現実
次の日から、かずやの携帯に連絡をした。
『はい、沢本です。ただいま仕事中で電話に出られません。留守電に・・・』
(名字、沢本ってゆーんだ。)
その夜、
『沢本君!!』
って呼んでみたら
『なぁーんか恥ずかしいな・・・』
ってかずやは照れた。
旦那が仕事に出ている夜、子供が寝るとすぐにかずやに電話をした。
かずやとはもういろいろなことを話せていたし、かずやは
私のことをおねえさんと呼ぶこともなくなって
『あや』と呼ぶようになった。
『かずや、伝言でけっこう会ったりしてたの?』
『いーや。全然っ!!。ポカされてばっかり!!』
『でもさぁ・・・。少しはなんかあった??』
『・・・・・。どうかな。』
『ききたい!!教えて!!』
『・・・・。』
『かずや!!はやく!!』
『けっこうラッキーなこともあったかな。会えたときはね、
オレ、なんでかしんないんだけど絶対その日にHできてたんだよ。』
『・・・・・・。』
『あや・・・。もしもし?・・・。あや???』
『そうなんだ・・・。なんか・・・最低・・・。』
『あや!!!ごめん!!!あのさ・・・』
そのまま受話器を投げつけるような感じで電話を切った。
涙があふれてとめどなく流れた。
(なにやってんだ私・・・。)
それからかずやに電話をすることはなかった。
かけようという気になれなかった。
かずやはいかがわしい電話に群がる男達の中の一人。
私はその相手をしてる女達の中の一人で
かずやにとったら、またアホ女がうまいことつれただけの事。
それが現実。
そこに純粋な恋愛感情なんて・・・。
あるような気がして、あるつもりでいた私。
浮かれていた気分の倍、それ以上に
悲壮感にまみれることになった。