疑念
やっぱり我が家が一番いい!!!
こんなにもいとおしく思えるなんて・・・。
洗濯物・・・たまりに溜まってる。
階段にも部屋の四隅にも埃がいっぱい。
だけど本日はご機嫌で片付けていきますよっ!!私は。
久しぶりに家族揃っての夕食。
何にしようかな・・・。
バタバタと家事をこなしていたらピンポーン♪
ドアの向こうにはキヨちゃんがいた。
『お帰りぃ〜!!旦那さんに聞いたら入院しとるっていうじゃろ。
びっくりしたし・・・。もう大丈夫なん?』
旦那・・・なんもいってなかったのに・・・。
一応キヨちゃんに一連の入院生活を手短に報告した。
っていうかほとんど愚痴含みの話になっちゃったんだけど。
キヨちゃんは安心した様子で近いうちまた買い物でも行こうって
約束して帰っていった。
久しぶりの家族での夕食が終わると子供達は二人揃って眠たそうな感じだった。
やっぱりまだ子供達にも病院生活の疲れが残っているみたいだ。
急いでお風呂に入れる。
下の子は体を洗ってる最中に居眠りを始めた。
お風呂から出して布団に寝かせた途端、子供達はもう爆睡だった。
という私も添い寝してそのまま、いつの間にか眠ってしまった。
トゥルルゥ♪トゥルルゥ♪トゥルルゥ♪・・・
な・・・なに?・・・
何かの音で目が覚めた・・・・・。
トゥルルゥ♪トゥルルゥ・・・
旦那の携帯だ。
起き上がってみたらまだフスマからは明かりがこぼれてる。
まだ旦那は向こうの部屋で起きてるらしかった。
何時!?時計を見たら11時まわってた。
いつの間にか切れたのにまた鳴り始めた。
(会社?)
しぶしぶ起きてフスマを開けたら旦那はいつものごとく、でかいヘッドフォンで
洋楽をガンガン鑑賞中だった。
陶酔しきっている旦那の肩を寝ぼけ眼でたたくと
サッとヘッドフォンをはずして
『なんなぁ??』と旦那が聞いた。
『電話・・・あんたの・・・。鳴って目が覚めた。』
旦那がオーディオのスイッチを切った。
そしたら電話の音がまだしてる。
『出たら』
『......』
旦那が携帯を取りに言って戻ったら音はまた切れた。
のに・・・またすぐ鳴った。
私はチラリと旦那の方を見た。
多少ながら明らかにうろたえている。
だけど旦那も私をチラリと見やると
ぱっと背を向け思い切ったように電話に出た。
『もしもし・・・
おっ、おうっ・・・。
まっ・・まぁな。
ん〜えっとぉ。
・・・あのぉあれじゃ!!
おめえ・・・もっ、かけてくんな!!それじゃな。』
『・・・・・』
その後はなんともいえない空気が流れていた。
私はローテーブルに肩肘をついて天井を見上げていた。
『飲み屋の女じゃ!!今からいけるかっつーの!!』
あまりのわかりやすさに呆れた。
長い沈黙の後、いてもたってもいられなくなった旦那は
こそこそとトイレにゆき、こそこそと寝室に入っていった。
一ヶ月に一度くらい会社の人との飲みに出かけていた。
必ずシャワーを浴びて身支度を整えて出かける。
帰ってくるとなんか落ち着かない様子のことが多く
ことのほか帰宅時間が遅くなった時などは
やたらと私にいちゃつくように絡んできたり歯の浮くようなことを
言ってみたり、挙句は財布に携帯してる子供の写真をわざわざ取り出して
語りかけたりしてた時はさすがに鳥肌立つ気がした。
そんな旦那にずっと疑念を抱きつつ
確実に女と寝たな・・・と私はその都度確信していた。
結婚当初はむかついて腹立たしくて修羅になったことも何回かは
あったのだけど・・・。
一人残った私の頭の中・・・
・・・思い浮かべていたのは再び・・
かずやだったんだ。