book ~四宮一菜side~
椅子から降り、封筒を恐る恐る開ける。
その中には、2枚の写真。
……に見せかけたただの厚紙。
? 何か書いてある。
1枚目『Don't』
2枚目『mind.』
Don't mind.?
………………。
………………!
パァン!!
意味が分かり、手に持ったそれらを、大きく振りかぶって、床に叩きつける。
『どんまい』とかふざけんな!
今はこんなギャグ要素いらないのよ!
「はぁ……はぁ……はぁ…………」
…………落ち着こう。
相手の思うつぼになる。
その“相手”ってのが分からないけど。
見つけたら、それこそ壺で殴ってやりたい。
とりあえず再開しよう。
本棚の本を片っ端からパラパラと見ていく。
さっきの星の本や、英和辞典、シェイクスピアのリア王、ロミオとジュリエット、ハムレットetc……。
読めそうなのはこの辺。
後は何処の国の言葉かも分からないような、難しいものばかりだった。
個人的にシェイクスピアは好きなので、ちょっと嬉しい。
少しだけ……。
一番好きな、ロミオとジュリエットの本を開く。
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…………はぅっ!
今更気が付いた。
何ゆっくり読書なんかしてんだ私!
最初から読み始め、今開いているのは物語の終盤のページ。
馬鹿だ。私馬鹿だ。
こんなことしてる場合と状況じゃないのに!
時計がないから、経った時間も分からない。
閉じようとすると、本のページが少し盛り上がっている事に気付く。
5ページほど飛んだ所。
『毒を飲んで死んだロミオ』と、『ロミオに寄り添うように倒れ伏すジュリエット』の挿絵のあるページ。
脳裏に焼き付いた、あの2人の死体が鮮明に蘇る。
悲しくなるので、頭を横に振って思考から追いやる。
そこに2枚の写真が挟んであった。
今までのものと同じ。
5種撮されていて、真ん中だけ✕がついている。
今回は、『魚』と『虫』だ。
またあの嫌な予感がする。
…………次は、誰なの……?