37・・・剣闘祭二日目(1)
翌日
「さあ剣闘祭二日目がはじまりた。昨日と引き続き司会は私ジャン・ピエールと解説はテアリス冒険者ギルド、ギルド長のルベルムさんでお送りしたいと思います。ルベルムさん本日もよろしくお願いします。」
「おねがいします」
「はいそれでは、本日の予定を発表します。本日は残っているグループD~F3グループの試合が有りその後、明日の決勝トーナメントの組み合わせが発表されます。えールベルムさん今日で全ての選手が出そろいますが、今日の注目選手は誰かいらっしゃいますか?」
「・・・ええそうですね、今日は前回優勝したグリムド選手の戦いが見られるのですよね?どの程度の力量なのか楽しみです。」
とルベルムはまるでグリムドを挑発するような発言をする。
「そ、そうですね。(ちょっとこれまずいんじゃないですか?)・・・・・グ、グリムド選手も本戦出場されていますので見られると思います。み、皆さんもね、お楽しみにしていてくださいね。」
と内心ひやひやしながら話しを終わらせるピエール。
「ああ、後」
とルベルムが話しだす
(も―何ですか?これ以上余計な事言わないでくださいよ。私にまでとばっちりが)
顔は笑顔のピエールが心の中で愚痴る。
「今日はあの黒ずくめのローブのチームは出るんですか?」
とルベルムが話しだすと会場中もざわざわと騒ぎだす。
「おお昨日の一瞬で試合終わらせた奴か」「あれはすごかったな。」「すげえ小さい村代表だろ?」「そいつなんか変わった名前だったらしいぞ?何だったか」「ああ女だったらしいぞ?」「ん男だろ?」「いや男と女二人いたんだよ。」「その二人ともが決勝トーナメント進出したんだよ」「同じ格好って事は仲間だろ?別々の場所からの代表ってのはいいのか?」「?さあ?」
と会場も昨日の試合の話でさわぎだしていい。
「みなさん静粛に、えー説明いたします。・・・昨日のあのお二人、グループA勝者ムラオサ選手とグループC勝者アルデラ選手ですが、やはり悠撃隊という同じチーム同士でした。。。それでですね、この大会はチームばらばらでの出場についての罰則はありません。それに出身以外の村の代表としての出場も村全体の賛成があれば可能です。ですがまあ暗黙の了解というので殆どの選手が同じグループは同じ村か町、街の代表として予選で戦い一人が勝ち上がって本戦に出てきています。今後もしかするとルール改正が有るかもしれませんが今大会は問題無しとするそうです。」
すると会場も賛否の声が分かれ出す。
「え―静かに!!静かにしてください!!それでですねルベルムさんの質問に戻りますが。なんと出ます!!」
と会場中も急に盛り上がり出す
「「「「「「おオオオオオオオオオ」」」」」」
「しかもですね何と!主催者側から今日の試合は昨日とは違う試合内容になる。との事なのです。まあ情報はここまでにして。答えは試合が始まってからにいたしましょう」
と司会の意味深な言葉に会場もブーイングで答える。「「「「「「「「「「BOOOOOOO」」」」」」」」」
「オォート!それでは選手の入場です。」
とDグループの選手が入場して来た。会場も高いテンションのまま選手を見まわす。だがDグループには前回優勝のグリムドも先ほど話していた悠撃隊らしき人間もいなかった。若干会場のテンションが落ち着いてしまう中
「さあ二日目初戦Dグループの試合が始まります。この大会はあきらかな殺害行為以外の反則は一切
有りません。勝敗も相手が負けを認める、か場外に出される、以外は無いのでくれぐれも選手は気を付けてください。それでは準備が整ったようなので試合、開始!!」
開始が宣言された。するとその直後、丸い舞台の中央に何と3メートルを超える竜巻が発生した。
「お―ーと出ました!!今大会初となる魔法!!これは風魔法のトルネードでしょう。きのうの試合では見れなかった魔法による攻撃です。」
すると竜巻が動いてゆき軽装の選手から軽々と吹き飛ばしていく。
「おーこれはかなりの威力の魔法ですねルシルドさん」
