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ガチャ49 宝箱

一旦今日で更新停止です。三章終了までは後数話ですが、最後まで書き切れていないので少し時間を下さい。それほどお待たせすることはないと思います。

 マトゥアの大緋火扇鷲によって快進撃を続け、レベルが27になってから何度目かの戦闘も終わり、そろそろボス戦かというところでそれは現れた。


 宝箱だ。

 部屋の中央に宝箱が設置されている。


 実を言うと、俺はこの迷宮で宝箱を一度も目にしたことがないが、遭遇自体は一度しているらしい。それがいつかと言うと、暴れ坑道狸を倒した後だ。以前にマトゥアから、ボスドロップは宝箱から手に入れるものだという話を聞いている。


「おい、開けないのか?」


 宝箱を前にして固まっている俺をいぶかしんだのか、ドスドスと鎧に覆われていない部分を小突いてくるマトゥア。

 たしかに、マトゥアは以前宝箱を開けてアイテムをゲットしてるから、見つけたら開けるという考えに至るのもわかる。

 もしもボスドロップと同等のものが手にはいると言うのなら、強力な呪文や装備など、切り札となり得るものが手にはいるかも知れないんだからな。


 だがちょっと待ってほしい。チュートリアルステージである始まりの坑道では、道中唯の一つも出てこなかったというのに、今更こんな何でもない場所に宝箱が配置されているというのは怪しすぎやしないか?

 それもこのフロアは魔法生物研究所だぞ。だとすれば、あの存在である可能性を疑ってかかるのは当然なわけで……。


「マトゥア、騙されたと思ってあの宝箱を燃やしてくれないか?」

「はぁ?」


 たしかにこの部屋にはカプセルが設置されていないし、ドアも閉まっていない。一見戦闘部屋ではないように見える。これまでもそういう部屋はあった。中には何もなくて、ただの部屋だった。だが、それこそが罠であるように見えて仕方がない。これまでの戦闘部屋ではない部屋は、このための布石だったのではないかと。

 これは、今でこそレトロゲーと呼ばれるようなゲームをやったことがあるからこそわかる感覚。ハッキリ言って勘だ。勘でしかない。だが、断言する。罠だ。


 俺はマトゥアの目を正面から見て、信じてくれと無言のメッセージを送る。


「……ちっ、わかったよ。大緋火扇鷲!」

「チュンチュン!」


 俺の熱意に負けたのか、マトゥアはしょうがなさそうにしながらも承諾してくれた。ついでにピーちゃんもファイアーボールを詠唱している。


 マトゥアの翼から放たれた炎とピーちゃんのファイアーボールが絡み合い、一層強力な炎となって宝箱を包み込んだ。


「GYAAAAAA!」


 直後、怪獣のような叫び声を上げて宝箱が立ち上がった!

 箱の底から足が生えて側面からは腕が生えている。そして開いた箱の内側には、案の定鋭い牙。

 予想通り、こいつはミミックだった。


 立ち上がったミミックは、マトゥアとピーちゃんの炎に包まれながらも意に介さずこちらへ走り寄って来た。


 速い。いや、この階層の魔物が全部遅かったから、相対的に速く見えているだけか!


「エナジーバリア!」


 マトゥアを最大の障害と判断して近づこうとしていたようだが、ミミックとマトゥアの直線上に割り込んで盾を基点にバリアを発動する。


「シールドバッシュ!」


 そのまま、エナジーバリアを叩きつけてミミックを弾き飛ばす。スキルにはシナジーが存在する。このエナジーバリアがシールドバッシュに繋がるように、似た種類のスキルは無理矢理繋げて発動することが出来る。

 今までは盾で受けてからでなければ発動できなかったシールドバッシュだが、身体前面を丸々覆うほどサイズがあるエナジーバリアなら、盾を合わせることを考えずに使うことが出来、汎用性が大幅に向上した。


