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scared 〜四宮一菜side〜

私の嘘は、『エイプリルフールがなくなった』だ……。


自分がついた浅はかな嘘に怒りを通り越して吐き気を覚える。

こんなの、クリアできるわけがない。

世界で知らない人はいないであろう『日』だ。

それこそこの世の人間全員がいなくならなければクリアにならない。


ガチャ……


っ!


「ここにいたんだね」

「…………有路……さん」

「やだな。そんな睨まないでよ」

いつもの柔らかな雰囲気。

今は腹だたしさしか生み出さない。

「…………貴方の……貴方の、嘘は何ですか」

「僕はまだ思い出してな「答えて!!!」

「……仕方ないね。僕の嘘は……」


私の方に歩み寄る。

そして耳元で言った。

「君と同じ」

恐る恐る有路さんに顔を向ける。

「やだなぁ。そんな怯えたような顔しないでよ」

くすくすと笑いながら有路さんは言う。

色んな意味で恐ろしかった。

こんな状況で笑顔な所。

有路さんがどうやってその嘘を本当にするか分からない所。

そして、私の嘘を知っていること。

「それじゃぁね」

「何で……私の嘘を知ってるんですか。

いや、どうやってその嘘を本当にするつもりなんですか……!」

去ろうとした有路さんに問う。

少しだけ振り返って言った。

「君にだって、分かると思うよ……?」

その言葉に身体と思考が凍りつく。

殺される…………。

動かない思考の中でただ本能的にそう感じた。


しんと静まり返った部屋に、ドアの閉まる音が響く。

その音にはっと気がつく。

「まっ………………!」

もう遅かった。

有路さんが黒幕なのか、何を考えてるかも分からない。ただただ、あの不気味で柔らかい、凍りついた優しい笑顔が、頭から離れない。

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