conquer 〜四宮一菜side〜
「……着きましたね」
「えっ……あ、そうね」
コンコンコン
「ふぁーい」
ノックをすると、気の抜けた緩い声が返ってきて、ドアが開く。
「……寝てましたね」
「寝てましたね」
この人はいっつも寝てるな!
「いやぁ。どうしたらクリアなんか考えてたら寝てしもてん」
「あ!」
「有路さんどうしました?」
「香坂さんって、何が苦手ですか?」
「えーと、ホラーと、スプラッタと……なんで?」
「まさか……?」
「そのまさかです」
まぁ、良い笑顔ですこと。
「なんなん? 皆しておれをここに連れてきて」
香坂さんを連れてきてた場所は最初に皆が集まったあのロビー。
ここにはもう全員が集合している。
理由は、香坂さん以外の全員が知っていて、同意の上。
香坂さんだけがソファーに座り、私達6人はその前に、香坂さんを逃がすまいという感じで立っている。
「ここで、香坂さんのヘタレを治します」
「は、はい? 待って待って意味が分からんのやけど!?」
清原さんが香坂さんの肩に手を廻す。
「まぁ潔く腹括ろうや」
「え、えぇぇ」
「まずは私ね」
そう言って料理を持ってくる。
美味しそうだけど、香坂さんの顔が青ざめた。
「これ、情報提供者誰や?」
「オレ」
「やぁっぱりな!!」
その料理は、レバーだ。
しかも、鶏レバーの甘辛煮。
美味しいやつ。
「さ! 出たいなら、食べなさいよね……」
能登さんは微笑んではいるけど、目が笑ってない。
―しばらくお待ち下さい-
「うっ………………」
「失礼ね! 美味しく作ったのに」
残りはスタッフ(私達)で美味しく頂きました。
「次!」
平井さんの番だ。
「次は私よ。……これしか持ちネタがないけど。顔見ないでね」
そう言って紙で顔を隠して話始める。
「陽がよく当たる屋敷で、お菊は片付けものをしておりました…………」
-終了-
「ざっとこんなものかしらね。……皆どうしたの?」
「……………………………………」
「……………………………………」
「……………………………………」
「……………………………………」
「どうしたのって……。上手すぎだよ。ほんとにそこにお菊いたよ」
「私達以外に誰もいないよね? 何か色んな声聞こえてきたんだけど」
香坂さんと日輪君は目を開いたまま失神してる。
有路さんは寝て……ない!
めっちゃ安らかな顔してる!
「ちょっ皆起きて下さい!」
-しばらくお待ち下さい-
「もう! テロップ入れるの面倒くさいんですからね」
「一菜ちゃん! メタいから!」
「じゃあ、次はオレ達だな」
私、清原さん、日輪君、有路さんが立ち、香坂さんを見下ろす。
「え、え?」
「まぁ、最後はこれですよね」
「これ、やりましょっか」
私が取り出したのは、数本のゲーム。
なぜこんな物がこんな屋敷にあるか分からないけれど、都合がいい。
「えっちょっそれはあかん。それはあかん!」
ゲームはゲームでも、私達が選んだのは、
・モータ〇コンバット
・バイオハ〇ード5・6
・サイ〇ブレイク(ゴアモード)
・クロックタ〇ー3
・コープス〇ーティー
清原さんが逃げようとする香坂さんの腕を掴み、引き寄せ、
「逃がさねぇよ……?」
こっわ…………。
観念した香坂さんと私達は、ゲームをしていく。
平井さんと能登さんは傍観。
-数時間後-
「結構面白かったな。ここ出たら買おうかなオレ」
「あ。俺持ってるんで良かったら借しますよ」
「えっマジで? そんじゃ借りる!」
「僕、コープス〇ーティーはパソコンでしかやった事なかったけど、やっぱり声優ついてる方がいいですね」
「思ったよりグロくなかったな……。
っと。香坂さん大丈夫です?」
「もう何も怖くない」
「あれ? マミられるシーンあったっけ」
「そういう意味ちゃう。もう嫌や。いつまでやるん?」
泣きそうな香坂さん。
「まっまぁまぁ。これだけやったら『もうヘタレ治った』でしょ! もう終わりですから」
『おめでとうございます。香坂道春様。クリアで御座います』
よし! これで私と有路さん以外クリア!
「……またか」
え?




