表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道徳の解答の作り方 ー文芸部による攻略ー  作者: 天明透
第5章 2学期中間試験編
77/332

19話 試験当日


 試験当日。1科目、世界史B。


 一浜での試験も、課題試験を除いてもこれで3回目、慣れたものだ。この世界史の試験も予想していたような問題が並んでいる。ただ年号を答えさせるのではなく、並び替え。地図を用いた地理的な問題。完全に予想通り。


 僕は何の迷いもなく、答案用紙の全項目を埋めることができた。


 つまらないな。


 そう思っている自分がいた。


 ただ覚えたことを出力するだけの作業だ。そりゃ、面白くはない。だが、自分を苦しませる問題がなかったことをつまらないと感じるのは、どうなのだろう。


 きっとわからない問題があったなら、死ぬほど悔しいと感じただろうし、一時的に自己嫌悪にすら陥ったかもしれない。なのに、それがなかったからつまらない? バカか、僕は。


 解き終わり、見直しを終えても、時間は有り余っていた。こう時間を持て余すと、なんとなく周りの様子なんかが気になって来る。試験中に周りを見渡せるわけもないのだが。


 佐伯さんはこの試験は解けただろうか。佐伯さんが覚えたと言っていた範囲からの出題はやはり半分ほど。他が全滅で、ここの記述問題を全て落とすと、30点の赤点ラインが見えてくる。いや、さすがに全滅だの記述を全てを落とすだのはない……と、佐伯さんの場合は言い切れないか……。


 人の心配をしてるなんて、随分余裕なんだな、僕。これでケアレスミスなんかあったら笑えないぞ、本当。


 僕は佐伯さんの心配なんていう不毛なことはやめて、自分の答案を再度見直すことにした。


 何度見直しても、その内容を変えることはなかった。



「百瀬くーん、ありがとー!」


 試験初日終了直後、満面の笑みの佐伯さんと、少し苦笑の混じったような微笑みを浮かべる百瀬くんの姿があった。


 佐伯さんは大丈夫だったらしい。


 試験は後2日あるけれど、あの様子ならきっと大丈夫なのだろう。おそらくは勉強会の効果があってのこと。まぁ、僕はその勉強会において、佐伯さんに特に何も教えていないし、関係ないのだけれど。


 僕は特に挨拶をすることもなく帰路についた。



 試験なんてものは、始まればすぐに終わる。すでに自信の持てる科目の試験は全て終え、残りは1科目。道徳だ。


 まぁ、道徳に関しても、今までと同じように解けばいい。そう考えながら、どうでもいい選択問題を終わらせていった。


 そして、記述問題。その内容を見て、僕は少し困惑をした。


『あなたならA、Bのどちらの行動を取るか。理由も含めて記述しなさい』


 この手の問題は、Aを選んでもBを選んでも、理由によっては高得点を取れる問題のはずだ。だが。


 ……僕が道徳の解答として書くなら、どちらの行動も選ばない。


 問題にない選択肢Cで、より良い理由づけができるのが思い浮かぶ。A、Bどちらもの利点を拾えて、実現性も低くない。


 出題ミスを疑うような問題だった。


 なんだ、これ。問題がA、Bのうちから選べと言っている以上、別の方法を挙げるのは題意に沿ってない。そのような答案は、国語や英語なら部分点すら入らない。問題の答えとして、明らかな間違いだからだ。


 いや、しかし、別の方法が良いのは間違いない。これは道徳の試験だし、その着想ができることを高得点の要素に設定している可能性もなくはない。


 なんだよ、これ。出題ミスなんじゃないかと、本気で指摘したい。だが、道徳の試験に明確な出題ミスなんてあるのか?


 どう答えればいい? 無難なのは、A、Bのどちらかを選ぶことだ。出題がそうなっている以上、それが安全。しかし。


 僕は今、あの人と勝負をしている。


 多少リスクがあっても、できる限り高得点を狙うべきだ。


 なぜこんな問題を。そう思わずにはいられない。こんな問題を出されれば、誰だって迷うだろうに。


 僕は問題文にはない行動を記述した。


 ほら、わからない問題が出題されたって、面白いわけがない。苛立つだけじゃないか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