second round 〜四宮一菜side〜
頭が痛い……。
ぼやける視界の中、私は目を覚ました。
!!
「ここどこ!?」
パニックになり、上手く頭が回らない。
……落ち着こう。
私の部屋で寝落ちしたわけじゃなかった。私の部屋とは似ても似つかない豪華な部屋。やっぱりあれは夢じゃない。1人で下校していて、いきなり後ろから口を押さえられて……。だめだ。これ以上思い出せない。鞄も無い。携帯もない。
……とにかく外に出よう。
脱出ゲームなら閉まっているけれど、すんなりと開いた。
………………。
この状況……前にも経験したことがある。
そうだ。
私は、ここで皆を亡くした。
前回の様に声はしない。
まだ目が覚めていないんだろう。
今のうちに……!
キッチンの飾り棚を開ける。
その中には赤、紫、青の瓶。
青は初めて見たけど、赤と紫は日輪君達が持っていた物だ。
それを腕に抱える。
「あとは……」
一応小さくノックをして、部屋に入らせてもらう。
清原さんと能登さんの部屋だ。
2人共まだ目が覚めていない。
ここに来た理由は1つ。
凶器になった鋏をあらかじめ回収する事。
殺そうと思えば色んな方法があるから、気休め程度にしかならないだろうけど。
それらを持ってロビーに行く。
そして、暖炉の中に叩きつけた。
鋏は何ともなかったけど、瓶は3つ共粉々に砕け、中身を撒き散らした。
早速火を着けようとするが、肝心の火がない。
「やば……。どうしよ…………」
「はい。これ使ぉて」
「あ! ありがとうございます。助かります」
ん!!??
後ろを向くと、香坂さんが立っていた。
「何しとんの?」
「あー……えっと」
毒を燃やそうとしてます……何て言えないよね。
「………………んまぁ、いいや。君もここに連れて来られたん? 他に誰かおらんか探しとったんよ」
あ。今回は香坂さんが一番早くに目が覚めたのか。
「私もなんです。気がついたらここにいて」
「おれもなんよー。なぁんでこんなとこに」
「あれ? 春さん?」
「えっ!? 勇くんも連れて来られとったんか!? あと能登さんも」
「気がついたら知らない部屋で寝ててさぁ。めっちゃビビった」
「ほんとそれね。でも……清君の寝顔見れたからちょっとラッキー」
ニコニコしながら言う能登さん。
「ぅえ!? マジか。」
「えへへ。マジです」
このリア充ぶりは変わらないな。
「先客がいたのね。私だけじゃなかったのね」
平井さんが入ってくる。
「君も気づいたらここに?」
「えぇ。目が覚めたら部屋が狭くなってて驚いたわ」
あれで狭い!?
初耳。
平井さんってお嬢様だったんだ……。
「!? 他にも人がいたぁ……」
安堵の声をあげたのは日輪君。
「君も…………同じみたいやね」
「あ……はい」
やっぱり少しおどおどしている。
「あ…………あの。皆さん、ここの住人……ですか?」
知らない雰囲気と知ってる声。
振り向くと、日輪君以上におどおどとした、有路さんの姿。
「いえ。私達もここに連れて来られたんです」
「……そうですか。」
見た目と声は全く同じなのに、雰囲気もキャラも違う。
やっぱり、何度も同じ事を繰り返してたら変わったのかな。
という事は……今までの事は覚えてないって事になる。
都合がいいような。悪いような。
「とりあえず、自己紹介していきませんか? せめて名前くらい知っておかないと不便でしょうし」