思い想いの北
次の日、かずやの望みどおり私は車で送ってもらうことにした。
旦那の実家、そして私の実家も、延々高梁川沿いを北へ北へと走ってかないといけない。
旦那の実家と私の実家は同じ市内にある。
私と旦那は出身も通った高校も同じ。
私の実家は、道なりに行けばありますから・・・っていえば多分土地勘無い人でも
さほど苦労せずいけそうな場所だけど
旦那の実家はすごい山奥。いわば僻地。
私の親が初めて旦那の家に行く際に
『よりによってこんなとこに嫁がんでも・・・。』
って思わず愚痴ったほどだし。
そんなことがあったから、なおさら、かずやに送ってもらうのは嫌だったのになぁ・・・。
『かずや、旦那の家さぁ、実はかなりヤバいくらいすごいとこにあるんだぁ。』
『でもさぁ、路線バスは通るんだろ?』
『まぁ、そりゃね・・・。』
『じゃ、イケルやん!!』
『・・・・・。多分想像絶する。覚悟しといて!!』
『わかった(笑)』
かずやは全然平気そう。
私はというと
『はぁ〜もぉ最悪ぅ・・・。』
同じことばかり何度もつぶやきながら
何回もため息ついてた。
そうしないと緊張でカチコチになっちゃいそうだったから。
その度に
『イケるか?』
って聞くかずやに
『ムリっ!!』
って即答。
車の中では、そんなことの繰り返しで・・・。
そして遠くに町並みが見えてきた。
『ねぇ、かずや!大体こんなとこ来たことないでしょ?』
私はかずやの返事が
『うん。』
に決まってると思いつつ聞いた。
『いや・・・俺もっと北のほうに行ったことある。』
『え?!そうなん。いつ?』
『大学んとき。』
そうかずやが言った時、私の頭のなかには
大山とか蒜山の景色が浮かんで
(大学のサークルででも行ったんだな。)
って勝手に解釈して納得したもんだから
『ふ〜ん。』
って話は終了した。
あの時
『なんで?』
って聞いてたら、かずやはなんて答えたんだろう。
行ったことある・・・。
正しく言えば、通ってた・・・だよね。
とうとう車は市内に入った。
『かずや、ここからはバスで行くから、何にもないとこだけど
何とか時間つぶしててくんない?』
『え?!ここからもう近いの?』
『違うっ!!遠いの!!まだ、かなりね・・・。』
『じゃ、このまま送ってくよ。』
『でも・・・。』
『大丈夫やって!!』
結局そのまま行くことになった。
最初は自然公園、キャンプ場へと続く広い道を上へ上へと
のぼってく。
だけど、そこを超えると道はどんどん細くなり山中を
走るみたいになるのだった。
『げっ!!マジぎりちゃうん!!!』
かずやの方が断然うるさく騒ぎ出した。
そして、ここら辺りから、腹をくくった私は
断然大人しくなってしまった。
『かずや!あそこにバス停あるの・・・見える?』
『あん?どこ?』
『なんか立ってるでしょ・・・。』
『あ、あれか!』
『あそこで下ろして!!』
かずやはキョロキョロしながら
『家なんてどこにもないやん!!』
って言った。
『着いたらわかるよ。』
車はバス停についた。
というか、ただ道に
バス停の標識みたいなヤツが立ってるだけだけど。
私は車を下りた。
『かずや、あの向こうの青い屋根が旦那の家。』
かずやは運転席から乗り出したけど、見えないといって
車を下りた。
私は指差しながら
『この坂をずっと下ってって、向こうまでいくわけ。』
『谷底みたいやな(笑)・・・。』
『かずやはこのまま走ってって・・・そしたら広い道に出るから。
そのあたりに運動公園があるの。そこの駐車場で待っててくれない?』
『うん。わかった!!』
『どのくらい時間かかるかわかんないけど、かずや大丈夫?』
『俺はイケルけん!!あやこそイケルか?』
『うん。大丈夫!!』
『それじゃな。』
『うん。それじゃ後で。』
走り出すかずやの車に手を振った。
そして私は旦那の家に向かい歩き出した。