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苦手な方はご注意ください。

異界の日章旗外伝〜軍神大尉のおとぎ話〜

作者: 横山上等兵

ここは"異世界"と呼ばれる歴史が食い違い、

科学の代わりに魔法が発達している。


ここは龍や魔物が存在している世界で、

ここには近代兵器なる物は存在しないーーー








はずだった。











「う・・・うん??」



とある国の平原のど真ん中に、

そこには存在しないはずの鉄の箱があり、

その中で一人の男が起きた。


その男はこの世界では見ることのできない

服装をしていた。


彼の名は"西住小次郎"という名の

大日本帝国陸軍の大尉である。




「はっ!!高松は!?中隊長殿は!?

作戦はどうなった!!」



西住は意識がはっきりとした途端、

彼の近くにいた部下、そして上官、

彼が参加していた徐州攻略作戦の

戦況について思い出した。


彼はその作戦に参加しており、

八九式中戦車に乗って進撃していた所、

たまたま小川を見つけたので

その川の深さを測るために戦車を飛び降りた。


そして戦車の通れる地点を見つけ

そのことを中隊長に報告しようと

走り出だしたとき、

敵の銃弾が右太ももを貫通してしまい、

それが原因で戦死してしまった。


はずなのだが、彼は自分はあの怪我が

何とか治ったということにも驚いたが、

部下の安否や作戦について

心配になった後、あることに気づいた。


彼は徐州攻略作戦に参加していたのだが、

自分の周りの風景が明らかに徐州ではなく

まるで別世界のようなのだ。



「ここは・・・どこだ??」



周りを見渡してみたが、一面草原で何もない。


(おいていかれたか??)



そう思ったが、すぐにかき消される。


(ならなぜ貴重な戦車があり、

自分一人だけがが乗っているんだ??)



そしてしばらく自問自答したが、答えが出せなかった。



「わけがわからんなぁ・・・」



そう言うと西住は戦車の中を見る。



「なんとか動かせるか・・・」



燃料は満タンで整備状態も良好だったので、

動かせることを知った西住は

とりあえず、この場から発進したのだった。







さてこの世界には前述したように

"戦車"という物は存在しないのだが、

例え、存在している世界でも

いきなり巨大な鉄の物体である"戦車"が

住んでいる場所へ来たらどうなるだろう??


それはーーーー





「ま、待て!!俺は何もせんぞ!!」



戦車を走らせてから十分程で小さな村を

発見した。


もしかすると友軍がいるかもしれないと

思った西住だが思惑は大きく外れ、

その村にはなんと白人しかおらず、

その白人の住民に敵意剥き出しで

包囲されてしまった。


西住は何とか落ち着いてもらおうと

説得しようとしていた。


しかし聞いた事のない言葉を話していたので

全くと言っていいほど困っている。



(どうするべきか・・・)



そう考えていると一人の老人が近づいてきた。



「君、大丈夫かね??」



「っ!!に、日本語ができるのか!?」



西住はいきなり現れた日本語を

喋る老人に驚いた。


しかしその老人の問にさらに驚く事となる。



「いや、"ニホンゴ"というのではなく、

これは魔法の一種じゃが・・・」



「・・・はっ??」



西住は老人の返答に耳を疑い、

もう一度問いただした。



「ま、魔法ですと・・・」



「おぉ、そうじゃよ」



(魔法??マホウ??まほう??だと!?)



西住の頭の中は大混乱してしまった。


しかし老人の声で現実に戻される。



「どうかしたかね??」



「はっ、はい別に・・・」



取り敢えず"まほう"の事はさておき、

せっかく言葉が通じたので

情報を集めるべく老人と話をすることにした。



「ではご老人、ここは一体どこか

ご存知でしょうか??」



「ここかね??ミロハネス王国の村じゃが・・・」



「ミロハネス王国??」



(俺は大陸にいたはずだが、

そんな国聞いたことがないぞ??)



彼はそう思い、日本の事について聞いてみた。



「・・・ではこの辺りで我が皇軍を

見かけなかったでしょうか??」



「"こうぐん"・・・見たこともない」



(何だと??我が軍は何処へ行った??)



