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道徳の解答の作り方 ー文芸部による攻略ー  作者: 天明透
第7章 2学期期末試験編
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エイプリルフール企画 ー間違い探し2ー

 昨年のエイプリルフール企画のスピンオフみたいな話です。

 これはifストーリーなどではなく、間違い探しです。本文章の中には3ヶ所おかしな部分があります(語法ミスとかではないので、それがあったらただのミスです)。それを探しながら読んでもらえたらと思います。

 リアル多忙につき数時間で書いたものでかなり雑ですが、お許しください。


 4月1日、わたしは赤根先輩と買い物に出かけることになっていた。


 赤根先輩の卒業祝いも兼ねたお出かけ。集合は午後の予定だけど、準備のためにわたしは早めに家を出た。


 今日は4月1日、エイプリルフール。嘘をついても許される日! イギリスでは午前中しかダメらしいけど、わたしは日本人なので1日中いいことにする!


 さあ、赤根先輩に嘘をついてやるのだ!


 わたしはそうウキウキしながら、学校へ向かう電車に乗った。赤根先輩との待ち合わせ場所が学校の校門前。


 電車の中で無意味に歩いて慣性の法則を楽しみながら、この先の計画について思考を巡らせる。


 電車の到着予定時刻が11時ごろ。赤根先輩との待ち合わせ時間が13時。その2時間で準備を整えないと。


 まずは本屋さんに行って、赤根先輩の卒業祝いに贈る本を10冊見繕う。


 それから、カバーを全部、持ってきた『卒業おめでとうなんて言わない』というタイトルの小説カバーと取り替える。こういうタイトルの小説を発見して、カバーを10枚集めるのは結構 大変だった。楽しかったけど。


 赤根先輩にプレゼントして、「全部同じ本かよ!」とツッコミをもらったら、エープリルフール大成功。


 うん、完璧。よーし、まずは本屋さんへGO!


 電車を降りて、5階に本屋さんがあるビルへと向かう。この辺に本屋さんはいくつかあるけど、そこが1番品揃えがいい。


 もう4月とあって、結構あったかい。今日は1日雲一つない快晴らしいし、太陽さんも頑張ってる。上着を着てきたけど、なくてよかった。脱いで腰に巻こうかとも思ったけど、絵面を想像したらいくらなんでも小学生っぽすぎるからやめた。


 ビルに着いて、エスカレーターで上がっていく。少し前までは3階で「いっちねんせーいになったらー」と音楽が流れて新入学フェアみたいなのをやってたけど、今はもう終わったみたいで音楽はかかってなかった。


 さて、10冊を1時間くらいで選ぶ!


 まず新刊のコーナーに向かうと、中学生か高校生くらいの男子が陣取っていた。楽しそうに読んでて、邪魔しちゃ悪い感じがしたから他を見て回ることにした。

 それに、赤根先輩に読んたことのない本を贈るわけでもないし、つい新刊コーナーに向かっちゃったのはただのスキーマ。今見るべきはここじゃない。


 赤根先輩が持ってなくて、面白い本を10冊。


 これは、わたし好みの本を布教するチャンス!


 赤根先輩とはあんまり本の好みが合わない。あの人、小説より論説が好きなんて言うし。

 今回は思いっきりわたし好みの本を贈ってやる。卒業のお祝いにあげた本なら、さすがに読んでくれるでしょ、うん。


 ウキウキしながら、赤根先輩に布教したい10冊を選んでいく。本当は30冊くらい贈りたいんだけどなぁ。いくらなんでもお財布の中身的にそれは無理だから、ベスト10を決めないと。でも、どれも傑作だし……。


 10冊選ぶのに、気づいたら1時間以上かかってた。でも、それだけの時間をかけただけあって、完璧な10冊になった! ……うーん、でも、あの本も読んで欲しいし、やっぱり15冊に……。


 いやいや、それじゃキリがない! この10冊で決めた! 決めたの! だから、選ばれなかった君はこっちを見ないで!