「はいこういった限られた範囲の場所では魔法は詠唱時間の影響で発動まで行くのは難しいんですが、こうやって一度出してしまうと逃げ道が無くなり相手に当てやすくなりますからね。あの威力の魔法ですから詠唱は予め言っていたのでしょうね。」
「ええそのようですね、本来なら事前の詠唱は、選手がまず気にしなければいけない事です。詠唱中は無防備で集中が切れると効果を失います。なので選手は開始合図の前は、注意し見つけたら妨害をするのが当たり前なんですが。今回は気づかなかったようです!」
とルベルムが
「気づかなかったのは開始前に話していた悠撃隊に気が行っていたせいでしょうね。」
「なるほど!これは選手達も油断を突かれたと言うところでしょう!とそうこう言っている間に舞台の上には竜巻がもう一つ現れました!それ以外にも竜巻を防いでいる重装備の選手には別の風魔法を使い攻撃、確固撃破しているようです。これは一人で14人を相手に戦うつもりでしょうか?!!」
そして舞台上には盾を構えた男と魔法を唱えている男の二人になった。
「とうとう後一人となってしまいましたが。どうやらこれは厳しい展開になりそうだぞ!!残っている相手の装備と魔法の相性が良くありません!徐々に徐々に、距離が縮まっていきます!」
ついに二つの竜巻がやむと舞台には膝をつき息を切らしている男が1人、重装備で大盾を構えた男が1人だけ残っていた。
「おっと、どうやら魔法を使っていたのは膝をついている彼の様です。皮鎧に直剣を腰に差していますがこれは魔法使いをカモフラージュするためでしょうか?二つの竜巻を結構な時間維持し操って他の魔法をも使い疲労困憊、動けない様子です!しかしそれでもその魔法に耐えきった方が1名。これは厳しい状況です。」
そして重装備男は膝をついている男に向かってじりじりと近寄って行く。
そして攻撃が届く範囲まで近づき盾とは反対の手に持っていたメイスを叩きつけようと上から振り下ろす。そして次の瞬間、メイスが振り下ろされる直前、膝立ちだった男は腰に下がった直剣を抜き相手の無防備な腹にその柄頭を叩きつける。そして男が何かをつぶやくと
「------」
盾を持った男は体を浮かせ舞台上から吹っ飛ばされた・・・
「・・・・こ、これは、これはまさかの逆転勝利だ!!!」
「「「「・・・・ウオオオオオオオオオオオオ」」」」」」
一瞬の静寂の後会場から声援が飛ぶ。
そして審判が舞台上でなんとか立っている男に勝利を宣言するとそのまま男は気を失って倒れてしまった。
「いや―予想外の展開予想外の結末で終わりましたDグループ。ところで最後のあれは魔法なんでしょうか?ルベルムさん」
ルベルムが答える
「ええ恐らくは、風魔法のウィンドボムでしょう。」
「んー、しかし私にはあの時に詠唱したようには見えませんでしたが?」
「ええあれは[詠唱破棄]でしょう。最後まで隠していた詠唱破棄を油断した所で使い魔法を打ち込んだんでしょう。」
「なるほど詠唱破棄でしたか。ここまで隠しとうし最後で使う作戦が見事にはまったですね。それでは勝者の情報をお伝えします。名前はストレイス、年齢22歳、そしてなんとテアリス西地区の代表で西地区に有る魔法師ギルドの所属の様です。しかもそれが注目されないように剣で予選突破していたそうです。次の試合も何かをしかけてくるんでしょうか楽しみですね。」
そして次の試合の準備が終わり選手が入場してくる。そして
「「「「「「「「オオオオオオォオオオオオオオ」」」」」」」」
観客が選手を見たとたん歓声が起こった。
その入場してきた選手の中には、胸に奇妙なマークがついた黒いフードを頭からすっぽりかぶった選手が登場した。しかも二人。
「そうです!!なんとこのEグループは先の話に出た悠撃隊の方が出ているのです。しかも二人!という事は同じチーム同士でバトルロワイヤルを戦っていただくと言う事です。悠撃隊の方の強さは我々の予想を超えていると思われます。これはこの試合ももちろん予想外の試合になりそうです。それでは試合開始!!・・・・・・と言うまでお待ちください」