if -26- 〜四宮一菜side〜
バタン
「はぁ……」
ため息しか出ない。
まさか本物の死体を見る事になるとは思わなかった。
流石に本物は精神的にくる。
もし能登さん達の嘘の仮設がもし正しければ、私も生死に関係するような嘘をついたのかもしれない。
アナウンスは“全員に向けて”「最も愚かな嘘をついた者」って言った。
最も愚かな嘘=生死に関係する嘘だとすれば、それはもう確定的。
かといって、思い出すヒントにするには確実性が無い。
振り出しに戻った。
いや、謎が増えたから、まだ振り出しに立ってさえいないのか。
コンコン
ノックをされ、我に返る。
「ごめん。僕、有路だけど。ちょっといいかな?」
1人で考えていても答えは出ない。
少し他の人と話した方がいいかもしれない。
「はい。どうぞ」
ドアを開けると、「ありがとう」と言って有路君は部屋に入る。
2人で向き合う様にソファーに腰をおろすと、「あのさ」と話始める。
「気になってる事があるんだけどさ、」
「? はい」
「なんで……なんで、死体を見て、驚いたり悲鳴をあげたり、しなかったの?」
思っていた様な質問ではなかった事に少し驚く。
けれど、この質問にはあまり答えたくない。
「えっと……」と口が篭る。
「もしかして、覚えてる?」
「え?」
質問の意図、意味が分からない。
けれど有路君の顔は、いつものにこやかな表情ではなく、真剣そのものだ。
「変な事聞いたね。ごめん。忘れて」
そう言う彼はいつものにこやかな表情に戻った。
「それとさ……」
胸ポケットから何かを取り出す。
2枚の写真だ。
果物の写真と、宝石の写真。
どちらも5種撮影されていて、その真ん中の果物、宝石に×がされている。
そう。私が持っている写真と全く同じものだ。
「……! どうして……」
「見つかった物が同じなら、もしかしたら君と僕は、同じ嘘をついたのかもしれない。そう思って来たんだ」
「なるほど」
「それと、その写真。ただの写真じゃなくて、上手く言えないけど、何かあると思うんだよね」
「……。もしかして、果物の写真は能登さん、宝石の写真は清原さんに関係あるのかも」
「確かにね。その線が強いと思う」
「という事は、他の人の写真もあるかもしれませんね」
「そうだね。それじゃあ、そろそろ再開しようか。邪魔してごめんね」
「いえ。こちらこそ、有難うございました」
「また後で」と言って有路君は部屋を出る。
色々と気になる事はあるけれど、今はヒント探しを進めよう。もしかしたら、他の人の写真も見つかるかもしれない。
私の血は何に変わるんだろう。
ふと思うけれど試そうという気にはならない。
だって痛いもん。
今まで手をつけていなかった本棚を調べる。
……大きい。
高さは2mくらいで、学校の図書館にあるのと同じ感じ。やっぱり豪華で、触っていいのかと少し躊躇してしまうくらいだ。
けれど、しのごの言ってる時間は無いから、適当な本をパラパラと捲る。
この本は、どうやら星の本らしい。
まぁ、興味は無いけどね。
本を戻そうとすると、何かがつっかかって入らない。椅子を持ってきて上り、見てみると、そこには封筒があった。