photogrAph -11- 〜四宮一菜side〜
「物色ったって。何処をどうすればいいのよ。」
部屋に戻った途端、落胆の声を漏らす。
連れてきたくせに、脱出しろ。消したくせに思い出せ。訳が分かんない。
私の部屋の6倍はあるこの部屋は、最高級ホテルでもなかなかないであろう程の豪華さだった。
品のある白い壁
ダークブラウンのフローリングに、赤い、高級そうな絨毯を敷いた床。
床に合わせ、ダークブラウンを基調としたアンティーク調の家具。ベッドやキャビネット、テーブル、椅子、照明、本棚、ドレッサーetc……。
上を見ると、うわ。シャンデリアまである。
改めて見ると凄い。もっと私に語彙力があれば、もっと雰囲気を伝えられるのに。
豪華であるが、品がある。
こんな部屋多分二度とないわ。
それよりも…………。
「私何嘘ついたし」
覚えてないのは記憶を消されただけじゃなくて、私の弱い記憶力とオツムも関係していると思う。
悩んでいても仕方が無い。
とりあえず一番近くにあるキャビネットを開ける。
ガラスの扉の中は置物ばかり。引き出しの中にもこれといった物は無い。
次はドレッサー。
「ん?」
ドレッサーの引き出しの中には化粧品や香水といったような物は無く、2枚のモノクロの写真が入っていた。
「果物と、宝石の写真……?」
1枚目が宝石の写真、2枚目が果物の写真。どちらも5種並べて撮されていて、真ん中の果物、宝石だけ油性の黒マジックらしきもので×がつけられている。
「何これ」
疑問に思っていると、壁、床に硬いものが強くぶつかるような、大きな物音がした。隣の部屋からだ。
隣は確か清原さんと能登さんの部屋。
私はすぐに隣の部屋へ向かった。
………………嫌な予感がする。