31話 無駄話
短いです。こういう話はうまく書けません。
帰路。疲れた。1日で最も疲れたのが打ち上げというのはどうなんだよ。
漫研との合同の打ち上げは最終下校時刻まで続いた。別につまらなかったわけでも、不愉快だったわけでもない。しかし、疲れたものは疲れた。
家から学校までの近さに感謝することは度々あるが、今日も今日とて、僕はこの近さに感謝していた。
家に着くと、ただいまの一言を言うこともなく、自室へと向かう。さっさと着替えよう。そう考えていたのだが、自室にたどり着く前に、その隣の部屋のドアが開いた。
「あっ、やっと帰ってきた」
「ああ、ただいま」
「あっ」とか言っているが、僕が帰ったのに気づいてドアを開けたのはわかりきってる。文化祭での部長とのやり取りで何かしらあったのかもしれないが、あぁ、面倒だな。
「ねぇ、文芸部って兄さんとあの可愛い人たち2人なの?」
この言い方の時点で面倒くさい。
「なぁ、わりと疲れてるから、また今度でいいか?」
「嫌だ」
はぁ。こいつ、親とか教師には聞き分けがいいのに、僕に対しては好き勝手言う。
「なら、後ででもいいか?」
今度というのは後日で、後でというのは少し休ませてというニュアンスだということは妹にも伝わったようだったのだが。
「嫌だ」
それでもダメだった。何か、早急に話すべきことでもあるのだろうか。
「なら、手短に済ませてくれ。要件はなんだ?」
もともとが廊下での立ち話だ。ただ話し込もうというつもりでもあるまい。何かしらの要件はあるはずだ。
「えっと、さ、兄さんって、あの真白さんと、その、付き合ってるの?」
何言ってんだ、こいつ。妹は目線をそらしておどおどとそんなことを聞いてきたわけだが、要件がそれ? は?
「そんなことはない。お前が想像するよりも高校生活ってのは薔薇色でもなければ、色めき立ってもいない。少女漫画かなんかの読み過ぎだ。要件がそれなら、もういいか?」
「いや! 私は! えっと、だって、あの真白さん、あの人絶対兄さんのこと好きだよ!」
本当に何言ってんだ、こいつ。
「あの人は文芸部のメンバー全員が好きなんだよ。それは恋愛感情とかじゃなくて、同族愛だ。もういいか?」
「兄さん、そこで鈍感キャラやらなくてもいいでしょ」
妹は呆れたようにそう言うが、呆れているのはこっちの方だ。こいつの頭の中がこんなにもピンク色だったとは思わなかった。
「私が思うに、あの人、けっこう積極的にアピールしてるんじゃないかなと思うんだけど……」
「はいはい。で、もういいか?」
「兄さん、私の話聞く気ないでしょ」
「聞く必要のある話でもなさそうだからな」
「そんなこと言って、後で困っても知らないよ。もう1人の、紅林さんだっけ、あの人は違うっぽいけど、真白さんの方は間違いないって」
しつこい。ただ面倒くさい。
「部長はそういうタイプの人じゃないよ。もういいだろ?」
「こりゃ、真白さんは大変そうだなぁ。とりあえずもういいけど、兄さん、もう少し周りを見た方がいいよ」
「周りを見ろって助言は度々もらうし、それは気をつけておく。じゃ」
僕は部屋へと引っ込んだ。結局、妹が変に勘違いしただけの無駄話だったか。一体、部長と妹はどんな話をしたのだろうか?




