かずやの影
岡山家庭裁判所!?
なんで!?・・・なんでこんなところから?・・・
宛先は、ここの住所で、間違いなくかずやに送付されたものだった。
真由美ちゃんの手紙はさっさと見てしまった私だったのに
この、お硬い茶封筒の中身を見るのはなんだかものすごく怖くなってきた。
それで先に、折りたたんである白い紙を開いてみた。
『借用書』
借入金額 金五拾萬円也
上記の金額確かに借用しました。
ついては・・・・・・・・
平成・・年・月・日
貸主 宮元 学
借主 沢本 かずや
鳥肌たった。
宮元って!?・・・写真館の・・・
社長だよね・・・。多分。
お金といったら一瞬
真由美ちゃんの手紙に書かれてた
持ち逃げってのが浮かんだんだけど
全く関係ないわけだよね・・・。
だって貸してんじゃなくて
借りてんだもん・・・。
なんで?!なんで借りてんの・・・。
社長もなんで!?どうして貸したわけ・・・。
頭の中パニック!!!
でもまだこの封筒が・・・。
またキリキリと胃のあたりが痛み始めた。
そして心臓のバクバクするのを感じつつ、茶封筒の中の書類を取り出して開いた。
・・・妻、藤川美佐から慰謝料の調停・・・つっ!!妻ぁ!?
かずや、結婚してたの!?・・・訳わかんない!!!
もう何もかもさっぱり訳がわかんなかった。
無性に怖くなった。
怖くて怖くて・・・突然私の体はガタガタ震えだした。
どしたらいい??
それからしばらく、動揺どころかパニクって感情が高ぶりすぎてる
自分をなんとか落ち着かせようと必死で・・・。
しばらく自分が何やってたのかはよく覚えてない。
外が暗いのに気づいてハッと思い、時計を見たら
もう6時近く・・・ウソでしょ〜!?
かずやがいつ帰ってきてもおかしくない時間だった。
私は急いで書類をしまい手紙をかき集めて箱に戻した。
こうなった以上・・・かずやと話するしかない!!
私は箱を持ってきてコタツの中に入れ込んだ。
体の震えは止まらない。
なんともいえない緊張感と
不安に襲われながら
私はかずやの帰りを待っていた。