表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅レイの花子さん  作者: 羽鵺
6/8

無人町のおはなし④


○×県△△町某所。


夕日の光に照らされている住宅街の中、陰を揺らしながら歩いていた"少女"が、何かに気が付き後ろを振り向く。



「……………来た」



"少女"がそう呟くと、突然木の葉を纏った突風が吹いた。

風が通り過ぎていった頃には、すでに"少女"はいなかった。





------------------------------------





自分がした事に呆然としていた真李の意識が戻って、最初に目に入ったのは、泣きすぎて目元が赤くなりしゃくり泣いている妹と、そんな妹を慰めている母親の姿だった。

真李の手の中には、先程まで妹に盗られていた懐中時計が有った。

幸い妹には怪我はなかったが、尻もちをついた衝撃と、いつも優しい姉の真李に突き飛ばされた驚きで、泣いてしまったらしい。



「ぅぐっ…ひっく……っっ…」


「…ぇ、あ……ごっ、…ごめっ」


「よしよし、こんなに散らかして、一体何があったの?」



真李は妹に何度も謝ろうとするが、言葉が突っ掛かり上手く声が出ないでいる。

母親は妹を慰めることに集中しているので、真李の様子に気が付いていないようだ。

真李は顔を青褪めて、口を開いたり閉じたりを繰り返す。



「…ぅう……ね、っ姉ちゃ……ひっく、にぃぃ……ちょぉだい、…って……ぅく…駄目っってぇぇ………」


「うんうん、そうか…お姉ちゃんに駄目って言われちゃったのね。まったく、部屋もこんなに散らかして、何やってるの?」


「…っえ、……ぁ、でも…」


「でもじゃないでしょ?はぁ、真李はお姉ちゃんなんだから我慢しなさい」


「………ぇ、…?」



真李は一瞬、何を言われたのか分からなかった。


懐中時計は、両親が真李の為にプレゼントした物だ。それを母親は、"お姉ちゃんだから"我慢して妹に渡せと言った。

妹が何を欲しいと言って駄目だと言われたのかまでは、母親は分かっていないことは頭では分かっていた。しかし、心がそれに追い付かない。


真李は俯き、手の中にある懐中時計を強く握りしめる。



「………か…んて…」


「え?」
















「お母さんなんて、大っっ嫌い!!!!」

















─────バキンッッツ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