表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
clarity love  作者: 朱希
48/50

終わり

さようなら






またきっと会えるから







clarity love 終わり








それから2週間後九州で1月に入り北海道の公演が行われた。

腕は隠れるように長袖の服装となっている。

曲数は依然と変わらない数だった。

条件に公の場に円の事を言えない分何かあったことをあまり悟られてもいけなかったからだ。

九州公演の当日、会社から正式に移籍発表がなされた。

このジュエリストでの最後の日はツアーの最終公演になった。

次の移籍先はまだ発表されていないが、公式にこれで移籍が決定したと言っても過言ではなかった。

ツアーのほかにメンバーはやらなければならないことがあった。ミニアルバムづくりである。

ミニアルバム完成に向けて毎日のようにスタジオに籠りっぱなしだった。

ツアーに赴き、スタジオに籠り病人とは思えない働きに流石に疲れも出る。

香南はなるべく家でできるようなものは家でやってもらうことになった。

その家とは七海の家だった。香南は七海の家に居候していた。

本当はまだ入院していなければならなかったのに外へ出ている状態で一人暮らしをさせることが辛かったからだ。

七海も七海で包丁を目の前でふりあげられたりしたせいでなかなか料理をしたいと言う気持ちを起こさせることが難しかった。

香南は無理して作らなくてもいいと言っていたが、七海が香南にできることと言えばこのぐらいしかなく、ちゃんと作ってあげたかった。

だからこそ、包丁を持てるように訓練をした。

たこさんウィンナー、うさちゃん林檎。前みたいにはいかないが少しずつ、元に戻りつつある。

二人はようやく少しずつ、治ってきていた。








1月中旬、anfangの今のレーベルでの最終公演が東京で行われる。

七海はもちろん双子、琴乃も招待されていた。

「まさか、招待席で見れることになろうとは…」

ぼそぼそと琴乃が呟いていたが、その目はとてもキラキラとしていた。

「ななちゃ、ぺん!」

「ぺん!」

二人が促すので先ほど購入したペンライトを二人に渡す。

実は朝から4人でグッズ販売に並んでいた。

おそらく言えば香南や雅からもらうことができたと思うが、これはやはり貢献しないとと琴乃と二人で張り切っていた。

何時間も双子を一緒に待たせるのはどうかと思ったが、二人も並ぶと譲らなかったので一緒に並ぶこととなった。

その間にファンの様々な声を聞くことができた。

前の人は双子を見て可愛いと言ってくれそれから話がはずみ様々なことを話した。

「anfangの移籍びっくりですよね!」

早速あちらから話してくれた。やはり出ると思っていたがこの話題から始まった。

「そうですよね、けどきっとどこへ行っても彼らはうまく言ってくれると思います。」

「当たり前!だってanfangだもの!何があっても応援しちゃう!!」

その言葉が何よりも、anfangにとって嬉しいのではと七海は思わず笑みを浮かべる。

横で琴乃が笑っていた。

「どうします?週刊誌でてたみたいに本当に香南がつきあっていたり、結婚、とかになったら」

思わず七海は琴乃を睨みつける。琴乃は知らないふりをしていた。

「えー、それはびっくりすると思うけれど、やっぱり人だしねえ。いつかは結婚するんだろうし、それだったらさっさと結婚してくれた方がね?」

「だってカナン最近優しくなったと思うもの。ダークなカナンも好きだけれど優しくて笑うカナンの方が人間らしくて、好きだなあ。」

七海は今までanfangのファンと言ったら琴乃か円しか見たことがなかったため他のファンの言葉を聞くことができなかった。

だからこそ、この言葉は七海を勇気づけた。

「そう、ですよね」

ありがとうございます、と心の中で付け加えた。



最終公演は今までと全く違うセットリストで行われた。

最初に『13番目の祈り』を歌う。

初期のころを思い出しているのだろう。ファンが泣いているのが見えた。

それから『black kiss』『white kiss』が歌われる。

アマネとナツルが投げキッスを客席に向ける。

途中の間奏では燎が一度ドラムをやめ前へ出てくると客席に向かい礼をする。

そしてかっこいい投げキッスをぶちかました。

曲の終わりには香南が投げキッスをする。最初に招待席に、次に客席へ。

MCもいつものようにテンポのよいものとなっていた。

終盤には最近のアルバムの曲をふんだんに盛り込み、新しいanfangを見せつけた。

一度はけるとすぐさまアンコールがかかる。

なかなか出てこなかったが、ようやくツアーTシャツを着たメンバーが現れた。

カナンがマイクを握る。

「この日が、来てしまいました。」

「・・・終わりは新しい始まりへの合図。だから皆も、前に進むことに恐れず突き進んで欲しい。これは俺からの願い、そしてanfangからのお願いでもある。」

ファンからは拍手をされる。

「この数カ月でanfangに関するたくさんの情報が流れると思う。もちろん、ファンの皆さんにとってはいいことだけではないかもしれない。けれど、これが俺たちだと言うことを知っていて欲しい。皆さんの明るい明日へ気持ちを込めて、演奏します。聞いてください『さよならの瞳』」





歌い終えメンバーがはけてからもファンは拍手をやめなかった。







翌日からネクストが新レーベルのアーティストCMを大々的に流し始める。

ただ歌詞も付いていない男性の高音の声が流れてくるだけだったがその声はどこかやさしげであった。

そして最後にcoming soonの文字。

世間で大きな話題を呼んだ。

高校でももちろん大きな話題となっていた。

「七海!!!見た?!」

「なにを?」

「ネクストの新しいレーベルのCMよ!すっごいの、めっちゃ癒されるの!!!」

「あー、」

七海はあのCMの正体を知っていた。そして今朝のニュース番組で取り上げられているのを見ていた。双子たちは何も知らないようだったが、香南がしきりにこのアーティストはどうだ?と双子に質問しているところを見て確信していた。

「琴乃でも、わからないもん。わかるわけないよね」

ぼそっと七海がつぶやく。

「何か言った?」

「いや、別に。楽しみだね。そのアーティスト」

「うん!あ、もちろん一番はanfangだからね!この間のツアーもよかったー!やっとさよならの瞳聞けたもの!!!」

そこからはツアーの話でもありあがった。

アーティスト発表されたら琴乃どんな反応するんだろう、ある意味楽しみな七海だった。








2週間後、そのアーティストがanfangであること、同時にミニアルバムが1カ月後発売されることも発表された。

そして発売一週間はCD発売イベントのため各地を回ることも言われた。

琴乃のリアクションは案の定と言った感じですぐさま七海に電話がかかってくる。

「わーびっくり!!けど全然わからないものだね!カナン変わりすぎ!!しかしそこがいい!!!」

琴乃のanfang談義は終わることなく香南が家へ帰ってくるまでずっと続けられた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