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熟成庫  作者: どくどく
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40・・・剣闘祭三日目(1)

翌日、待ちに待った大会最終日決勝トーナメントが始まる。


「さあやってまいりました大会三日目決勝トーナメントです!!このトーナメントは6人による一対一の勝ち上がり戦です。しかもこれをたった一日で決していただきます。これにより勝利者には連戦がしいられることになります。武力以外にも体力消費や怪我などにも気を使わなくてはいけなくなりました。さあ!!このいつもとは違う状況でどのように戦うのか!大変楽しみです!!」


と司会のピエールも熱が入る。会場も選手の入場を今か今かと待っていた。

 そしてついに一回戦の選手が舞台に登場する。


「おーっと!出てきました。一回戦の選手の入場です!一回戦はBグループ勝者ヨオ―セ選手とAグループ勝者ムラオサ選手の戦いです。」


観客もその言葉で視線が舞台へと集まる。舞台の上には中央付近んにお互いに向き合う形で立っている2人の男。一人は長槍を持ち出場して来たときから相手をにら見つけ、イライラとした態度を取っている男。そしてもう一人は、フードを頭からかぶり一度も素顔を見せていない男。そして観客の視線を一番集めているのはフードをかぶった男だった。


「それでは両者の準備が出来たようなので試合を始め「まて!!」


と試合開始の合図の前に選手である長槍を持った男冒険者のオ―セヨが司会の合図を止める。


「このまま試合を始めていいのか?!顔を隠し戦うような無様な試合をしても!本当にいいのか!」


そしてオ―セヨはあいてに指をさし叫ぶ。


「そのフードを取れ!!正々堂々と顔を出し戦え!!」


そうして会場からも何処かから「取れ!取れ!取れ!」とういうコールが始まる。

 そして


「やれやれ、これでは仕方無いのう。最後まで顔は隠して置くように言われていたんじゃが。こうなってはのう」


と老人の様な喋り方の明らかに若い男の声が聞こえてきた。

そして男は肩の方のフードを握り


バサッ


と一息に脱ぎ去る。


 そして脱ぎ去られたフードは一瞬でかき消えそこには長い白髪で額を覆う鉢金が印象的な美丈夫が立っていた。



「「「「「・・・・・」」」」」


会場中がその姿に見とれ、そして相手の男もポカーと口を開けたまま言葉も出せずにかたまっていた。そして数秒後ようやくヨオ―セが話しだす。


「・・・・っ!お前が、ムラオサか。フードの下がそんな顔だとはな、だが!!これでお前をぼこぼこにぶっ飛ばせるぜ。」


そう言いヨオ―セは二人にしか聞こえない声で


「これでテメェらの子細工も出来ねえだろ?どうやったか知らないが[威圧]で人が気絶する訳がねぇあのフードに仕掛けが有ったんだろ?その証拠に前の試合あんたらのお仲間同士のフードを取った戦いは気絶者は出なかった。」

そう言いニヤニヤと笑いだす。

「初戦はテメェの卑怯な行動のせいで俺の試合があんな無様な形になっちまった。そのお礼はたっぷりと返してやるぜ。その顔をぐちゃぐちゃにしてな。」


そう言い槍の刃先をムラオサへ向けるが。その行為にムラオサは返答すらせず立った状態のまま司会の開始合図が会場に響く。


「無視してんじゃねぇぞ!!コラァーーー!!」


とヨオ―セは開始と同時に槍を連続で突いて行く。


「オラ!オラ!!前は失敗したが、今回は一気に攻めさせてもらうぞ!!覚悟しろ!!」


そう言いながら立った状態で殆ど動いていないムラオサに連続での突きや斬り払い意表を突く石突きでの攻撃などをしかけて行く。


しかしその攻撃にムラオサはほとんど動く事も無くどれも紙一重で交される。見ている方からも攻撃している方からもギリギリで防ぐので精いっぱいの様に見えるほどに。


「逃げるのはうまいようだな。くっくっくだがなそれが命取りだったな。今の攻撃でズタズタにされていれば命ぐらいは助かったかもしれねえのになぁ。これでお前死んだぜ?」


そう言いながらオ―セヨは攻撃を止め少し距離を取りながら槍構え相手を憐れんでいる。そして話し終えるとその姿勢が徐々に徐々に低くなっていった。


「これは制御が難しくてなせいぜい腕でも足でも犠牲にして生き延びろそうすれば後で俺が楽しんだ後負けさせてやるよ。」


そうヨオ―セは挑発を入れるといきなり低い姿勢から相手に斜め上に飛び上がるような形でつっこむ、そしてその勢いのまま空中で前に体重を傾け槍の刃先をずらし相手の顔から胴体に変更させた刃を突き出し加速させた。


低い体勢での飛び込み攻撃点の変化その勢いに加え突き出しで槍の速度を上げ突き刺すつもりのようだ。

加速し勢いも体重も乗った槍は今まで以上の速度を出し相手に襲いかかる。


「ウオオォ死ねええ。」


だがその槍は刺さる寸前でムラオサが塚の部分を掴む事で止める。勢いのついていたヨオ―セの体が空中で静止した状態で・・・・


「フム、主殿ならこういう場合は「やっぱお前、遅エーよ?ヨオ―セ。」と言うんじゃろうな。」


そう言いヨオ―セ付きの槍を舞台外へとやり投げ。

 ヨオ―セは衝撃で握ったまま離せなくなった槍に引っ張られ舞台の外の地面へと叩きつけられそのまま気を失ってしまった。

 この突然の事に観客も突いて行けず固まってしまった。


「・・・主殿もこの試合観客として見ているんじゃったか。これはまた文句を言われそうじゃのう。

シエル様にも命を狙って来た者の対処を殺す以外の方法で我慢してもらいたいものじゃのう。」


そうつぶやきさっさと舞台を降りて行ってしまった。そしてムラオサが退場した後ようやく現状を把握した観客が騒ぎ出す。


「「「「「ヲオオオオオ」」」」」


そんな一回戦が終わるとすぐに二回戦の準備が進められていく。大会の趣旨でもある連戦になるよう観客が静まる前に準備を終わらせた。


そしてさっそく決勝トーナメント二回戦が始まる。

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