最後のサンタクロース
次の日はウソのように私も体が楽になった。
子供達もすっかり元気になり、ベッドから下りたり上がったり
少しもじっとしていない。
看護師さんが来て
『先生がもう退院ってゆうことで良いとおっしゃってるんだけど・・・。明日
小児科でクリスマス会があるからそれには参加して帰りませんか?ですからあさって退院ということでどうかな?』
『とんでもない!!すぐ帰ります!!』
って言いたかった。
だけど、せっかくだし・・・。
なにせ上の子が《クリスマス会》ってのに
すぐさま反応し
『ぼく、行く!!!』
っと言い出したからには参加せざるを得なかった。
小児科のクリスマス会には20人程度の子供達が集まっていた。
看護師さんと一緒に歌をうたったり、紙芝居を見たり皆夢中で楽しんでいる。
うちの子は明日には家へと帰る。
だけどこの子達の中にはいつ家に帰れるのかわからない子もいるんだろうな・・・。
たった一週間程度の入院生活だったけど、きつかった。
つらかった。
子供が健康であるって本当に幸せなことなんだとつくづく実感出来た。
サンタが登場した。
多分小児科の先生だろうな。
うちの子もそれぞれプレゼントをもらって、はしゃぎながら私のところへ戻ってきた。
『よかったね。』ってぎゅっと抱きしめた。
今でもこの病院でのことをよく思い出すんだ。
子供達と見た最後のサンタ。
最後の印象深い思い出だから。
あの頃片時も私から離れようとしなかった子供達。
あの子達のやわらかいほっぺ、小さな手に
触れることさえも許されない・・・・・・
そんな時がいずれやってこようなんて・・・・・
その時の私はそんなこと・・・・・
これっぽっちでさえ、思ってもいなかったよ・・・・・
本当にね。