22話 漫画研究会
短いです。ここ数話、大白先輩が主要キャラじゃなくなっている気が……。
12時半を過ぎたあたりで大白先輩と合流した。やはりというか、大白先輩だけがこの集団の中でクラスTシャツを着ていた。
「3人は午前にだいたいは回ったと思うっすけど、どこかおすすめの店はありますか?」
「蒼くん曰く、コンビニだって。だいたいなんでもあるし、ここよりコスパもいいよ」
その回答に大白先輩は苦笑した。
「うちのギョウザピザは食べたっすか?」
「食べたよ。普通だった」
「そりゃ、あれに料理の腕とか関係ないっすから、誰が作ってもあんな感じになるとは思うっす」
文化祭の出し物なんてそんなものだろう。作り手で大きな差が出るものは普通避ける。
「大くんはもうお昼食べたの?」
「食べてないんで、おすすめを聞きたかったんす」
「じゃあ、急がないと! そろそろ食販は売り切れ出す時間だよ!」
「そうっすね。でも、おすすめコンビニって……」
「コンビニで買ったパンあるよ、いる? 124円」
部長はバッグから取り出すそぶりを見せた。
「要らないっす。とりあえず特別教室の方に行ってみます」
「よーし、じゃっ、いこー」
そんなこんなで4人で特別教室に向かった。うどんは売り切れていたが、たこ焼きとお好み焼きはまだ残っていて、大白先輩はどちらも買い、それを昼食とした。
「この後どーするー? もうほぼ売り切れてるのに、文化祭はまだ1時間半くらいあるよー」
大白先輩が食べ終わったのを見計らって、部長はそう訊いた。
文化祭が終わるのは14時半。それまでどうやって時間を潰すか。……文化祭当日すらも時間潰しに困るのか。
「漫画研究会、行っておいた方がいいんじゃないでしょうか?」
「そうですね」
紅林さんの言葉に頷く。一応漫研とはお隣さんだ。昨日あれだけ念を押されたのだし、顔くらい出しておいてもいいだろう。他に行くところもないし。
「漫研に何かあるのか?」
当然ながら、大白先輩は昨日のやり取りを知らない。
「昨日、昼食を食べるのに場所を借りまして、その時に来てくれと言われたんですよ」
「何か売ってるのか?」
「文集を売っているそうです。漫画研究会はかなり本気で漫画を描いているようなので、期待できると思います」
口ぶりからして紅林さんは文集を買うつもりらしい。なら、僕は冷やかしでも大丈夫だろう。まぁ、同じ高校生が創る作品というものにはそれなりに興味はあるし、買ってもいい。値段によるな。
職員棟1階の特別教室から3階の書道室まではすぐだ。僕たち4人はぞろぞろと書道室に入室した。他に客はいないようで、書道室には漫研の部員4人がいるのみだった。
「文芸部さん、いらっしゃい」
「「「いらっしゃいませ!」」」
普段はそんなに活発でない印象の漫研部員も、こちらが客となれば元気がいい。セールスマン然とした部長はいつも通りだが。
「ささ、どうぞお手にとってみてください。はい」
この人、接客がこなれている。バイトでもしているのだろうか。セールスマンという印象がどんどんと強化されていく。
「立ち読みしちゃっていいの?」
と言いつつ、部長はすでに文集を手にとっている。
漫研の出品している文集は思っていたよりは厚く、15ページほどあるようだが、立ち読みをすれば数分で読み終わるだろう。
「私たちは自分の作品に自信を持っています。一度読んでいただければ、買っていただけると思います」
漫研部員の1人が言う。その自信のありようは素直にすごいと思う。高校生が自分の作品にそこまで自信が持てるものなのか。
しかし、本人に自信があっても、セールスマンとしてはそうではないようで、「できれば買ってくださりますと、200円ですから」と言い、他の部員に睨まれていた。
「1人1作品載せてるんだね。感想とか言った方がいいかな?」
「それより、お買い上げを……」
「「「ぜひ、お願いします!」」」
そう返され、部長は吸い込まれるように文集を読み出した。部長が堂々と立ち読みをしているのに僕たちが後ろでただ立っているのもおかしいので、僕たちも立ち読みを始めた。




