とりあえず……面接場所に向かいます。
自室の窓に着いているカーテンの隙間から朝日の光が差し込む。
いつも通り七時にセットしておいたデジタル表示の目覚まし時計がなり目を覚まして、クローゼットから制服を出し着替える。
そして、二階の自室から出て階段を降りて1階のリビングに入いり、いつも座っている椅子に座った。
「おはよう静馬」
「おはよう」
朝食の準備でフライパンを使っている母親と挨拶を交わす、父親は既に出勤したようで食べ終わった食器だけが残っていた、テレビについた番組を見ながら出された朝食を食べていると、空いた食器を片付けている母親が言った。
「これからしばらくまたお父さん仕事で帰って来れないらしいの、それでねお母さんも仕事で家を空けなきゃならないんだけど、静馬一人で大丈夫?」
「そうなんだ前にもあったし、もう高校生だよ?大丈夫ご馳走様」
朝食を食べ終えリビングにあるデジタル表示の時計を見て七時三十分を確認すると椅子から立ち上がりリビングを出て玄関に向かう。
「じゃあ、お母さんいってくる仕事がんばって」
「ありがとう、食費に必須お金はこの口座に入れておくわね、通帳とカードはテーブルに置いておくわ他はお母さんが払っておくから」
「わかった、いってきます」
「いってらっしゃい」
指定の革靴を履き玄関の扉を開け外に出るとバイクに乗った配達員がポストに何かを投函したのが目に入った。
「なんだろうまぁ帰ってきてから見ればいいか、今は学園に行かなきゃいけないし」
何が投函されたのか気になったが、ポストの確認は後回しにしていつも通る通学路を歩き学園へと向かった。
学園の授業とホームルームが終わり、教室のまどからは夕日の光が差し込んでいた。
クラスメイト達が教室から出ていく。
自身も教室から出て革靴を履き校門を通り学園を後にする。
そして、近くの公園を通りがかったときだった、遊んでいた子供達が大きな声をあげる。
その声に気づき公園の方に視線を向けると、ボールが飛んできていた。
しかし、反射神経はいい方だったので難なく避ける事ができた、壁に当たったボール手に取って拾いにきた男の子にさしだす。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「気をつけて遊ぶんだぞ?」
拾いに来た男の子は頷いて笑顔でお礼を言うと走って公園に戻って行った。
その後ろ姿を見送ると、自宅に向かって再度歩きだす。
「そういえば朝ポストに何かいれていったな、帰ったら見てみるか」
ポストの蓋を上にあげるときぃと音をたてる、中を確認すると裏返しに入った西園寺静馬様と宛名の付いた封筒だった、表側を見てみるとアルバイト募集と書いてあった。
「アルバイトかなんだかんだ学園でもやってるクラスメイトもいるしなぁ、内容次第ではやってみるのも悪くないかも」
独り言を喋りながら自宅に入り、自室で着替えて1階に降りてリビングに入ると、椅子に座って封を切り中に入っている3つ折りにされた紙を広げ見てみると、連絡先、必要な物として履歴書、募集条件高校生以上とだけが書いてあった。
しかし、肝心の仕事内容が書いていなかった、簡単なお仕事です!とほかの文字より大きく書いてあるだけだった。
「簡単なお仕事か……とゆうか時給も書いてないけど、悪戯か?でもちゃんと配達員の人がきたしなぁ、アルバイトに興味あるし連絡先も書いてあるから電話してみようかなぁ」
テーブルに紙を置き腕を組んだまましばらく考えていると、ポケットにしまっていた携帯が鳴った、取り出して画面を見てみると母親からだった。
「お母さん、どうしたの?」
「今少し休憩に入ってね、ちゃんとご飯食べた?」
置かれたアルバイト募集の紙を手にとり見ながら話をしていると、試しに聞いてみようかなとアルバイトの事について話題を切り替えた。
「ねぇお母さん今さポストにアルバイト募集って紙が入ってたんだけどしちゃ駄目かな?」
「アルバイト?お母さんは別に構わないわよ、お父さんもいいって言ってくれると思うしやってみたら?」
何となく予想はしていたがその通りの返事が返ってきた、昔から両親はあまり口出しをする方ではなかった、仕事内容は言っていないが簡単な仕事らしいし言わなくていいだろうと思い言わないまま通話を切った。
「んー両親の許可はとれた、まぁ学園は自由ってなってるし掛けてみるか」
学園では許可証をいちいち見るのは手間だと、アルバイトに関しては自由になっている緩い校則だった。
そして、紙に載っている連絡先に携帯で電話しつみると四十代位の男が出た。
「はい、どちらさんですか?」
「は、初めましてあ、あのアルバイト募集の紙をみて電話した西園寺静馬って言うんですけどまだアルバイト募集していますか?」
緊張して口調が少しギクシャクしてしまう、少し間を空けてから男が喋りだした。
「明日、商店街の近くの公園にきてくれ詳しい話はそこでしよう、手ぶらでかまわない」
募集の紙には、必要な物に履歴書が書かれていたのだがと疑問に思い一応たずねてみた。
「あの必要な物に履歴書と書いてあったと思うんですけど、持っていかなくて大丈夫なんですか?」
「あぁ……あれは建前上ださっきも話した通り手ぶらいい、履歴書なんて持ってこられても読むの面倒だしな」
「え?あの最後の方があまりよく聞こえなかったのですが……」
男の声が小さくブツブツと独り言のようになってしまって、 最後の方は良く聞こえなかったが、男はまた話始めた位の声量で話始めた。
「いやなんでもない気にしないでくれではまた、明日公園であと言い忘れた時間は昼の十時だ」
言い終えると通話を切った、なんだか良くわからない人だなと思いつつその日は、明日にそなえてすぐ寝ることにした。
翌朝、この日は学園も休みで昨日約束していた公園に、指定された10時に間に合う様に向かった。
そして、公園に着くとベンチに座る坊主に近い長さの黒髪で葉巻を吹かしながら空を眺める筋肉質な男がいた。
昨日話した男だろうと歩み寄ろうとするが、突然公園からは離れた場所から空気を切り裂く様な鋭い音がした、すると何かが自身に向かって飛んでくるのがわかった。
昨日避けた子供が投げたボールより当然ながら明らかに速かった。
だが、上半身を左側に逸らしギリギリでなんとか避けた。
そして、地に片膝を付き冷や汗をかきながら肩で荒い呼吸をしつつ後ろを振り返ると、飛んできた弓矢らしき物が木に刺さっていたが、紫色の光の粒子となってすぐに消えてしまった。
不思議に思いつつ視点を変え前を向けると、ベンチに座って空を眺めていた男が吸っていた葉巻を捨ててこちらに歩み寄ってきた。
「さぁ面接を始めようか」
と少し笑みを浮かべながら言った。