


人類に希望を、大地に緑を、世界に愛を    李家 雷羅』




少しの沈黙の後、ドヴラートフの涙声にも似た叫び声が響いた。




「こういう要求が一番困るんじゃよ!!! 私にどうしろというんじゃぁ!?」








紆余曲折あったがひととおりプレゼントを配り終えたニャーちゃんとドヴラートフ。


一行はクロの家に戻り、最後のプレゼントを持って玄関からあがりこむ。




「ニャーちゃんのおうち、ただいまーっ!」


「クロとロレッタはさすがに寝てるじゃろ。 昨日はニャーちゃんの為に一日中頑張ってくれたんじゃからなあ?(本当はあの矮人めに何かくれてやるどころかあやつの全てを奪い去りたいところだが、矮人を殺したら作者が怒る…)」




プレゼントを置くべくリビングに向かった彼等。


しかし、クロとロレッタは起きていたのであった…




「クロ!!! あんたって奴は寝起き早々なんてことしてんだい!? あらぬ疑いをかけられちまうからやめるんだ!!!」




クロはロレッタがドン引くほどの奇行をやらかしている真っ最中だった。


テーブルからかき集めた血をジップロックにどっさり入れてそれをアレの要領で吸っていたのである…


クロがふいにいちご豆乳を飲みたくなってリビングに向かった時に、テーブルに新しい誰かの血がこぼれているのに気づいて遺伝子を調べたら、


驚くべきことに“クロの大好きな人”と一致して今の状況に至る。




「やめないね…だってこれは間違いなく俺の好敵手、ドヴラートフの血だから!!


これ嗅いでると本人がすぐそこにいるような気になるんだよね。」


「そいつ本編で死んだよ!! 死んだ奴がどうやって再登場を果たすってんだい!?」


「穢土○生、または作者の気まぐれ…おい、ロレッタ!!! 後ろ後ろッ!!!」


「えっ、後ろって…ええええっ!!!! サンタクロース!? おまけにニャーちゃんまで!!!」




「み、みなきゃよかったお…サンタさん、酷い光景みせてごめんね…」


「………。


(今すぐにでも嘔吐したい…だがあの矮人はそれすらも拾い上げて保存するだろうよ。 だから我輩はこの命に代えても絶対に吐かん…)」




「いやぁ…すまないねサンタクロース。見苦しい物を見せちまったあたいらをどうか許してくれよ…」


「ロレッタ、ちょっと待て…」




謝るロレッタを制止してクロは、ロレッタとニャーちゃんがサンタクロースと呼ぶ者を


至近距離でじっと見つめた。




(この体格…この赤い目…間違いないな…)




ドヴラートフはクロと目が合い額から冷や汗を流す。




「ロレッタと饅頭。ちょっとこれからこの…サンタと二人きりで会話したいんで、そっとしててもらう…!!!」




「……サンタクロースと…会話するんだね? 分かったよクロ。」


「うん分かったおクロたん、たのしんでねー!」




“このサンタクロースにはまちがいなく中の人が存在する。そして、その中の人はドヴラートフである。”


言葉は交わさずともクロの思惑を察したロレッタはニャーちゃんの夢を壊さないように配慮したのだ。


彼らは厳重な防音室に入っていく黒ずくめの変人と、いろいろな意味で赤い人を見送った。








「部屋の鍵ロックー♪」




二畳半しかない防音室に入ったクロは壁の制御盤を操作して三重の扉に全部鍵をかけた。


二人で入るにはあまりにも狭すぎる部屋の中で、クロは目の前にいる大男に向かって


バッサリ斬るように言い放った。




「率直に結論から言うと…お前サンタクロースじゃなくてドヴラートフだろ?」


「正体がばれたなら仕方あるまい…貴様の言うとおりだ…」


「やっぱりぃ!? ドヴラートフ!!! ありがとう、戻ってきてくれて!」




クロはドヴラートフに思いきり抱きついた。


危害を加えられると思っていたドヴラートフは困惑する。




「おい、何をする気だ…さっさと離せ!!」


「殺す気なんかないよ!!! 俺はずっとお前を殺したのを後悔してたんだ。


俺のクリスマスの願い知ってるか?サンタ宛ての手紙に『今夜だけでもドヴラートフに会いたい』って書いたんだよ。


無茶な願いだとわかってたけどそう書いたんだ…


だってドヴラートフ、お前は俺の唯一の玩具…いや、好敵手なんだからさ!


でもさあ、何でクリスマスに死人のお前が戻ってこれたんだ? 死んだ人がこの世に戻ってくるのはお盆だろフツー。」




「(さっき我輩のことを玩具と言いかけたな貴様…)


……作者の気まぐれのせいだ! あやつが“出てこい”とぬかしてきたせいでここに居る。


あやつは“クリスマスの方が話が作りやすい”とも言ってたが…だからといってこんな戯けた格好で出すとはけしからん!!!」




「作者が言ったなら仕方ないよな。 だってさあ、“ニャーちゃんのハッピーお盆”なんて話作ってもつまんなそうっしょ?


あいつだってあいつなりに頑張ってるんだから大目に見ればいい。」




「確かに貴様の考えも一理ある。だがクロ…あの忌々しい殺人セコムぐらい解除したらどうなんだ貴様!?」


「あーーっ!!! お前論点すり替えやがってええええ!!!」






一方、防音室の外では何も知らないニャーちゃんとロレッタだけが残されていた。




「ねえねえ、クロたんはサンタさんとどんな会話してるんだろうね。気になっちゃうお。」


「あたいも気になる…けど、クロにはクロのプライバシーがあるから、それを守ってやんないとな。」


「そっかぁ、そうだね!」






「なあドヴラートフ…俺はお前の死後、お前そっくりのアンドロイドを作って暫くの間


現実逃避を楽しんだ後それを宇宙に葬ってお前の死を受け入れた筈だった。


でもほんとうに実物がこっちに来たっていうんなら気が変わったよ。


そこで俺からの提案なんだけどさぁ…お前俺の家族としてここに住む気はないかな?


