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道徳の解答の作り方 ー文芸部による攻略ー  作者: 天明透
第2章 1学期期末試験編
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エイプリルフール企画 ー間違い探しー

 エイプリルフール企画をやろうとふと思って書いた話です。

 これはifストーリーなどではなく、間違い探しです。本文章の中には5ヶ所おかしな部分があります(語法ミスとかではないので、それがあったらただのミスです)。それを探しながら読んでもらえたらと思います。間違いを気にしなくても、蒼井くんの休日を垣間見れる話にはしたつもりです。


 4月1日。入学式まではまだ日があるけれど、一応今日から、僕は高校生ということになるのだろう。


 しかし、そんな始まりの意識などなく、僕にとってはただの春休みのうちの1日だ。特に予定もないし、家でただのんびりとしているだけの日。


 いや、外には出よう。毎月1日に新刊を出す出版社がある。その新刊をチェックしに、書店まで行こう。別に新刊のチェックなんてネットでできるけど、実際に手にとって冒頭を読みたいと考える僕は、ネットでの新刊情報はあまり確認しない。家から書店は歩いてすぐだし。


 朝食を済ませた僕はすぐに出かけることにした。この季節、少し服装に悩むのだが、今日は暖かいらしいので、長袖のシャツとジーンズという格好で家を出た。上着なんかを着ていないこの格好でも少し暑い。半袖が必要になるのも近いのか。


 書店までは歩いて10分はかからない。何も考えずにただ歩くというのがなんとなく性に合わない僕は、通り過ぎる車のナンバーで10を作るなんて遊びをしながら歩いた。


 か-1324……3×2+4×1

 み-4685……5×4÷(8-6)

 お-3423…………。


 ……(4÷3+2)×3 か!


 ちょっとした難問を解いてスッキリした僕は、そのまま上機嫌で書店のあるビルへとたどり着いた。


 書店のあるフロアは5階だ。1階から入った僕は、エスカレーターへと向かう。エレベーターに乗った方が早いのはわかっているのだが、あの狭い空間に誰かと一緒に入ることに抵抗がある。ゆっくりとエスカレーターで5階分上がる。


 春休みなのは小学生なんかも同じようで、エスカレーターで僕の2段上では2人の小学生が騒いでいた。左に寄るべきだと内心思ったが、別に邪魔に思っている人はいないようだし、いいかとも思った。


 5階に着いた僕は、早速、新刊が平積みされているコーナーへと向かった。パッと目に入る扉絵から、なんとなくのイメージを持って文庫を手に取る。


 僕は立ち読みを始めると、店の迷惑も考えずにかなりの時間をそれに使ってしまうタイプの人間だ。今日もその例にもれず、気づけば1時間以上も経っていた。このコーナーにある新刊のほとんどの序章や第1章に目を通したのだった。


 読んでいる間は気にならないのに、読み終わって動こうとすると、腕と足に痛みを感じる。立ち読みの弊害だ。


 気に入った3冊の本を残して、他の本を元の場所に戻す。今日は3冊買うことにした。財布の中が少しピンチかもしれない。高校に入学したらバイトでも始めようか。……接客とか無理だし、厳しい気がする。


 レジに並ぶと、前には小学生らしき少女が並んでいた。持っているカゴには本が10冊くらい入っている。それ、持って帰れるのだろうか。他人事ながら心配になる。列が進み、少女の会計の番になると、少女は勢いよくカゴをレジの前にドンと音を立てて置き、なぜか満足そうな顔していた。なんだ、この子。


「10300円のお返しとレシートです。次のお客様……。……お客様ー、どうぞ」


 少女の一挙一動にオーバーな子だなぁなどと思っていた僕は、自分の番になってもしばらく反応しないでいてしまった。慌ててレジへと向かう。


 あまり還元率のよくないポイントカードを渡して、「貯めで」とだけ言い会計を済ませる。約2500円もかかり、財布の中から紙幣は消え去った。


 まぁ、いい。本を買うことには躊躇(ちゅうちょ)しないことにしている。


 会計を終えた僕は、なんとなくさっきの少女がいないかと辺りを見たが、その姿は見つからなかった。見つからないなら別にいい。それにしても、変な子だった。買っていた本も、小学生が読むようなものではなかったように見えたし。


 帰ろうと思いエスカレーターの方へと向かうと、ポケットでスマホが震えた。LINEらしい。まぁ、十中八九、妹だろう。昼食買ってこいとか、そんなの。


『蒼井美月:お昼ご飯買ってきて。テキトーなお弁当でいいから』


 完全に当たりだった。帰りにコンビニに寄らないとか。ちょっと面倒だが、買って帰らないと僕の昼食もない。


 了解とだけ返信をして、僕はエスカレーターに乗った。


 コンビニへと着いた僕は、弁当が置いてある場所へと向かう。妹はテキトーでいいと言ってはいたが、なんだかんだと文句を言うことも多い。妹の言う『テキトーな』は『適当な』の意味だ。つまりはちゃんと選べということ。


 唐揚げ弁当、タルタルチキン弁当、そぼろ弁当、中華そば、カルボナーラ、……もう冷やし中華なんて売ってるのか。夏が来るのもすぐか。


 さて、どれにしたものか。妹はわりかし肉食。野菜が嫌い。冷やし中華はダメだな。唐揚げ弁当とタルタルチキン弁当を買って帰ればいいか。この組み合わせなら、文句は言われないだろう。


 弁当2つを持ってレジへと向かう。今度は前に並んでいる人はおらず、すぐに会計を済ませる。


「620円のお返しとレシートです」


 お釣りとレシートを受け取って財布へとしまう。後で妹に代金を請求するので、レシートは必須だ。


 コンビニから外に出ると、なんとなく鼻がムズムズとして、くしゃみをした。この時期にこういうことがあると、花粉症の発症を疑う。疑うのだが、毎年時々こういうことがあるだけで大した症状は出ないので、花粉症ではないのだろう。上着のポケットからティッシュを取り出して鼻をかんだ。やはりというか、それから続けてくしゃみが出ることもない。花粉症ではないな。


 家へと向かう途中、2人で連れ立って歩く大学生くらいのカップルとすれ違った。その時、花見という単語が耳に入った。


 花見か。もう散り始めてはいるが、まだ見頃と言っていい頃合いだろう。ちょっと足を伸ばして公園に行けば、綺麗な桜が見れるかもしれない。そう思ったが、実際に行くことはない。見頃ということは人が多いということで、そういう雰囲気の場は苦手だ。行くわけがない。


 咲いたら周りに人が集まってギャーギャーと騒ぎ立てられる桜に、繁殖に必要だから花粉を飛ばしているのにそのせいで忌み嫌われる杉。植物も大変だな、などと益体(やくたい)のない思考をしながら家へと帰った。


 昼食に買った弁当に、妹は一応満足した。午後は読書をして過ごした。特に何もない、普通の1日だった。


 本日の13時にも、いつも通りの投稿は行います。

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