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熟成庫  作者: どくどく
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41・・・剣闘祭三日目(2)

舞台には今から戦う同じ悠撃隊のキョウカクとアルデラ二人が入場を終えていた。


「キッシシシ やっぱ爺さんが勝ち上がったっすね。」


とキョウカクはフードを完全に脱ぎさって防具を一切付けていない格好で後ろで束ねている髪をゆらゆら揺らしながら楽しげに試合開始を待っていた。


「ええ、やっぱ次はムラオサとの勝負になりそうね。体力温存重視で行きたい所ね。それにあの全試合優勝者の男とは戦ってみたいし。」


そういってアルデラはけだるげに顔だけ出したローブ姿で髪を搔きあげながら答える。


「シシシ、そっすね当たるのはアレ(・・)全開で使ってもいいって約束でしたしね。」


「・・・あんたラントとの戦いで二人とも使ってたでしょ?」


「!!。えっ何の事でしょ「シエル様に」すいませんでした!!!もうしません許してください。」


とアルデラの口からシエルの名前が出たとたん一瞬で土下座姿に変わったキョウカクがいた。



しかもなんと会場も司会進行もその一瞬の土下座トランスフォームに気づかずにその状態のまま開始合図が審判から出されてしまった。


「試合開始!! てえっ土下座?なぜ?」


キョウカクも


「うっそ何でこのタイミングで!!」


と次の瞬間土下座の姿勢を利用して一瞬で飛び上がりアルデラの真上へ移動した。


「何ちゃって跳躍動作でした。シシシ」


そしてキョウカクは空中で体制を変えアルデラを見降ろし拳を振りかぶる。


「アル姉行きますよ!!」


とキョウカクがアルデラを視界に入れた瞬間アルデラの姿がかき消える。そしてアルデラが立っていた場所には小さなクレーターが一つ・・・・・


「!?いない」


そんなキョウカクの後ろから


「空中で私に勝てる訳ないでしょ?高さ勝負なら尚更。それにこの状態抜け出せる?」


キョウカクは後ろからの声だと気づくが、遅かったようでと髪と片足を掴まれ極められた。さらにそこから膝をキョウカクの後頭部にあて顔が下の状態でそのまま落下していた。


「え!?やべ・・ビュ!!」


キョウカクが自分の状態に気が付いて声を上げた瞬間、不自然に落下が加速した。


 そして 

ズドンッ!!!

舞台の上に衝突した。 石作りの舞台はその衝撃で砕け砂状になり砂煙として舞台を覆う。


そして砂煙が晴れるとそこには舞台の端に移動するアルデラと顔だけが埋まった逆さのキョウカクが立っ・・・突き刺さっていた。


これには司会のピエールも


「こ、これは勝負あった!!!と言うかキョウカク選手は生きているんでしょうか!!勝者は」


と勝利宣言しようとすると。


ゴカッ。パラパラパラ

と両手で頭を抜き逆立ちの状態のキョウカクが即座に反転、首に手を置きながら無傷で立ちあがった。


「シシシ、跳躍の速度には自信あったんすけどね。」

「あんたね、空中で私に叶う訳ないでしょ?あんたの跳躍は立体軌道でのチェンジオブペースが本番でしょに。こんな平面な場所でしかも制限ある状態で足場も作れない。勝ち目は無いわよ?ここらで場外になって諦めてくれない?」


とキョウカクとは反対側の舞台端でアルデラは舞台外を指さす。


「シシシ。アル姉ダメっすよ。・・・俺この体と力受け入れてようやく分かって来たんす。それで跳躍は、跳ぶ事だけは誰にも負けられないって。死んでも負けたくねぇって思えるまでになったんすよ。だから」


キョウカクは言いながら体制を低くしていき顔が地面に付くほど下げて行く。


「姉さんにだって勝ち譲れないんすよ。それに単細胞な俺は、シシ。上がダメなら・・・・前へ跳ぶ!!」


と言った瞬間キョウカクはギリギリまで低くした姿勢で前に踏み出しアルデラに突進していた。そして途中途中に地面を蹴りそこから更に急加速して行く。

「これなら、速度も自由に変えられる!まだいけるッす!」


アルデラまでの距離をどんどんと縮めてゆきあっという間にアルデラへと手の届く距離まで来た。

そこでキョウカクは再度拳を振りかぶり


「力の差は俺の方が圧倒的に上っす。受けてもダメ―ジは通るっす!!」


思いっきり拳を突きだす。確実に届く距離、届くタイミングだった。


だがアルデラに攻撃が当たる瞬間、紙一重ほどの距離でキョウカクは跳躍し拳を突き出した状態で止まっていた。 あの勢いの乗った加速も、ステータスにもの言わせた拳もすべてなかったかのように止まってしまった。


「キョウカク、私の力は飛ぶ事じゃないわ。私の力わね、空を利用しそのものの力を使用する。ゆうなれば空の支配よ?」


そう言いアルデラは両手を広げる。ローブを着たままのそれはまるで鳥が羽根を広げているような姿に見えた。


「体が地面から離れたらそこはもう空中、空の中よ?私の支配下。」


そういいアルデラが両手で一度仰ぐと、体がズレさっきまでの加速の勢いのまま場外の壁に激突した。


「いくら高く跳躍できる蜘蛛も鳥の飛行の前ではタダの餌扱いで上から襲われ喰われて終わり。まあアンタを餌にするのはちょっと遠慮したいけどね。」


アルデラはさっきまで舞台の外の壁に埋まってたはずなのにもうピンピンして控室へ帰って行くキョウカクを見ながらつぶやいた。


そしてようやく審判から勝敗が言わされた。


悠撃隊メンバー


アルデラ


女性


武器 鉤爪


移植魔物 ハーピー 進化後 エアハロピュリア


ハーピーの骨格筋移植。。その後魔物と人間の適合実験。スキル、ステータス付与。この特殊な変化により体内で魔物が進化、魔人化によりその力を得る。


魔物


エアハロピュリア。空の女王の異名を持つ魔物。空での飛空制御は魔物随一で他者への飛行すら干渉出来てしまうらしい。空から地上への攻撃が得意で虫型の魔物を好んで食べる。

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