すべては明日
次の日は朝から、運んできた荷物の整理に忙しかった。
バタバタしながらも、明日はどうすべきか、ひたすら悩んでいた。
必然的に旦那の実家には電話をかけなきゃいけないよね。
また私の胃はキリキリと痛みだしていた。
姑は仕事休んでるのだろうか?
旦那の実家に行くだけでなく、さらに姑と話をしなくちゃいけないなんて・・・。
これ以上気が重いことなんてないんじゃないかと思うくらい・・・。
だけど、子供に会える可能性は十分。
それだけが私の希望、そして目的。
そのためには、どしたらいーのか・・・。
だけど、考えててもしょうがなくて、とにかく電話を掛けに出かけることにした。
時計を見たら、もぉお昼!?・・・早いっ!!
階段を降りて外に出ようとしたらドアが開いた。
『ただいま!!』
かずやだった。
『どしたの!?』
『今日は暇やけん、昼帰れたんよ。どっかいくん?』
『ちょっとぉ・・・コンビニ。』
『じゃ、一緒にいこ!』
『それがね・・・。私、電話せんといけんくて。』
『誰に?』
かずやに明日行かなきゃいけないことを話した。
『じゃ、ちょっと行って来るね。』
『待ってあや!!ちょっと、こいだ!』
そういうと、かずやは階段を上がってった。
部屋に入るとテレビの横で、かずやがガサゴソやってる。
『やったぁ!使えるわ!!』
それは、あの押入れのボロ電話だった。
『持ってきてたん!?』
『昨日繋いでみようと思うて忘れとったんよ。かけるか?』
『ううん。・・・今はいい。ねぇ!かずや、やっぱコンビニ行かない?おなかすいたぁ。』
『よっしゃ、いこうぜ!!』
コンビニへの行き帰りは晩御飯の話で盛り上がった。
今夜、初めて私が作ることにしたからだ。
かずやが帰ってきたら一緒に買い物に出かけることにした。
かずやはいっぱい食べたいものがありすぎて結局何にするのか
決められなくて。
帰ってくるときまでに考えとくって、また仕事に戻っていった。
そろそろほんとに電話をかけないと。
電話の前に座る。
改めてみると電話はホコリまみれだった。
テッィシュでふき取って、完璧。
しばし、意味なく眺める。
(これ以上考えてたらドンドン掛ける気失せそう。)
もっ!!!勢いで行くしかない!!
深呼吸してそのまま何も考えないように・・・サクサクと番号を押す。
緊張しすぎで受話器を握り締めた私の体は完璧硬直状態だ。
三回の呼び出し音の後、ガチャっと音がしてドキッ!!!
その途端、留守番メッセージが流れた。
即切りっ!!!!!
(なんで!?なんで!?なんでいないの!?)
子供つれて買い物?それとも旦那が急に休みとって帰ってぇ、それでぇ・・・
たちまち私の頭の中であらゆる可能性が思い浮かび、ごちゃ混ぜ状態。ほぼパニック。
時間おいてまた掛けてみようか?
もしかしたら仕事?だとしたら子供たちは?
結局、旦那の携帯に掛けてしまう私だった。
でも旦那・・・出なかった。
私はバックからスケジュール帳を出してきて開いた。
そしてまた電話をかけた。
『はい。○○病院です。』
『あのぉ、4階の詰所お願いします。』
しばらく待つと
『はい!!4階ですけど・・・。』
『ぁ、あのすみません。神野と申しますけど・・・あ、あのぉ』
『あ〜。・・・婦長さんですかね?あ!お嫁さんかな?(笑)』
『あっ!!はいっ!!いつもおせわになってますっ!!』
『こちらこそっ。ちょっとお待ちください。病室行かれてるので呼んできますね。』
『あっ!!はいっ・・・。』
(いっ、いるじゃん・・・。)
『もしもしぃ。』
聞き慣れた少し甲高い声・・・姑だ。
『・・・お母さん。』
『あやちゃん、ヒロから明日のことは聞いたわなぁ?』
いつもとなんら変わらない口調だった。
『はい。』
『明日何時ごろ帰ってくるん?』
・・・なんか違和感・・・
『あのぉ・・・お母さんの都合に・・・合わせます。』
『そうじゃなあ・・・それならぁ・・・午後からってことにしとこうか。』
『わかりました。あ、あのっ・・・お母さん!・・・子供たちは?!』
『それは明日話そうや。』
姑はぴしゃりと言った。
『それじゃ、明日。』
私にそれ以上の返事は不要とばかりに電話は切れてしまった。
(明日は、電車で帰ろう。それからバスで・・・。
いろいろ考えるのはよそう。もっ、すべては明日なんだからさ。)