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道徳の解答の作り方 ー文芸部による攻略ー  作者: 天明透
第5章 2学期中間試験編
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13話 俺は結構欲張りなんだ


 試験前の週末。本当は家にこもって勉強したいところなのだが、僕は外に出ていた。


 模試の申し込み。申し込み自体はネットでできるが、料金の支払いにコンビニまで行かないといけない。まぁ、コンビニに行くのなんて、歩いて10分かからないのだけど。


 模試を申し込むにあたって、受験科目を意識することになった。主要3科目はいい。もちろん使う。問題になるのは、理科2つと社会科1つ。

 今回の模試では、学校ですでに勉強している物理、生物、世界史にした。でも、本番はこうはしないだろう。中学の頃を考えるに、理科2つとなれば、物理と化学を選んだ方がよさそうだし、僕は世界史よりも日本史の方が好きだ。


 受験勉強を始めなくては。そんな意識が生まれた。


 今は、僕は定期試験の勉強に躍起になっている。それが受験にも役に立つだろうとは思う。だが、なんちゃって進学校の一浜の定期試験は、当然だが、難関大学の入試問題よりずっと簡単だ。


 模試の日程は10月末。そこで、今の自分の実力を知ろう。受ける模試は2年生対象模試なので、習っていないものも出るだろう。だが、受験で、学校で習ってないからなんて言い訳は通らない。2年生対象なんだからできなくても仕方ないなんて、そんな言い訳は、少なくとも母親には通らない。


 この定期試験が終わったら、受験勉強をしなくては思う。


 そう思うと、科目を物理、生物、世界史にしたことを、少し後悔した。


 コンビニで支払いを終えた僕は、書店に向かって歩いていた。


 出不精な僕は、1回の外出でできるだけ用事を済ませたいたちなのだ。


 買い求めるのは、化学と日本史の問題集と参考書。それに金を使ってしまえば、やらなくてならないという思いを自分に植え付けることができる。


 学習参考書のコーナーで問題集を物色する。どれがいいのか、ピンと来ない。


「あれ、蒼井?」


 複数の問題集を開いて比べていると、後ろから声をかけられた。振り返ると、そこにはバッグを背負った百瀬くんが立っていた。どう反応すればいいかわからないので、とりあえず会釈をする。


「参考書選びか? ……日本史?」


 百瀬くんは僕の開いていた問題集を見て疑問顔をした。別に疑問に答える必要もない。僕は「まぁ」というよくわからない答えを口にしていた。


「な、よかったら、蒼井オススメの数IAの問題集とか教えてくれないか?」


 そんなことを言われた。だが、僕は数学の問題集をあまり吟味してはいない。


「チャートでいいと思いますよ」


「蒼井は青使ってるんだっけ?」


「はい」


「赤はやっぱり難しいのか?」


 別に何問も解き比べて青を選んだわけでもない。最初は青でいいかと思っただけだ。なので、赤が難しいかと言われてもわからない。


「たぶん」


「そっか。学校の問題集って、簡単な部類になるんだよな?」


「白より簡単だと思いますよ」


 学校で指定された問題集は、教科書レベルの問題しか載っていない。あれでは定期試験の勉強すら網羅できてはいない。


「やっぱりそうなんだな。あれ全部解けるようにしても、定期試験じゃ8割ってとこだしな」


 百瀬くんは、試験範囲の問題集の問題を全て解けるようにするくらいはしているようだ。僕の主観では、それが普通の感性だ。解けない問題があるのに試験を受けるのは、怖い。


「一浜の定期試験は、10点分くらいは入試レベルの問題が出ますからね」


 満点阻止の難問ということになっている。だが、難関大学の過去問を見れば、同程度の問題など普通に出題されている。


「それが解けるようになるには、どの問題集がいい?」


 別に、青でもそこから応用すればいいとは思う。でも、その手の問題を主に解きたいのであれば。


「赤だと思います、たぶん」


「そうか。ありがとう。後は自分で見て決めるよ」


 そうしてもらえると助かる。僕のオススメというだけでその問題集を買うというのは、ちょっとやめてほしいと思った。


「蒼井は何で日本史の問題集を見てるんだ?」


 はっきりと疑問を口にされれば、別に答えない理由もない。


「そろそろ受験勉強を始めようと思いまして」


「で、日本史か。蒼井って文系?」


「理系です」


「国立か。蒼井ならそうだろうな。俺は文系だから、来年はクラスが別になるわけだ」


 文系なのに赤チャートを買うつもりなのか。意識高いな。


「別に、百瀬くんとクラスが同じでも別でもいいですけど」


 正直なことを口にしていた。


「俺としては、同じ方がよかった。知ってるか、試験のたびに俺のクラス順位は2で埋まるんだ」


 もちろん知らない。知るわけもない。


「俺は蒼井に勝ちたいよ」


「勉強以外だったら、なんだって勝っているでしょう」


 僕は勉強以外には読書量くらいしか誇れるものはないのだから。


「俺は結構欲張りなんだ」


 ニッと笑ってそう言った百瀬くんは、そこに嫌な感じはまったくなくて、そんなところにちょっと嫌な気分になった。


 まぁ、でも、なんでもできるってのは、なにもできないのと同じくらい大変なのではないかとも思う。


 彼に羨望や嫉妬を抱くということは、僕にはなかった。


 彼は僕にとって、どうでもいい存在から変わることはないだろう。


 理系で社会科科目があるように、受ける模試はセンター試験模試想定です。もうすぐセンター試験が変わることは無視していきます。

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