『Don't』『mind』 〜四宮一菜side〜
今回はあえて会話のみとなります。
また、小説の相応しくない表現もありますので、ご注意下さい。
「あの『嘘を本当に』の嘘って、エイプリルフールの事だと思うんですよ。 『愚か』=愚者=foolって事で」
「まぁ、言われてみれば一理あるな。んで? それだけじゃねぇだろ? 望美を生き返らせたんだし」
「順序を追って説明します。まず、皆がここに集まった時に流れたあの放送です」
「あの『出るには愚かな嘘を本当にしろ』ってやつ?」
「はい。それに加えて、この『Don't』『mind』って2枚のカードを見つけたんです」
「どんまいとか腹立つわぁ」
「私も最初そう思いました。けど、私の部屋にあった英和辞典を見て、今回解決策を思い付いたんです。
『Don't』はそのまま。『~するな』『~しない』
『mind』には、『命令に従う』という意味もあるんです」
「……ということは、『命令に従うな』って事か? だとしたら俺ら出れねーじゃん」
「私もそこを疑問に思ってました。けど、さっきので確信できました。『ついた嘘を本当にしろ』つまり、ここでは『嘘を本当にできる』という事です」
「待って。訳わかんない」
「例えば、さっきのです。清原さんが能登さんを『殺した』=能登さんが『死んだ』という事です。そして、その死体に向かって、私は『死んでない』と言いました。紛れもない事実に対し、私はその事実を否定する事、つまり『嘘をついた』んです」
「「「「「!!!!!」」」」」
「それが、本当になったから、私は今生きてるって事……よね」
「はい。ですから、『嘘を本当にしなければ、ここからは出られない』けど、『その本当にした嘘を、もう一度嘘で上書きしても、クリアした事実は消えない』という事です。クリアを取り消したら、アナウンスが嘘をついた事になりますからね」
「て事は、嘘をとっとと思い出して、実行して、あとで何とかしたらええって事か! なんや! 簡単……やん」
「どうしました?」
「今な、今、嘘思い出したんやけど……どうやったらおれクリアなんやろ」
「何て嘘ついたんですか?」
「…………『おれ、ヘタレ治ったで』って………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………いや、無理だわ。春さん。達者でな」
「まて。待て。MATE☆ おかしいやろがい」
「正直、会ってそんなに経ってないけど、男らしいなんて所は無かったね」
「僕も人の事言えないけど、始終落ち着き無かったし」
「それより、男らしい人が、よりにもよってエイプリルフールに『ヘタレ治った』なんて言わないでしょ」
「ひ、一菜ちゃぁん」
「香坂さん。『Don't』『mind』」
「うわあああああぁぁぁぁん!!! 口に出さんとカード見せるんが余計にくる!!!」
「それはそうと、」
「それはそうと!?」
「皆嘘思い出してないの? 清君はもうクリアしたし、私も思い出してるんだけど」
「え!? 望美の嘘何!?」
「清君と別れるって……」
「…………ああぁぁーー!! 言ってたわ。んな事言ってたわ。そんでオレ「殺す」っつったわ! ……あぁ!! クリアそれか!!」
「うっさいわねぇ。この人」
「私の嘘は『エイプリルフールが無くなった』です。多分、皆さんがエイプリルフールについた嘘を本当にしてくれれはばクリアかと」
「!! 僕もそれです! 友達に開口一番で言ったのを覚えてます!」
「て事は、あとはお二人さんだけやな。
ゆっくり思い出したらええさかいな」
「お。立ち直った。早かったな」
「落ち込んだ元々の原因は何やろなぁ!」
「貴方がヘタレって事じゃない?」
「おっふ!!」
「それじゃ、話もまとまったし、二人は思い出してきて。焦らなくてもいいからね」
「……ええ。そうするわ」
「じゃあ、俺も失礼します」




