Don't mind. 〜四宮一菜side〜
それぞれの自己紹介が終わり、やがてあの放送が流れる。
『ようこそ。愚かな人達。貴方達は選ばれました。最も愚かな嘘をついた者として。この建物には全て鍵がかかっています。出るためには、貴方方の記憶から消された愚かな嘘を現実にしてください。』
状況が混乱している中、私は妙に落ち着いている。
そして、皆それぞれ自分の部屋に戻っていく。
1人残され、考える。
前回の事を話すべきだったか。
私が体験してきた事。
これから、死人が出てしまう事。
……いや、後者は言ってはダメだ。
部屋に戻り、前回との違いを探す。
…………何も変わらない。
やっぱり、ダメなのかな…………。
「あ……」
ポケットに何かある。
探ると、ゴミ箱にぐしゃぐしゃにして捨てたはずの、あの忌々しいカード。
「…………っ!」
ぐしゃぐしゃに丸める。
待てよ。そう言えば…………。
確か本棚に英和辞典があったはず。
……私のなけなしの英語力が試される。
『Don't』……はそのままだよね。『するな』
……………………。
……………………。
『mind』意味多過ぎ。
先に『Don't』がきてるから否定になるのよね。
そんで、命令文だから、『〜するな』って事か。
と言うことは、『mind』は動詞か。
まぁ、もともと『どんまい』自体が『気にするな』みたいな意味だし。
1.『注意するな』
2.『嫌がるな』
3.『心にかけるな』
4.『世話をするな』
5.『命令に従うな』
これくらいか。
1〜4は無理な話。
できるのは5くらい…………。
!!
と言うことは……?
先程の放送を思い出す。
『出るためには、貴方方の記憶から消された愚かな嘘を現実にしてください』
これをするなって事?
嘘を現実にするなって事?
でも、実際に清原さん、能登さん、日輪君、平井さんはクリアしてた。
もし、嘘が生死に関わるものだったら、どうやってもここからは出られない。
クリアしても……死んだとしても、ここから生きて脱出する方法…………。
そうか。
分かった。
確実である保証もないし、自信もないけれど、今はこれしかない。
ドタッ ゴトン……
隣の部屋から音がした。
前回と同じかもしれない。
それだったら……都合がいい。
すぐに部屋を出て、清原さん達の元へ向かう。