始まりの予兆
「いってーな」と傷一つない頭を触りながら俺はつぶやく。
「いたたたた。あれ?確か地震が起きたとかいう声が聞こえて意識が遠のいたんだ。そうだ。鳥居の下敷きになったんだった。あれそういえばなんでこの空間こんなにも真っ白なの?」
「真理大丈夫か?お前をケガさせたらうちの親うるさいからな・・・。俺の今まで鍛えられたアニメ脳からするとここは異世界につながる世界ってところだよな・・・」
「脳の90%以上がアニメに占められてるかーくんからするとこれからどうすればいいの?」
「まぁさすがに90%は言い過ぎだと思うぞ。うん。普通ならここで美少女女神の案内人が来るはずなんだけどなぁ。って誰だよお前の後ろに立っているペテン師みたいな顔したおじいちゃん。真理、こんなところにおじいちゃん連れてきたの?」
「なんか人のおじいちゃんを軽く侮辱してきた気がするんだけど。まぁこんな人知らないんだけど」
急に長い髪も長いひげもやけに眩しい服も真っ白なそのおじいちゃんは笑い出した。
「ほっほっほっほっほ。儂にはまだ孫はおろか息子や娘さえいないぞ。この世界には今は儂しかいないからな。今はな・・・。ほっほっほ」
なんか含みのある言い方をしたけど無視しよ
「で結局誰なんです?」と、俺。
「私分かった。この人多分中二病気味の神様でしょ」
「わしは神様ではないぞ。中二病ってのはわからないがいい意味ではなさそうじゃな。簡単に言うと儂は案内人というところじゃろう」
「ではここはどこなんですか?」
「ここは異世界転生のための窓口じゃな。ここに来れるものはあまりいないんじゃぞ」
「じゃあ私たち(記念すべき?)一億人目の死者かなんかですか?」
「いやそんな出血大サービスは行っていないんじゃぞ。まぁお前さんたちがここに来た訳はまず・・・」
おじいちゃんの話はあまりにも長かった。もし腕時計をつけていたら短い針が三周するのを見れたくらいの時間はあった。おじいちゃんのクッソ長い話を要約すると、俺たちが鳥居の下敷きになって死んだせいで神の祟りだとか疫病神とか言われて神様のメンタルがズタボロらしい。でもって神様の顔についた泥を払うために転生させてくれるらしい。まぁこれは神様どんまいとしかいいようがないな・・・
「よしじゃあ早速異世界行きますか」と、真理。
「ちょっと気が早すぎるぞ。まだ本題にも入ってないんじゃぞ。君たち一人一人で行くか行かないか決めてくれ。行かないなら記憶は全て消されて元の世界でイチから。行くなら記憶は そのままで特典もつけてやろう。」
「その特典ってどういうものなの?」と、真理。
「簡単に言うと一人一人のお願いひとつずつ聞くというものじゃ」
ちょっと待てよ。どんどん話が進んじゃってるけど明らかにこのおじいちゃん怪しすぎるだろ、危険な香りしかしないけどこの際真理について行けばいっか
「俺は真理といっしょだったらどっちの選択肢でもいいよ」
「私もかーくんいや快生くんといっしょならいい」
「ほっほっほ。それじゃ決まらないのではないか。では私が勝手に決めてしまおう。異世界でがんばるんじゃ」
まぁどっちでもいいって言ったのは俺らだけどこんなあっさり決められてしまっていいのか?
「お願いは何にするんじゃ?大体のことならできるから遠慮なく言うんじゃ」
「じゃあ願い事を一人三つずつ叶えてよ」
「それはどんなにかわいいお前さんの頼みでも無理なんじゃ。すまんの」
「真理それはさすがに無理ってわかって聞いただろ」
「ちょっとあのおじぃちゃんを試してみたの」
「早くしてもらえんかのう。わしもここから早く出てゲームの続きがしたいんじゃ」
ゲームと俺らの人生どっちが大事なんだよ・・・・・・
「じゃあ私のお願い事はかーくん、いや快生君と一緒に行くことにする」
若干真理の顔が赤い。
「じゃあ俺の願い事も真理と一緒に行くことにする」
また若干真理の顔が赤くなってる
「ほっほっほ。まるでこの前やった青春ラブコメのワンシーンを見ているかのようじゃ。ラブラブなところすまんがもとから二人セットでおくるつもりだったんじゃ。」
真理がゆでたこ状態になってしまった。確かに恥ずかしい
「じゃ、じゃあ、せっかく異世界に行くんだし魔法を使える状態にしてください。まあ最初からこのお願いをするつもりだったんだけどね」
「じゃあ、俺は新しい生活で貧乏暮しはしたくないからお金をください。持てる分だけでいいですから」
「了解じゃ。君たちは面白いバカップルだったからオマケもあげるんじゃ。」
「はいはい。ありがとうございます。じゃあ、さっそく異世界転生お願いします」
「ではいくぞ。地、水、火、風、空、五つすべてを統括し陳の許可とタナトスとヒュプノスの力により汝らを深い眠りから目覚めさせよ・・・」
おじいちゃんがそういった瞬間おじいちゃんの周りと俺ら二人の周りに100以上もの大小さまざまな魔法陣が展開されていく
「ディープアライブ!!」
一つ一つの魔法陣からいろいろな色が出てきてそれが俺たちの体と意識を覆った
「やっぱりこのおじいちゃん中二病だ・・・」
「では楽しんでくるんじゃぞ」
なぜか頭がぼーっとしてきた。そして手足を様々な方向から引っ張られているような痛みに襲われた。
「あれなんかおかしいんじゃ」とおじいちゃんが言った気がした。
そこで意識が途切れた・・・・・・