どこにも行かないで!
僕の名前は 【シューベル】10歳の男の子だよ。
僕のお父さんとお母さんは、僕が産まれた時から居なかったんだ!
僕を捨てたんだよ、、、!
だからね、、、?
僕は産まれた時から、施設で育てられたんだ。
僕のお父さんとお母さんの両方を施設で僕たちを可愛がってくれる
おばさんが居てね!
彼女の名前は 【リンダ】ふくよかな優しい僕たちのお母さんなんだ!
*
『みんな~早く起きなさい! 朝だよ~学校に行く時間だよ~!』
『・・・もう少しだけ、寝かしてよ~リンダ!』
『ダメダメ! シューベル、早く起きて~! 顔を洗って、朝ごはんを
みんなで食べるんだよ~』
『・・・分かったよ~』
『あぁ~シューベルとはイイ子だねぇ~』
『おはよう~リンダ~!』
『はい! おはよう~』
▼
リンダは、普段は穏やかなお母さんなんだけどね、、、?
怒る時は、お父さんのように怖いんだよ、、、!
『ジーン! 今、何時だと思ってるんだい! こんな時間まで遊んでちゃ
ダメだろう!』
『リンダには、関係ないでしょ!!!』
『あるわよ! アタシはね、あんた達のお父さんでもありお母さんでも
あるんだからね!』
『でも、本当の私のお父さんやお母さんじゃないわ!』
『・・・そうかもしれない! でも、アタシはジーン達の本当の親だと
想って接しているんだよ!』
『・・・もう、ほっといてよ!』
・・・ジーンは、そう言うと自分の部屋に入っていった。
『どんな事があっても、アタシだけは、、、見捨てないから! 信じておくれ!』
『・・・・・・』
▽
僕たち、ここの施設で育てられた子供たちはみんな知っている!
リンダにだけ、“信じてもいい唯一の大人”だという事を、、、!!!
僕たちは、いろんな事情があってここに集まってきた!
僕のように、親に捨てられた子供や虐待された子供、親に裏切られた子供
親の都合のいい道具のように扱われた子供たちがここに居る!
それでもね、、、?
どんなに酷い事をされても、、、どこかで僕たちは親が迎えに来てくれる
のを待っているのかもしれない、、、!!!
リンダも、そんな僕たちの気持ちを知っている!
だからなのか、、、!?
ここに居る子供たちに、リンダの事を【お母さん】と呼ばせないように
しているんだ!
何時、、、?
僕たちの親が迎えに来てもいいようにね!
*
リンダは、本当に優しい人なんだよ、、、!
でもね、、、?
ここの施設も、国の援助があって成り立っている!
でもこの国が、この施設をなくしてもいいんじゃないかと考えているらしい!
国の援助がないと、、、?
ここの施設はどうなっちゃうんだろう、、、?
リンダは、僕たちに心配させないようにいろいろ考えてくれている!
『みんな心配いらないからね! 大丈夫、アタシがみんなのを守るから!』
『・・・リンダ!』
『俺たちも、バイトでも何でもして! ここの施設の為に協力するから!』
『・・・あんた達! ありがとうよ~!』
『泣かないでよリンダ!』
『僕たちが、ここを! リンダを守るからね!』
『・・・シューベル! 嬉しい事を言ってくれるんだねぇ~ありがとう!』
『うん!』
▼
・・・そう言ったものの。
ここの施設は、国からの援助もなくなり、、、。
いつ、潰れてもおかしくないところまで追い込まれてしまった、、、!
『お金が、お金がない!!!』
*
そんな時に、一人の年配の男性がここの施設を訪れてきた。
【トントン】
『はーい! どなた?』
『わたしは、ローランド・ディークスです!』
『えぇ!? あの? 億万長者のディークスさんですか?』
『あぁ、はい! そうです!』
『・・・その、ディークスさんがうちに何のご用なんですか?』
『ここに、シューベルと言う少年が居ると聞きました! 彼はわたしの孫です!
彼の父親は、わたしの息子で、、、好きな女性が出来たからと言って
その娘と駆け落ちしたのですが、車で事故に遭い二人は亡くなってしまって。
しかし、、、? ふたりの間には子供がいた事をつい最近知る事が出来て...!
わたしは、探す事にしたのです! 調べた結果! ここにわたしの孫が居る
事を突き止めて! 今日、わたしはここに来る事を決めたのです!』
『・・・そうですか? 取り敢えず、中に入ってください!』
『はい! ありがとう。』
*
『狭いところですが、ぞうぞ! そこにお座りください!』
『はい!』
『飲み物は、暖かいミルクでいいですか?』
『えぇ! リンダさん、率直に言います! わたしの孫をわたしのところで
面倒を見ていきたいのです! 孫のシューベルとさえよければ、、、。』
『・・・ディークスさん、』
『勿論! タダとは言いません! ここの施設の事も調べさせてもらいました!
