sleep -12- ~四宮一菜side~
『…………………様。クリアで御座います』
アナウンスで目を覚ます。
あれ以来何も起こらなかったから、疲れをとる為に仮眠をとっていた。
それが仇となって、誰がクリアか聞き取れなかった。
皆に確認しに行こう!
寝ぼけた頭を無理やり起こすと、ドアノブに手を掛け、開けようとする。
が、私が回すよりも先にドアノブが回った。
「っのぁ!」
そしてドアが開き、私はドアを開けた人の方へ倒れそうになる。
? 倒れない。
目の前には黒い布地。
上を向けば有路さんの顔。
「っ!!!! ごめんなさい!!」
慌てて体勢を整えて離れる。
「いや、こっちこそごめん。大丈夫だった?」
「は、はい。大丈夫……です」
心臓は大丈夫じゃない。
「こうなったって事は、考えてる事は同じかな? クリアした人に会いに行こうとしてたんでしょ?」
「あ。てことは、同じですか?」
有路さんはうーんといって頬を掻く。
「まぁ……そうなんだけどね。実は、寝てたから聞いてなかったんだよ。だから、君に誰がクリアしたか聞こうと思って」
「実は、私もなんです。」
お互い少し乾いた笑いが出る。
「でも、こうしてられない。さっきみたいに、嘘が命に関わるものだったら……」
「っ!」
そうだ。こうしてはいられない。
「有路さん!一緒に確認しに行きましょう!」
腕を引っ張り、駆け出す。
「わっ。う、うん!」
そういえば、何で、有路さんは、
誰がクリアしたか知らなかったのに、
『会いに行こうと思ったんでしょ?』なんて、
『誰がクリアしたか聞こうと思って』なんて、
私がクリアしていない事を断言できた?