 あとちょっとで落選した小説から目を逸らして、選ばれた10冊をカゴの中に入れる。


 ……めっちゃ重い。でも、持って帰るのは赤根先輩だし、うん、大丈夫でしょ。


 レジに並ぶと、後ろに新刊コーナーで楽しそうに本を読んでた人がいた。

 この人も1時間以上立ち読みしてたんだ。店の迷惑を考えない人だなぁ。わたしもだけど。


 会計を済ませて、ちょっと急ぎ足で階段の方に向かった。このビルは階段の踊り場に休憩所があるから、そこでカバーを入れ替える。

 階段を使う人なんてほぼいないし、この休憩所って完全に無駄だと思ってたけど、今日は役に立ってもらお。


 10冊に同じカバーをかけてみると、パッと見は同じ本に見えるけど、ちゃんと見ると厚さにばらつきがあって違う本だとわかる。でも、パッと見で同じ本10冊ってインパクト強いからいいや。


 リュックに入れて持ってきたプレゼント用の箱を組み立てて、それに本を詰めてみると、同じタイトルがズラッと並んで壮観だった。写真を撮ってから蓋を閉じた。


 さて、あとはこれを持って校門まで行けばOK。時間はちょっと早いけど、まいっか。

 組み立てた後の箱はリュックに入らなかったので、わたしは重たい荷物を両手で抱えて学校へと向かった。すごく疲れた。


 待つこと20分、赤根先輩は待ち合わせ時間の5分前に現れた。待ってる間、ずっと雲を眺めてたら首が痛くなった。雲が風に流されるのって見てるとちょっと楽しい。


「先輩、遅い!」


「まだ12時半になってないし、待ち合わせ時間より前なはずなんだけど。あんた、何時からいるわけ?」


「20分前くらい?」


「早すぎ。そういえば、あんた、いつも超早く来るよね。別の意味でマイペース」


 早く来て、相手に遅いって言うの結構好き。


「先輩、卒業祝いあげる!」


「あんたからのプレゼントって、嫌な予感しかしないんだけど。てか、足元に置いてあるそれだよね?」


 これを持ちながら20分も待つなんてわたしにはもちろん無理だから、足元に置いていた。地べたに直に置いちゃったからちょっと汚いかもだけど、箱は贈り物のメインじゃないし、少しくらい汚れても許容ってことにする。うん、許容。


「はい!」


 10冊の本を詰めた箱をドンと渡す。赤根先輩は若干警戒気味だったけど、受け取ってくれた。


「重っ。なにこれ? 開けていい?」


「いいよ!」


 エイプリルフール的に開けてくれないと困る。赤根先輩が箱の蓋に手をかけた。さぁ、リアクションタイム!


「……嫌がらせ?」


 微妙なリアクション……。


「リアクションが微妙! やり直しー!!」


「あんたね、こんな同じ本を何冊も押し付けられて、なんて言えってのよ! あんたが卒業を祝う気がないのはこの上なく伝わったわよ、まったく」


 嘘は成功してるっぽい? これ、大成功?


「卒業おめでとう!」


「言うの!?」


 赤根先輩、なんだかんだでノリいいなぁ。


「この10冊は悩みに悩んで選んだから、絶対に読んでね!」


「選んだって、全部 同じ本……」


 赤根先輩は1冊取り出して本を開いた。さぁ、ネタバラシ!


「あんた、暇なの? なにこれ」


「また微妙なリアクション!! やり直しー!」


「やり直さないわよ。これ、全部カバーだけ変えたわけ?」


「エイプリルフールでした!」


「なるほどね。めっちゃつまんない。超白けた」


「……むぅ。うぅ」


「嘘だから、そんな顔で膨れないでって。ネタとしては面白かった。で、この10冊はどうしたらいいの?」


 なんで嘘なんてつくかな。エイプリルフールは午前中だけなんだよ、まったく。わたしはイギリス生まれのイギリス育ちなんだから。


「あげる!」


「今? あたしたち今から買い物行くんだよ? めっちゃ邪魔なんだけど」


「あげるー!」


「あんたさぁ、まったく。まず駅まで行こっか。コインロッカーくらいあるでしょ」


 歩き出した赤根先輩について行く。先輩、卒業しちゃったのかぁ。新入生、面白い子が文芸部に入ってくれるといいなぁ。


 明らかな嘘も3ヶ所のうちの1つに数えているので、実質2つですね。

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