表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/42

昨日と今日

 人間とはおかしなもので、ちょっとした変化でまるで昨日とは別人のような気分になれるんだね。まだテレホンレディーの仕事しても無いのにさ。なんだかすごいハリが出たような。育児ばかりしてるわけにはいかない・・・お仕事もこなさなきゃねぇ☆るるるぅ♪みたいな鼻歌でも出そうな気分で洗濯物を干す私がいた。ベランダから下を覗くとキヨちゃんが布団干ししてて、

『おはよう!!』

と挨拶した。

旦那は今、夜勤だから朝から夜までは家にいる。夕方までは確実に寝てるわけだけど、さすがに旦那いたら出来ないな。そして子供の様子にもよるし。

決行は今夜遅く。子供が寝て旦那が仕事に行ったその時だ。

はやる気分を抑え、主婦としての仕事をこなす。

いつもの日常にな〜んの変わりもなかった。

でも昨日の私と今日の私。違うんだなぁ。全くね。

そして深夜・・・その時はやってきた。

改めてみたらきったないメモ書きだった。コールセンターの女性が

『お仕事の際のお電話番号を申し上げますね・・・』

とゆーから慌てて用意して必死に書いた番号。私専用の暗証番号も・・・。

仕事のやり方も必死で聞いて何となく頭では理解は出来てる。

だけど実際、受話器とるとすっごいどきどき感。そして心臓もバクバク。

それと同時に日中は思わなかった戸惑いというか、ほんとにいいのかな・・・

みたいな迷いの気持ちが半分くらい出始めてきた。

仕事といってもあやしい、ヤバイってのは確実にかもしだしてるもんね。

受話器をとり・・・置く・・・そしてまたとり・・・

何回か繰り返してたけど

(仕事だよ!!あくまでね・・・仕事仕事!!)

と思うとまたフツと変な根性が出て、やっとかけることが出来た。

でも心臓のバクバクは健在。3回くらいの呼び出し音の後に

ぱかーん!!とびっくり箱が開いたのごとくその世界は出てきた。

『はあ〜い☆お電話あっりがとうございまぁ〜す!!!さぁーて本日もぉ

素敵な男性とワクワク☆どきどきのぉ〜・・・・』

すこぶるテンションがハイそしてマックス到達な可愛い女の子の声とともに

音割れお構いなくかかる音楽。圧巻されつつ、しばし聞き入ってしまう。

(女の子のしゃべってる途中に番号押しするんやったっけ?)

番号押しでシャープ。すると音楽が切り替わり、やっぱりさっきの女の子が

出てきた。

『お仕事ご苦労様ですっ☆さて今月はぁ・・・

彼女は今月のここら辺が稼ぎ時だとかいろいろポイントらしきことを

説明してくれて最後に

それじゃ今月も頑張ろうね〜!!』

と喝をいれてくれた。てんぱってた私もだいぶ気分が落ち着いてきた。

と同時に違う女の人が出てきて

『それでは男性と会話する方は1シャープ。伝言は2シャープ・・・』

淡々とお仕事開始モードにうながされた。

(ちょっ・・ちょっ・・・ちょっとまじで?!話か伝言だね・・・え〜っと・・・

と、とりあえず手っ取り早く話だ!!)

1シャープ押す。

しばし沈黙の後、また音割れお構いなしの音楽がスタート。

ほっとしたのもつかの間、いきなり

『男性とつながりました!!』

って聞こえたかと思ったら

『もしもし・・・もしもし・・・』

低い渋めな男の人の声がした。

(え、えええええっ〜!!っと)

『あっ、えっと・・・』

すこぶる緊張。せいいっっぱいカワイ目に

『もしも・・・』ピッって音がしたと同時に

『お相手が変わります。』という女性の声。そしてまた音楽。

(なっ、なんなんよぉ!!最悪!!)

そのままガチャ切りした。

なんだかものすごくやな気分だ。

だけどそれがテレホンレディとしての最初の一歩だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