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サイコ女神に雇われて  作者: ノンケマン
1/1

生きただけで異世界に混乱をもたらした男

サイコパス女神と人生下ネタ男がニートを殺す話。


「ゲイビデオ…かぁ…。」

仲村は、限界に達していた。



何を隠そう5年前まで仲村は、

親のすねかじりという彼にとって非常に順風満帆な生活を送っていたのだ。

しかし、突然の両親の死。

AV俳優だった2人はある日の激しい撮影により腹上死してしまった。

両親は多くのおもちゃを残してくれたが、それだけで人は生きてはいけない。

金が無くなってくると、彼は両親の友人であるAV会社の社長を訪ね

自分もAV男優になりたいと言った。

しかし社長は彼のイチモツを見ると困ったような顔をした。

「うーん、ちょっと小さすぎるね・・・あっでもゲイビデオでネコ役なら出来るかもよ?

可愛い顔してるし。どう?」

「いや…やめときます。」

彼はノンケだった。そして何よりイボ痔だったので入れられる側になるのは

命に関わることであった。


仲村は牛丼屋を強盗することにした。

ニュースを見た限りではかなり成功率が高そうだからだ。

深夜は人も少なく店員も1人であるから

自分のような男でも出来るだろう。


武器は両親の遺産の中から強そうな物を選んだ。

この行動からも分かる通り、彼は馬鹿である。

「いらっしゃ…。」

「か、金をよこせ!」

彼はそう叫び武器を店員へ向ける。

よく見れば店員は人1人殺してそうな出で立ちだ。

そんな店員の見た目に気を取られていると、突然全身に衝撃が走り視界が宙を舞った。

「貴様に渡す金などない!」

怒声が聞こえる。

「きゃ~~~~~!!!」

悲鳴も聞こえる。

視界には、加齢臭のする染みのついたパンツが見える。

どうやら投げ飛ばされた先が老女の股の下だったようだ。

それを眺めながら、仲村は混濁する意識の中で思った。

(何であんなイラク帰りみたいな牛丼屋店員がいるんだよ・・・・。)


警察のお世話になり、裁判所のお世話になり、刑務所のお世話になり、

そして支援センターのお世話になった。

仲村はその支援センターに新たな職場を紹介してもらったが、

おっさんに下痢便をかけられたりといった

様々なトラブルから長続きはしなかった。

「ゲイビデオ…しかねぇのかなぁ…。」

もう一度吐き出すようにつぶやく。

財布には10円硬貨が3枚。もう、彼に選択肢は残されていなかった。


「…お待ちなさい。」

「そうだ。待つんだ。まだ俺は貞操を捨てるには若すぎる。…え?」

見ると、先ほどまで居た汚い部屋は消え去り、美しい神殿がそこには広がっていた。

そして、そこには美しく神々しい女性が立っていた。

にやけた顔が、最高にムカつく女性だった。


「俺の人生がコメディ映画にされてたなんて…。」

仲村は、ショックを受けた。

確かに、自分の人生は喜劇かもしれない。

母が獣AVに出ている最中に病院に運ばれ出産し、

学生の時は、両親の熱烈なファンである全裸中年男性によく絡まれ

高校を卒業するまで防犯ブザーは手放せなかった。

だからと言って、異世界で自分の人生がコメディ映画になってるなんて誰が信じられようか。

しかし、先ほど見せられた映像は確かに、自分自身の人生だった。

しかも上手に編集されていて面白かった。


「私の住む世界では、あなたは有名人なのです。

それに、あなたが一生懸命生きたおかげで、

私はこの神殿も、地位も、金も何もかも手に入れられました。

配給し始めた当初はこんなことになるとは思ってもみませんでしたけどね。」

「いやいや勝手に人の人生をおもちゃにしといて悪気はないんですかこのサイコパス女神!

っていうかあんた本当に神様なんですか?

なんか本物の神様っていうよりこう…

ゲーム漫画に出てくる神様のコスプレっぽい恰好してますし。」

女神はキョトンとした顔で襟元についているフリルをいじった。

「私は金を積んで神になった成り上がりなのでこういう今風の恰好が出来るんですよ。」

「金を積めば神になれる世界ってなんだよ…。」

その成金ならぬ成神はニッコリと笑った。嫌な笑顔だった。

「とにかく、あなたの人生を私の世界で上映したら、

神も王も人民も皆、堕落し犯罪がはびこり遂には魔王まで出現してしまったのです。

この問題を解決しなければ財産を没収するとクソど…神々の会議で言い渡されました。」

「今神様方のことクソどもって言いそうになってませんでした?」

「それで、あなたに私たちの世界を救ってほしいのです。」

「えっそれってまさか…俺に異世界に行って魔王を倒してほしいってことですか!?

う、うわぁまさか俺が世界を救う勇者になるなん」「いや違います。」

女神は間髪入れず仲村の妄想を否定した。

「えっ?」

「あなたは私の世界では有名な芸人なのですよ。勇者になるにはいささか問題があります。」

そう言うと女神は、分厚い封筒を仲村に差し出した。

「あなたにやって欲しいのは"殺し"です。」

「…は?」

「いいですか?今から私が考えた最強の皆が得をするたった1つの冴えたやり方を説明します。

一度しか言いませんからよく聞いてくださいね?」

女神は何もなかった空間にパワーポイントのような映像を映し出した。

「順番に読み上げます。

まず①、この世界にいる社会不適合者、

つまりあなたのようなニートを殺す…もといこの世界での可能性を断ってあげます。

②、私がそいつをこちら側の世界に召喚し魔王を倒すよう命じます。

そして③、①②を繰り返せばそのうちの誰かが魔王を倒します。

ちなみに、証拠の処理はその道のエキスパートに頼むので捕まる心配はありません。」

「いい加減にしてください!さっきからなんなんですか!俺は殺しなんてしな」

「日本円で1人100万。三食昼寝付」

「お任せください。」

こうして仲村の貞操は守られた。

サイコパス女神と生きただけで魔王を生み出した男の世界を救う仕事はまだ始まったばかりである。

いつの日か、異世界も救われるだろう…。たぶん。


続く

特にないです。

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