彼の中で疑問が膨らんで行った。



「ところで貴方は誰かを探しているそうじゃが、

これから行く当てがあるのかね??」



「はっ、いえ、特に・・・」



「なら村へ泊まるといい。

もしかすると探している物の

手がかりが掴めるかもしれんぞ??」







それから二週間後ーーー



「ここは何処なんだ・・・」


辺りがすっかり暗くなった頃、

西住はあの老人の家の一室にある

簡易的な寝床でそう呟いた。


彼は老人の提案を受け入れて少しの間、

この村で世話になるつもりだったのだが、

全くと言っていいほど手がかりがなかった。


おかげで最初の頃は警戒していた村人達とも

すっかり仲良くなってしまい、

老人の家の近所に住んでいる

男達とも酒を酌み交わして仲良くなり

戦車に乗せて操縦方法等を教え込んで

戦車兵にしてしまった程だ。


また戦車に興味を持った職人のおじさんが、

なんと戦車の整備をすると言い出し、

なんと手作業で部品をあっという間に作り出し

(これも"マホウ"の力らしい)

整備してしまった。


もちろんそうしている間には

村の仕事の手伝いをしたりしていたので

村人から「"ニシズミ"さん」と

慕われるようにもなった。



「どうしようなぁ・・・」



そんなことを考えていた時だった。



「グォォォォォォ!!!!」



地響きの様な唸り声が突如として響き渡り、

それに反応した西住は窓をみた。


するとなんと窓の外には

家の倍もある大きな化け物が家を踏み潰し、

村人を襲っていた。



「た、大変じゃ!!!り、龍が来たぞ」



すると入口を乱暴に開けてあの老人が

入ってくるなり、そう叫んだ。



「り、龍だと!?」



「そ、そうじゃ!!じゃから早く逃げるぞ!!」



老人はそう急かしたが、

西住はすでに覚悟を決めていた。



「おい!!あいつを倒してくるぞ!!」



そう言うと老人の青かった顔がさらに青くなった。



「何を馬鹿なことを言うとるんじゃ!!」



「この村の人達にはかなり世話になった。

今ここで恩義を返さなくては

帝国陸軍軍人の名折れだ!!」



そう言うなり西住は外へと駆け出し、

老人は制止をしようとしたが

そのまま振り切り外へ向かった。





外はすでに惨劇の場になっていた。


随所には誰のか分からない死体が転がっており、

村は混乱の極地にあった。


そんな中、西住はなり振り構わず

戦車が格納されている小屋へと向かう。


幸いにも小屋は無事で扉を開けて入ってみると、

すでにあのおじさんと青年達がいた。



「"ニシズミ"!!こいつはいつでも動けるぞ!!」



「そうか!!じゃあ話している暇が

持ったいない!!行くぞ総員乗車!!」







龍はすでに村の三分の一を破壊しており、

さらなる獲物を探していた。



「グゥォォォォ!!」



そしてまるで自分が生態系の

頂点に立ったかのように咆哮した。


しかしそこへーーー




ドォォォン!!



まるで龍を邪魔するかのように

一発の"何か"が近くに着弾した。


水をさされた龍は"何か"が飛んできた方向を向く。


そこにはとても小さな鉄の箱がキュラキュラと

動きながらこちらへと向かってきた。






「外れたぞ!!次弾装填、弾種鉄甲!!」



西住は車内でそう怒鳴った。



「了解!!」



そして軌道を修正しようとしたが

その前に存在が気づかれて龍が

こちらへ突進してきた。



「早く物陰に移動しろ!!」



その突進を素早く戦車を動かし回避した。



「照準よしっ!!」



「撃っ!!」



再び八九式中戦車の57mm戦車砲が

轟音と共に鉄甲弾を放った。


しかしこれも龍が動いたことにより

外れてしまった。



「くそっ!!」



「次弾装填早くっ!!」



西住がそう言ったのと同時に龍が

再び突進してくる。



絶体絶命ーーーー






かと思われたが、



パパパパパパ!!!



龍に突然多数の機銃弾が当たり、

これに龍はたまらず動きを止めた



「よしっ、いいぞ!!」



そう、咄嗟に装備してある6.5mm機銃を

龍に向けて撃ったのだ。


そして、



「目的、照準よしっ!!」



「撃っ!!」



動きを止めている龍へと放った。


そして弾は顔面に直撃し、龍はそのまま沈黙した。



「や、やったぞぉぉ!!」





その後西住大尉がどうなったかは分からないが、

この地で新たな伝説が生まれたのは

また別のお話であるーーー

どうも横山上等兵です。

今回、"異界の日章旗"の外伝を

執筆してみましたが如何でしたか??

さて今回、外伝を書いていたので

本編が更新が遅れてしまいましたが

今後も"異界の日章旗"をよろしくお願いします。



ご意見、ご感想、アトバイスをお待ちしております。

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[気になる点] 鉄鋼× 徹甲○ 読みは一緒ですが、 てつこうと書いて別々に変換したら出ます [一言] お久しブリーフ、どうも、変なテンションの要塞です。 どこぞの市民団体(笑)曰く、戦車は威圧感…
[良い点] 投稿お疲れ様です(__) そして、はじめまして。 暮灘雪夜と申します(__) グリペンさんや要塞好きさんの所で何度もお見かけしてますが、改めてご挨拶させてもらいます。 ファンタ…
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