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振りかかるもの

 次の朝、いつものようにかずやは仕事に出て行った。

私は洗濯機を回してる合間に、早速コールセンターに電話してみた。

岡山県内の電話なら全く問題なくて

今までとなんら変わらず仕事は出来るらしく

すぐにでもどうぞって言われた。

とりあえずホッとした。

洗濯物干したら、早速仕事しよう!!

そして昨日の求人誌をまた開きかけた時、突然電話が鳴った。

(えっ?誰っ!?)

びっくりして、どうしようか迷ったけど・・・・・。

『・・・・・もしもし?』

『あや!!』

『・・・なんだぁ〜かずやぁ!!びっくりさせんでよぉ(笑)!!』

『あや・・・あのさぁ、ちょっとぉ、これからそっちに帰る。』

『は?今?』

『うん。それでなぁ・・・ちょっとぉ・・・人が来るんよな・・・』

『・・・え?!ここにぃ?誰!?』

『・・・社長のぉ・・・奥さんなんけどさ・・・』

『・・・・・えっ?何っ?ちょっ、意味わかんない!!!かずや?!なんて?』

『とりあえず部屋ん中つまえといてっ!!わかった?』

『何っ?何っ!?部屋をなんてっ!?』

『片付けといてってこと!!・・・それじゃ。』

『ねっ!!かずや!!・・・』

かずやは一方的に電話を切ってしまい、私は

全く訳がわからなかったけども

とにかく片付けなきゃいけない!!ってことだけはわかった。

布団をたたんで急いで隣の部屋に入れ込んだ。

転がってるものも、とりあえず隣の部屋に。

それだけで何となく片付いた感じにはなった。

(なんで社長の奥さん?・・・いったい何の用事なんだろ?)

すごく落ち着かなくてソワソワしてたら、下で音が聞こえた。

(えっ?!どしたらいいわけ!?)

とにかく立ってるのも変!と思った私はペタリと正座した。

扉を開けたのはかずやで、

『お邪魔します!!』

って女の人が先に入ってきた。

私はそのまま会釈した。

その人は靴を脱いで、私の向かいに正座して座ると

『沢本君も入って座りなさい!!』

ってかずやに言った。

かずやは私の隣に座った。

その人は私のことをまじまじと見た。


『初めまして!!私は沢本君の勤めてる写真館の、宮元の、家内です。

失礼ですが貴方、お名前は?』

『・・・はい・・・神野あや子と申します。はじめましてっ!!・・・』

苦手か?と聞かれたら、すごい苦手!!と即答できる。

その人は高校の時の厳しかった先生を彷彿させた。

キリッとした姿勢で真っ直ぐにこっちを見て話を続けた。

『昨日、買い物に行ったら大家さんにたまたま出会ったんよ。

挨拶でもと思って、立ち話をしたら、貴方のことを聞いて本当にびっくりしました。

全く・・・こんな事になってるなんて思いもよらなくて・・・。

それで、今日、沢本君にも確かめたらやっぱりそうで・・・。

主人も私もほんとにびっくりで・・・なぁ、沢本君?』

『・・・・はい・・・すみません。』

『聞けば貴方・・・結婚なさっててお子さんもいらっしゃるんてね。』

『・・・はい。今はまだ・・・。』

『・・・・。ここにいる場合じゃないでしょう?!ほんとに・・・

 そうは思わない?』

『・・・・。それはそうかもしれませんけど・・・』

気まずい沈黙だった。

『・・・。それはでも・・・貴方の問題ね。

 私がとやかく言う資格はないわね・・・。』

『・・・・。』

『ところで沢本君から、ここのことは聞いてる?』

『いえ・・・。』

『ここはねぇ、私達のほうで大家さんから借りているところなの。

 沢本君、一人が住むという契約の上で借りてるわけ。

 そのことはね、今まで重々沢本君にも言ってきてたよね?

 そうでしょ?』

『・・・あっ・・・はい。』

『だから貴方が住んでるというのは契約違反なわけ。

 わかるでしょ?』

『・・・。はい。わかります。』

『大家さんはねぇ、沢本君が私達にあらかじめ言ってるもんだとばかり

 思ってたみたいでね。だから大家さんもびっくりして・・・・・。

 その後、大家さんがうちに電話してこられてね。

 私は全然構わないから、ここに貴方を置いてあげてくれって頼んで

 こられたんよ。

 でも、私達・・・それを認めることは出来ません!!

 だから、貴方には早急にここを出てもらわないと・・・。

 わかって頂けるかな?』

『・・・・はい。』

『それをお願いしに来ました。

 貴方も突然でびっくりしたとは思うけど・・・。』

そういうと、その人は立ち上がった。

頭の中真っ白・・・

だけど、私も・・・立ち上がった。

『それじゃ、よろしくお願いしますね。』

会釈されたので、反射的に返した気がする。

その人と一緒に、かずやも出て行った。

私はそのまま、ぼー然とその場に座り込んだ。

突然振りかかってきたものに

全くどうしていいのかもわからんくて・・・。

一体何がどうなってんのかもわかるわけもなく・・・。

そんな私の上にはまだ・・・さらに容赦なく

振りかかろうとするものが

この時にはすでに並んで順番待ちしていたんだ。
















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