「撃滅の奇跡」

「おらあ!」


 弾き飛ばされたミミックは二本足でブレーキをかけることで倒れたりはしなかったが、停止する直前に炎を纏ったままのマトゥアに暴れ熊で殴られ結局吹っ飛んだ。


 部屋の壁に激突してめり込んだミミックに対して光の線が突き刺さり、さらにマトゥアの炎が襲いかかる。

 この階層の他の魔物に比べると耐久性に雲泥の差がある。もしかすると、まだ何かあるかもしれない。


 と、思って警戒していたが、結局マトゥアの炎が止めとなってミミックは消滅した。

 考えてみれば、ミミックは宝箱に擬態して不意打ちするのが本領であって、通常戦闘まで強かったら流石にバランスが悪い。

 今回は不意打ちされず、むしろ先手を取れた時点で勝ちは決まっていたようなものというところか。


「すげーなミサキ。なんでわかったんだ?」

「経験だよ。俺は経験豊富な大人だからな」

「へー、大人ってすごいんだなー」


 わざとらしく棒読みで持ち上げるマトゥア。こいつ、自分で聞いといて全然信じてないな。ある意味嘘ではないんだから、嘘か本当かわかるな信じてくれてもいいと思うんだけどな。


「ん? また出たな。あれも燃やすのか?」

「いや、ちょっと待って」


 ミミックの光の粒子が完全に消滅したところで、また一つ宝箱が出現した。しかも今度は部屋の中央ではなく、まさしくミミックが消滅したところだ。ちなみに、次の階層への扉も出現しているが、こっちは後回しだ。


 このパターンは想定してなかったな。ただ、二回連続でミミックなんてありえるか? これは普通に考えて、不意打ちされてでも勝ったプレイヤーに対するご褒美なんじゃないだろうか。

 仮に一度騙されたプレイヤーは、もしもを恐れて開けないかも知れないが、そういう心理的な駆け引き込みで配置された、本物のはずだ。


「今回は開ける。けど、もしもがあるから俺が開けるぞ」


 仮にまたミミックだったとして不意打ちを受けても、俺なら耐えられるはずだ。

 一応念には念を入れて全てのスキルのクールタイムが終わるまで待った後、ディフェンダーを使ってから宝箱の前に立つ。


 少しドキドキしながらそっと宝箱に手をかける。攻撃されるとしたらどのタイミングだ? 触っても大丈夫なら開いた瞬間が一番可能性が高い。

 俺は立ったまま勢いよく宝箱を開き、即座に一歩下がる。だが、食らいついてくる様子はない。


「ふぅー」


 思わず息を吐く。凄まじい緊張感だ。次は中身の確認と取得だが、腕を入れてところで噛みつかれるかもしれない。

 そうだ、もう開いてるんだし箱をひっくり返せば噛みつかれることはないな。


 宝箱の後ろに周り込み、底に指をかけようとして、気が付いた。持ち上がらない。

 なるほど、なるほどな。この迷宮の宝箱は持ち上がらない仕組みなわけだ。なるほでねー。


 クッソ恥ずかしい!! なんかマトゥアとピーちゃんが、何してんだこいつって目で見てる気がする! 超恥ずかしい!!


「ゴホン」


 軽く咳払いをして気恥ずかしさを誤魔化しつつ、宝箱の正面に移動する。

 もういい。普通に、さっと行こう。


「ふんっ!」


 俺は素早く腕を入れて中身をつかみ、……つかみ、……つか、掴めない!!


「何だよもう!」


 ミミックかもしれないという懸念を一瞬忘れて中身をのぞき込むと、中にはカードが一枚入っていた。これはさっと掴むのは無理だ。というか、こんだけがっつりのぞき込んでも噛まれないならもうただの宝箱だろ。


 必要以上に緊張していたことが馬鹿らしくなり、普通にカードを手に取ると、宝箱とカードは光の粒子になって消えていった。

 まあ、流石に2連続ミミックはやっぱないよなぁ。


 端末を確認すると、今までは持っていなかったカードが追加されていた。

 黒縁眼鏡のイラストが描かれており、名前は「真実の瞳」となっている。随分と大層な名前の眼鏡だ。俺は目が良いから眼鏡やコンタクトは付けないがその辺大丈夫なんだろうか。おしゃれ眼鏡みたいな感じで度が入ってないといいんだが。


 分類はアイテムで、装着している間は偽りを看破し真実を映すらしい。幻とかを使ってくる魔物と戦うのには使えそうだな。それ以外だと、あんまり戦闘で使えそうな場面は思いつかないが、宝箱から出てきたからにはいずれなにかの役には立つだろう。


 端末をしまって振り返ると、マトゥアが物欲しそうに腹をさすっていた。視線は自分の腹に向いており、俺に目撃されていることに気が付いてないようだ。

 直後、マトゥアの腹が大きくなった。どうやらお昼時みたいだ。


 ボスに挑むなら万全の状態で挑みたい。まずは飯にするか。

ビビリすぎなのです!

プレイヤーさんなら一回噛まれたくらいじゃ死なないのです!

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