同じ食卓を皆で囲み、一緒に人類の運命を翻弄して、ときに命を懸けた大喧嘩を…」




「否否否ぁッ!!!!過去改変などこの我輩が許さぬ! クロ、少し頭がいいからといって何をやってもいいと思うな。我輩は一章で死んでいるのだぞ!?


貴様は貴様のやるべきことをやるんだ。貴様も戦う者の端くれなら、ぶれるんじゃない!!!」




「悪い、俺が間違ってたよドヴラートフ。


分かった。やっぱそれは俺がやるべきことを終えてお前の所に行くまでおあずけだな!


今日は貴重な時間をくれてありがとう。今日のことは忘れない…


あ、そうだ…最後にこれやっときたいんだよね…誰も見てないし良いだろ!?」


「おい貴様!!我輩はそんな事聞いとらんぞ…!!」




突然クロに飛び掛かられたドヴラートフはよろけたついでに自分の背中で壁の開閉ボタンを押し込んでしまう。


厳重な扉が押してはいけないボタンのせいで開け放たれる…


ロレッタの言うクロのプライバシーとやらはクロ自らの手で打ち砕かれた。






「あーーーーっ!!! クロたんがサンタさんにキスしたーーーっ!!!」


「だーーーーーーッ!!!  何してくれてんのクロ、目が潰れるわァ!!!」


「ロレッタ…こ、これは誤解だ…」


「誤解も何も…見たまんまじゃないか!!!」


(は…離せ矮人。願わくは、一刻も早くこの場から立ち去りたい…)


「恋人がサンタクロース♪ 背の高いサンタクロース♪ ゆーきーのー街―かーらー来たーッ♪」








午前4時…ドヴラートフは皆に見送られてクロの家を去ろうとしていた。




「サンタさーん、手袋と帽子ありがとお! また来年会おうねーッ!」


「ありがとなサンタクロース。 この大きな蜂蜜は大切にいただくよ!」


「続きは楽屋でな、サンタさん(笑)」




「それじゃあ、来年も良い子にしてるんじゃぞ。


ホーホーホー、merry christmas!!」




喋るヒグマと我が子、それから“重度のド変態”に満面の笑みを見せた後、そっぽを向いてその場から退場する。


さっきとは正反対の、とんでもなく不機嫌な表情を浮かべて…




(もうサンタ役はやらぬ! あれは労災に違いないぞ、作者め!!! 


今に見ていろ…誠心誠意込めてこの我輩に謝罪するまで永遠に叩きのめしてやるわ!!!)




リビングにて、サンタクロースが去った後クロは顔を赤らめてロレッタにこう言った。




「もう二度と床掃除せんわ俺www」


「いや、ちゃんと掃除しとけってwwwww」




「ねえクロたんクマたん、雪がいっぱい!!あそぼあそぼーっ!!」




「ああ、勿論だよニャーちゃん!」


「よっしゃあ!!  俺、さっぽろ雪まつりみたいな雪像作るッ!!!」




二人はニャーちゃんの声に答えて外へ飛び出し、


振り続ける雪の中暗くなるまで遊んだという…








「クロたん、クマたん! またやりたいねーっ!」




後日…彼らはクリスマスの思い出話に花を咲かせていた。




「ああ、もちろんだよ!! まさかクリスマスがこんなに楽しいとは思わなかったぜ。


サンタに会えたし…饅頭はサンタと一緒にプレゼント配ったんだよね?」




「そうそう! いろんなお願いがあってすっごくおもしろかったお!


お金とか、世界平和とか、その人らしいお願いがたーっくさん!!!」




「そうだ、来年こそはヰ勢丹のローストビーフ食べたいよね。


そのためには、あの金髪男に治験と称して“菜食主義者になる劇薬”を念入りに盛っておかないと…」




ニャーちゃんとクロが楽しく会話している横でひとり、ロレッタだけがずっと難しい顔をしていた。




「なあ、クロ…」


「どうしたロレッタ?」




「イブから雪が止んでないんだが…なんかいろいろと大丈夫なのかい?」


「ま…まさか!!!!」




クロは気象制御装置のボタンを押すだけ押して、停止ボタンを押すのを完全に忘れていた。


だが、時すでに遅し。 自らが犯した過失の代償を一身に受けることとなる。




ガシャーーーン!!!!




「ああああっ!!!屋根が潰されたああ!!!!」


「きゃーっ! おうちまっしろ!」


「つめてええええ!!!」




こうして、ニャーちゃんとクロとロレッタによる混沌に満ちたイレギュラー極まりない


クリスマスは終わりを迎えた。




その後、クロは近所の屋根の雪下ろしに奮闘し、ロレッタは蜂蜜を食べて寝床に入り、


ニャーちゃんはお菓子を食べながらアニメ鑑賞して過ごしたという。


そして今作の作者であるこの私はその後どうしたのかというと、ドヴラートフからの「労災認定をおろせ」という要求を呑まされて、本人の気が済むまでドヴラートフの酒器にウォッカを注いで過ごす、隷従とご奉仕の日々を送る羽目になったのであった…






( ´∀`)おしまいだお!

本日も御一読ありがとうございました! 年末もイレプロを宜しくお願いします!



◇あとがき◇

本編で日常要素少なめだったので我々作家陣としてもある意味新鮮な回でしたね......(-_-;) 今回の作者さん(クロの中の人)、お疲れ様でした! by作者A


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