【二夜連続クリスマス特別編】ギャグ&日常回 ニャーちゃんのハッピークリスマス①
※1:ギャグ回という名の、ほぼ別世界線です。理性よ、仕事してくれ......。
※2:温かい眼差しでご覧くださいませ......(-_-;)
「わーい!!もうすぐクリスマスだおーっ!!」
12月24日、真夜中の3時頃…
クラッカーの爆発音とニャーちゃんの一声でクロとロレッタは飛び起きる。
居ても立っても居られないニャーちゃんはクラッカーだけでは飽き足らず、クロの耳元で
Whamの某クリスマスソングを特に歌詞の意味も知らないで楽しそうに歌い出した。
「やめろ饅頭、寝かせてくれ! 俺は今寝たいんだが! ついでに言うとお前が楽しげに歌ってるその歌はふられた男の…」
「まあまあ、大目に見てやんなよ。
クリスマスであんなにはしゃぐヤツってなんか子供っぽくて可愛いじゃないか。」
「クリスマスの嫌な思い出…ブランデーケーキで酔った12年前の俺が“押しちゃいけないボタン”を片っ端から連打して大目玉を食らったこと……」
丸く収めようとするロレッタと、言いたいことだけ言って再び布団に潜り込もうとしているクロ。
そんなクロをニャーちゃんは丸い体から引っ張り出した小さな手で引き留める。
「クロたんとクマたんはおとなだし、クリスマスにあきてるのは何となくわかってるお。
でも、ニャーちゃんにとって今年はうまれてはじめてのクリスマスなんだお!
ニャーちゃんみんなでクリスマスやりたいんだお!」
それを聞いたロレッタは快く承諾した。
「その話乗ったよ!! クロ、あんたも乗るかい?」
「俺はクリスマスを飽きるまで遊びつくしたとは言えないかもしれない…俺もその話乗った!!!」
「うわーーい!!!クロたんとクマたん、ありがとお!!!」
決断を下したクロの行動力はすさまじいもので、近所の者が皆寝ている事などおかまいなしに作業する。
電飾やリースをゼロから創造するなど、何でも秒でこしらえるクロには容易い事だった。
「ねぇクロたん。 ゆき降らせて、ゆき!」
「饅頭、お前俺のことを神だとでも!?」
苦笑いを浮かべるクロは正体不明の液体を次々に大きなフラスコに入れて、できあがった無数の輝くオーナメントをロレッタに受け渡している。
「何言ってんだい、あんたが今やってるそれは神の所業にしか見えないだろうが!!」
ロレッタが突っ込みを入れる。
「ほら見ておクロたん。 みての通り、クリスマスにはゆきが必ず降るんだお!」
ニャーちゃんが自室にあったクリスマス関連の絵本を見せてくる。
“ねこにゃんシリーズ⑱ ねこにゃんのくるみ割り人形”
“ニャーちゃんとサンタさんのぼうけん さく・え ニャーちゃん”
“うさぎのうーたんシリーズ⑫ メリークリスマス!うーたん”
絵本は表紙も中も雪の描写でいっぱいだった。
ニャーちゃんはこれらを見てクリスマスは雪が降るものだと判断したらしい…
ニャーちゃんがぶちかましてきた超理論に思わず失笑しそうになったが、クロはひとつ
いい方法があることを思い出した。
「…気象制御だ!」
手をポンと打ったクロは壁の収納スペースを開けて、押しボタンが並ぶ巨大な制御盤を出した。
「俺がこの”雪”と書かれたボタンを押すと、地下格納庫の気象制御ドローンが雲に凝結核を散布しに行く。
そんで、こっちの表示機をマイナス6度に設定して、その隣を3度に設定すればじきに
ここら一帯は真っ白になるよ!」
「クロ、間違って隣の氷河期再来ボタン押したらあたいがぼこぼこにするわよ…」
「やる訳ないでしょ、俺今シラフなんだから!!!」
ドローンを飛ばしてしばらく経った頃、ニャーちゃんのおねだりとクロの科学力で汐ノ目の空に初雪が観測されたのであった。
「…そういやあソチ五輪のときもすんげえ降ってたよなあ!」
「他人事みたいに言ってるけどあんたの仕業でしょそれ…」
始めたら意外と楽しかったが故に終わりの見えなくなってしまった飾り付けを中断して、クリスマスデパートに向かうニャーちゃんとクロとロレッタ。
そのまま入店してディナーを買おうとする彼らだったが、スタッフに足止めされてしまう。
清潔感のあるスタッフの男性はお詫びの品…大量のプレミアム卵ボーロをクロに渡して怯えながら必死で土下座をしてきた。
「クロさん、申し訳ありません。デパートヰ勢丹でヒグマと謎の生き物を連れての入店は禁止となっておりますので…」
近隣の住民らはだれもがクロの事をよく知っていた。
それはこのヰ勢丹スタッフも例外ではなく、クロがたいへん頭のいい天才科学者であることと、彼、あるいは彼女の相方二名が人畜無害であることを理解していた。
しかしホンネはまぎれもないが”クロなんかを入れたら絶対にデパートが破壊される”である。
「じゃあおにいさん、これでどお?」