大変な事になっていると、、、? わたしがここの施設の援助をしてもいい!
だから、孫を、わたしに、、、。』
『・・・ディークスさん、それはアタシの決める事ではないわ! シューベルに
話して、あの子が自分で決める事だから、、、! 返事はその後でいいですか?』
『・・・あぁ、リンダさんの言う通りにしよう! いい返事を待ってます!』
『・・・えぇ!』
▽
僕はその日の夜、リンダから僕のおじいちゃんの事を聞いたんだ、、、!
『シューベル、ちょっといい?』
『なに? リンダ!』
『実はね? 貴方のお爺さんと言う方が今日、訪ねてきてね! シューベル
と一緒に暮らしたいと言っているのよ!』
『僕のおじいちゃん、、、?』
『えぇ! 貴方のお爺さまは、ローランド・ディークスさんよ!』
『えぇ!? あの? “億万長者”のローランド・ディークスが僕のおじいちゃん
なの、、、?』
『えぇ、そうよ! 1度、会ってみる、、、?』
『うん!』
*
僕は今日、リンダからこの話を聞いて! 決めたことがある、、、!!!
僕はおじいちゃんと一緒に暮らすと、、、?
その代わり、ここの施設を助けてくれるようにおじいちゃんに約束
してもらおうと、、、僕は決めたんだ!!!
▼
数日後、、、。
僕のおじいちゃんと言う、ローランド・ディークスが僕を訪ねてきた。
『うぉーーー!!! シューベル、会いたかったよ~!』
『おじいちゃん~!』
『シューベル、おじいちゃんと一緒に暮らそう!』
『いいよ! その代わり、おじいちゃんと約束して欲しい事があるんだ!
ここの施設を助けてくれないかな、、、?』
『あぁ! 約束しよう!』
『うん! じゃ~僕はおじいちゃんと一緒に暮らすよ!』
『・・・シューベル、それでいいの、、、?』
『これでいいんだよリンダ! それにリンダと約束したよね、、、?
【僕たちが、ここを! リンダを守るからね!】って! 約束を守れて
僕も嬉しいよ!』
『シューベル、』
*
次の日、、、。
ローランド・ディークスが僕を迎えに来た、、、!
『じゃ~みんな元気でね!』
『シューベル、行かないでよ!』
『シューベル!』
『ごめんね! みんな今まで、ありがとう!』
『シューベル、』
『シューベルが居なくなると寂しくなるわね!』
『大丈夫だよ! 何時でも遊びに来るからさ~!』
『そうね! もう、会えなくなる訳じゃないんだしね!』
『そうだよ!』
『リンダ! 今まで、僕を育ててくれてありがとう!』
『シューベル、』
『そんな顔しないでよ~もう会えない訳じゃないんだよ!』
『そうね!』
『じゃ~リンダ! 僕、もう行くね!』
『・・・待ってシューベル! どこにも行かないで! やっぱり貴方は
アタシの子供だから! 何処にも行かせたくない!』
僕は、リンダのその言葉を聞いて涙が止まらなくなった、、、!
いろんな事が頭の中に浮かんで、楽しい時も寂しい時も、悔しい時も
辛い時も、たくさん笑った時も、、、何時も僕の傍にはリンダがいたから!
『お母さん!』
『シューベル!』
その時、、、!?
車から見ていたローランド・ディークスが僕とリンダのところに
来て、こう言った、、、!
『もういい! シューベル、お前は今まで通りここで暮らしなさい!
ここの施設の事は心配しなくていい! わたしが何とかするから、、、!
血の繋がりより、強い心の繋がりには勝てないようだ、、、!』
『ありがとう! おじいちゃん!』
『あぁ! じゃあな!』
『うん! また改めて僕からおじいちゃんに会に行くね!』
『待ってるよ! じゃあ、リンダさん、シューベルの事よろしくお願い
しますよ!』
『ディークスさん! ありがとうございます!』
▽
これで、ここの施設は無事に残る言事になったのです。
僕は18歳までここの施設に居て、そこからは、ローランド・ディークスの
下で、仕事やなんやらの後を継ぐために今は勉強中。
それと、たまにね、、、?
リンダに会に行って、僕はリンダにこう言うんだ、、、!
『お母さん! 帰ったよ!』
『お帰り、シューベル!』
最後までお読みいただきありがとうございます。