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silent 〜四宮一菜side〜
「後は一菜ちゃんと真輔くんだけやな!」
「でも、やっぱりクリアになりませんね」
「やっぱり……こうするしかないんですよ……」
そう呟いてナイフを首に構える有路さん。
「きゃあ!」
慌てる皆。
そんな中私は、
「有路さん。そんな事する必要ないです」
冷静に言う。
「え…………?」
困惑する有路さん。
「だって、貴方は4月1日生まれじゃないもの」
「は……? 何言って……」
「もうここに嘘つきはいない。嘘を本当にしたから。エイプリルフール……つまり、『4月1日は無くなった』のよ。無くなった日に産まれるなんて、ありえないでしょう?」
『おめでとうございます。四宮一菜様。有路真輔様。クリアで御座います。』
今までの奮闘が嘘のように、呆気なく全員がクリアできた。
皆喜んでいて、私も喜ぶべきなのに、何故か喜べない。
…………それは有路さんも同じらしい。
静かに、私を見てる。