ニャーちゃんが空中大回転を繰り出した瞬間、小さな体が幼児体型に早変わり。
「は、はい…問題ないです。 失礼しました…」
クロが素直に帰ってくれると信じていたスタッフは予想外の展開に冷や汗をかいている。
「よーく分かったよスタッフさん、あたいも人間として入店するから!」
ロレッタも華麗な空中大回転を決めて背の高いストレートロングの女性に変身。
「え”えええええええっっ!!!!ロレッタもそれできたんかぁぁぁ!?!」
「かたい事言うんじゃないよクロ、不条理があってこそのギャグ回だからね!」
「あー!ロレッタの言うとおり、確かにこれギャグ回だったわ。
じゃあそういうことでスタッフさん、こんなお高い品を俺の為に買ってくれてありがとー!こいつはみんなで有難く食べさせてもらうぜ。 メリークリスマス!!」
突如、目の前で喋るヒグマとマッドサイエンティストがまるでこの世界が一つの舞台、
ゲーム、漫画、あるいは小説であるかのような奇妙な会話を連発する。
不可解な会話についていけない常人のスタッフは植え込みに嘔吐してしまった。
時刻は正午をきった。帰宅した彼らは再びクリスマスパーティーの準備を始める。
金髪男が住む隣の家もクロの家に負けないぐらい飾り付けられ、どういうわけか次々と華やかなギャル達が入っていった。
ニャーちゃんはヰ勢丹で買ったオードブルを盛り付けて、料理が得意なロレッタは職人顔負けの技巧で手巻き寿司を巻いていく。
一方、クロの多関節ロボットアームは緑のファイバー製ツリーを用意してクロ手製のオーナメントを吊り下げている。
クロ本人はというと、動画配信サービスでアニメを見ながらロボットを制御していた。
手元のタブレットに移るのは大人気SFアニメ、”GIGABYTE”である。
「おいしそうなお料理がたくさん!さすが『インスタの女帝』の異名をもつヒグマだね!」
「ハハハwwww あんただって人を笑顔にする天才じゃないか。
だけど残念だったよ、ヰ勢丹の美味しいローストビーフが今日に限って売り切れとはねえ…」
おいしいローストビーフを期待しつつヰ勢丹に行った一行だが、到着したころにはローストビーフはおろか精肉コーナーも空っぽで、かろうじて残っていた骨付きチキンを買って食すことでローストビーフを食べてるつもりになろうと一時は決め込んだのだ。
だが彼らはそれでもヰ勢丹の絶品ローストビーフをあきらめきれない…
すると、足の生えた災害がキッチンに忍び寄る不吉な足音が!
「…終わったあ!! 次はそっちの助太刀をするぜ!!」
「うわー! キッチンの破壊神がきたーーっ!!!!」
「もうあんたキッチンに立つのやめろォ! デンプン糊ビーフシチューだの三途の川プリンだの、このサイコキラーは地獄の食い物ばっか作りやがる…」
大火傷を負っても死ななかったヒグマと爆発でも死ななかった究極生命体が
能力を持たない一般人、もとい狂人に本気で怯えている。
ロレッタの口からは今まで食わされてきた身の毛のよだつようなキ○ガイ料理(ほんの一部を抜粋)の名前が出てくる。
天才科学者が家にひとり居ても生活の全てが楽になるとは限らなかったらしい。
「なんだよ。俺に信頼がないようだな…」
「あんた分かってるかい?ローストビーフ作るのに二酸化ポロニウムは要らないって事を…」
「じゃあ…ウラニウム」「使わんっっっ!!!!」
「牛肉のかたまりを丸ごとやいて、うすぎりにするの!
でも肝心のお肉がヰ勢丹になかったの!」
迫りくる地獄を回避したいニャーちゃんが必死の形相で、今にも科学実験を始めそうな
クロを阻止する。
「じゃあ牛肉作るか!! このcrEATable 2.0で。」
「あんた、食材を作るなんてミート○―プみたいなマネを…」
「違う違う、俺は牛肉のブロックを細胞レベルで組み上げてやろうっつってんの。」
クロは3Dプリンタに似た機械から出来上がった本物そっくりの牛肉を取り出す。
ニャーちゃんとロレッタは驚きを隠せない。これはまさかの地獄回避か!?
「そして、こいつをガレージに設置したアポカリプス13で調理する!!!」
…前言撤回だ。やはり今回も阿鼻叫喚が待っている。
「その肉を発射装置で撃って、マグネシウムの燃焼とレーザーカッターの網目を亜光速で通過させるって寸法なら悪いことは言わない……今すぐやめときな!!!」
「お前らの“NO”を“GO”に脳内変換して俺が失敗したことは一度もないぜ!!!」
最後まで足掻くロレッタをよそに引き金を引いたクロ。
瞬間…爆音が近所一帯に響き渡り、シャッターに風穴だけを残してさっきまでそこにあった肉の塊が姿を消していた。
いやな予感がした一行がシャッターを開けて前方に目を凝らすと、向かいの家の高級車が黒煙をもうもうと上げて大炎上!
フロントガラスには火山弾のようななにかが当然のごとくぶっ刺さっていた…
「おまえーーッッ!!!!!!!!」
「俺は潔白だね! 責めるなら肉を買い占めた野郎を責めるんだな。」
「違う!! 車ぶっ壊した責任をとるんだよ!!!!」
「だーいじょぶだッ!!あの夫婦は今アラスカで遊んでる!!
あれと同じヒュン○イのジェ○シスを買って同じ場所に置けば隠蔽終了ッ!!」
「誰でもいい!!!こいつに精神年齢の移植を…」
ロレッタが言いかけたその時、隣の家から酔っ払い達の大声が聞こえてきた…
「おいルミコ!遠慮しないでガツガツ食え! ハセヤマは俺様の酒飲めえ!!」
「キャーーー!! カツヒコ様うるわしいーーー!!!」
「美味しすぎて永遠に食べていられますわッ!!」
「この肉全部俺様が今日ヰ勢丹で買い占めたんだぜえ!!すげえだろお!!!!」
「カツヒコ様素敵ーーーー!!!!」
よりにもよって、頭の悪い金髪男のせいで肉が買えなかったと知り、殺意を憶えたクロは物置からチェーンソーを取り出す。
「肉の問題なら解決したも同然。隣の家に酒と脂の乗った上等な肉と生意気なモルモットが一匹居るからな…!!!」
「いやーーっっ!!!クロたんにニャーちゃんのパパたんが憑依したーー!!!」
「ウォル○ートで買う!!!あきらめて適当に○ォルマートで買うから!!!」
その後、マジギレを続けたクロは疲労でくたばり、止まることを知らない鼻血を必死で抑えていたという…
夜7時… クロは何事もなかったかのように奇跡の復活を遂げて(ローストビーフ問題も
無事に解決して)、ニャーちゃんとロレッタで夕食を囲んでいた。
隣の家では正午の賑やかさとは対照的に、ギャル達が「食べるだけ食べてもう用が無い」と言い残して全員帰宅してしまい一人残された金髪男が虚しさで号泣していたという。
「みんなでディナーを囲めるなんてクリスマスって楽しい行事だね!
カレーポップコーンとジンキャークッキーのおうちもおいしいお!」
「それにしても、クロの食べっぷりはヤバいわね。イクラがどんどん消えていく。」
「あー旨い…イクラだけが海産物で唯一好き。」
クロの暴飲暴食にひと段落ついたとき、ロレッタがひとつの箱を取り出した。
「クロ、あんたにこれやるよ。」
「こ、これはッ!!! クエンティン・タランティーノ監督の名作、“デスプルーフinグラインド○ウス”、しかもブルーレイ!!!!すげえよロレッタお前神かッ!?」
「いやいや、それは褒めすぎ……えっ、あんたあたいにペットショップ○ーイズのアルバムを!? クロ…間違いなくあんたが神だろっ!」
「二人とも、ギャラクシーキャンディとクラウドスライムくれてありがとお!
クロたんには“ザ・イ○タビュー”のブルーレイをあげる!!
クマたんにはこれ、東京ルチ○ーナのハニーショコラタルトだお!」
ディナーとプレゼント交換を終えた午後9時ごろ、
ニャーちゃんが「最後はみんなでクリスマスソングをツリーの前で歌いたい」と言っていたので、ツリーの仕上げと音源の用意をする。
「ねえクロたん、星はニャーちゃんが付けるお!」
「もちろん。饅頭の為に残してあるっしょ!」
ニャーちゃんがツリーに星を付けてクロが電飾を光らせたらツリーの完成。
彼らはツリーの前で有名なクリスマスの讃美歌、Hark, the Herald Angels singを熱唱した。
その後…寝る時間になっても興奮冷めやらないニャーちゃんは、天蓋付きベッドの中でクロに言った。
「今夜の夜はサンタさんが世界中の良い子におもちゃくれるんだって。
ニャーちゃんサンタさんに会いたいなぁ!」
「俺は世界の大統領に何度も会って誰も知りえないこの世の真実もたくさん見たが、
そんな俺でもサンタにだけは会えなかった…」
「まあ、会えた人なんて能力者の数より少ないと思うわよ…(クロが会えない理由は単純明快。ひとえに、悪い子通り越して危険人物だからだよ!)」
「わあ!サンタさんってそれだけすごい人なんだね!」
「じゃあ、寝ろよ饅頭。明日も好きなだけ遊ぶ予定になってるんでね。」
「おやすみニャーちゃん。いい夢見なよ!」
犠牲者を一切出さず、犠牲“車”を一台出したクリスマスイブも無事に終了。
そして午後10時…ニャーちゃんの部屋の電気は消された。
( ´∀`) まだまだつづくお!
本日も御一読ありがとうございました! 明日25日も17時頃に投稿予定です!
それでは、メリークリスマス!




