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14話 部長にとっての世界の中心は常に部長自身

 数学ネタが多いのは、自分が数学しか知らないからです。すみません。


 司書さんが戻ってきても、僕たちは問題を解き続けた。


「b^n・c+a(s+i)、虚数単位が出て来た時点で1年生の問題ではありませんね」


 にしても、媒介変数がkでもtでもなくsだったのはそういうわけか。問題の作成者は誰だよ。


「これ、あってるんでしょうか?」


「たぶんあってますよ。文化祭ですから。uがありませんけど」


 僕の言葉に首を傾げた紅林さんだったが、すぐに「ああ」と納得の声を出した。


「b、n、c、a、s、i、いえ、展開して、bncasaiですか。松田先生、芸が細かいですね」


「それがまっつーの問題の楽しいところなんだよ。まっつー、入試問題とかの記号変えて、答えを文章にするんだ。わたしの方は、oomedt、おめでとうかな? まっつーにしては微妙な……」


 部長は松田先生のことを自慢げに話したのも束の間、即座に不満げになる。


「えっ、間違ってないよね? これ、間違ってる感出てるよね?」


「部長、落ち着いてください。答えは変形できないんですか?」


 あたふたとし出した部長をなんとかなだめる。この人なら、同じノリで泣くことすらしかねない。


「o(1+m・e^(dt))、ん、oは変数、oが後ろ? o+m・e^(dt)・o、おめでとう!」


 ぱっと笑顔になる部長なのであった。少し問題を見せてもらうと、もともとoの部分はxだったのだろう。mもnだったかもしれないし、dもaの方が自然だ。松田先生、よくやる。


「まっつー楽しいでしょ? いい先生でしょ?」


 楽しいことは同意する。いい先生かは、これだけで言えるものではないが、テキトーな人ではなさそうかもしれない。


「意外にお茶目な人なんですね」


「まっつーは面白いよ。去年の話なんだけどね」


 部長は松田先生のエピソードを実に楽しそうに語り出した。本当に松田先生のことが大好きらしい。

 僕と紅林さんはそんな部長を微笑ましく見ていた。


「真白ちゃんは松田先生のことが本当に好きなのね」


 何かしらの仕事をしてはずの司書さんが、いつの間にか僕たちの後ろに立っていた。


「そうだねー、この学校にいる人の中で5位タイくらい好きー」


 微妙でリアルな数字だ。そしてタイ。


「あら、そんな順番があるの? 私は何番かしら?」


「司書ちゃんも5位タイだよ」


 部長は司書さんを司書ちゃんと呼んだ。司書さん、40代だよな、たぶん。少なくとも、部長からちゃん付けで呼ばれる歳ではないだろう。


「あら、じゃあ、1位は誰なの?」


「そんなのわたしに決まってるじゃん」


 1位は自分。それでこそ部長だろう。部長にとっての世界の中心は常に部長自身だ。


「2位は文芸部のみんなかしら?」


「せーいかーい。ちなみに8位以下はランキング外」


 部長にとっての学校での人間関係は、たった7人、自分を除けばたった6人で完結するらしい。残りの1人はたぶん顧問だろう。まぁ、僕も似たようなものか。


「もうすぐお昼よ。クラスに戻らないの?」


 時間はとっくに12時を過ぎている。


「クラス戻るの嫌だなぁ。ここにいちゃダメ?」


「図書室は飲食禁止よ。お昼はどうするの?」


 荷物をゴタゴタした教室に置いておくのも嫌だったので、持ってはきている。昼食も手元にある。それは部長や紅林さんも同じだろう。2人のバッグもここにある。


「司書ちゃんってどこで食べるの?」


「えっと……」


 司書さんは答えに窮した。図書室では食べないにしろ、案外、準備室で食べることもあるのではないだろうか。


「そこで4人で食べよーよ」


「準備室に4人も入らないわよ」


 やはり準備室で食べるらしい。準備室に入ったことはないが、外から見る限り、結構狭いとは思う。しかし、人が4人入れないほど狭くはないだろう。


「いや、入るよ。準備室って思ったより広いし」


 部長は準備室に入ったことがあるらしい。


「真白ちゃん。真白ちゃんには真白ちゃんの教室があるでしょ? 私の場所を取らないで? ね?」


「わたしの教室、パソコン室も飲食禁止だよ?」


 パソコン室は部長の教室だったのか。その返答には司書さんも呆れたという表情を隠せなかった。


「パソコン室は真白ちゃんの教室じゃないでしょ」


「よし、また漫研に間借りしよう! 蒼くん、紅ちゃん、それでいい?」


 漫研、ほとんどの部員は僕たちに割と好意的だ。最近は相手をしている余裕がないような感じもするけれど。文化祭にかなり力を入れているらしい。


「漫研側が承諾するなら、僕はいいですけど」


「私も大丈夫です」


「よし! 決まり!」


 部長は勢いよく立ち上がり、荷物を持って出口へと向かうのだった。僕と紅林さんは急いでそれを追いかける。


「司書ちゃん、またねー」

「失礼します」

「失礼しました」


 実際には図書準備室で食事なんてしない気もします。自分は司書さんが学校でどう過ごしているのか全く知らないので、テキトーなこと書いてます。実際はこうだという情報がありましたら教えてください。訂正いたします。

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