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clarity love  作者: 朱希
44/50

決行

一つの波が






僕のもとへやってきて







全てを包みこんだ







全てを変えていった









clarity love 決行










12月から始まったツアーは最初からSOLD OUTだった。

関西から始まり、果ては九州、北海道、最後に関東と大忙しだった。

今回のツアーは期間が短く、2月上旬には終わるものだった。

前の事件のこともありテレビ局や記者がたくさん入っていた。

社長の娘の円は全公演来る予定のようだった。

それを聞いたメンバーはどうしようかと悩んでいたが、これ以上火に油を注ぐような行為をしたくなかったため何も言わなかった。

もちろんその間に移籍の話は進んでいた。



『ふーん君たちがanfangか。噂はかねがね聞いてるよ。この間のアルバムもおめでとう。うちのものが悔しがっていたよ』

『いえいえ。この子たちもまだまだです。』

雅がメンバーの代わりに答える。

『はは。ところで隠しておきたいことがいろいろあるanfangさんは本当に私のところへ来ての条件できそうなのかな?』

偉そうに座っていた社長が突然前のめりになる。

『うちは実力主義だからね。もちろんそのために守るものはちゃんと守るさ。公私混同もしない。きみの今の会社の社長見たいに”バカ”ではないからね』

その言葉に香南が社長をみる。

『それさえやってくれるのだったら、俺たちはちゃんと良いものを作る。もちろん俺たちの世界の中で。たくさんの人を俺たちの世界に引き込ませる。』

『ほほお。』

社長が興味心身に香南を見つめる。

『私が聞いていたカナンとは全然違うね。あの事件で何かあったのかい?』

事件の事は社長ももちろん聞いていた。事前に調べさせあれが香南の本気だと言うことも知っている。

『ええ。俺の全てを変えたんです。もちろん、anfangの運命も』

『そうだな。』

燎が頷く。

『あの子と会わなかったらこんなに変わろうとしなかったよねえ』

周が思い出すように目を瞑る。

『この変化は進化へつながら変化だと、確信してます…!』

夏流が社長にはっきりと答える。

『なるほどねえ。』

社長はにやりと笑うと交渉成立と言った。

そして書類も書き後は今の現社長に話すだけとなっていた。








久々の関西でのライブにメンバー一同何とも言えない気分だった。

そして今日のライブでは大きなニュースを言う。

本当は最後の最後まで言わないつもりであったが、あちらの会社に入ることが決まったこともあり、社長に電撃発表として伝えるのもいいだろうと思ったからだ。

皆徐々に口数が少なくなっていく。

皆それぞれに不安があるのだ。

突然ノック音が聞こえ一同驚く。

「だ、誰だろう…?」

ふと見ると雅だった。

「皆、どうした緊張して。大丈夫だって。はい。」

ふと香南にあるものを渡した。それは花束だった。

中のコメントカードを見ると2枚絵の描かれたカードと1枚の文字が書かれたカードがあった。

名前を聞かなくてもわかる。



私たちのヒーローさんへ


  大丈夫、です。

    東京からエールを送っています。

             

                 七海




香南がクスリと笑う。




大丈夫、大丈夫。




今は、信じられる。










今回のツアーではアルバムの曲はもちろん、昔の曲も歌ったりした。

メンバーがそれぞれ想いれのある曲を歌いたいと言い出したからだ。

ファンはもちろん大喜び。あまり歌わないレア曲も披露してくれたからだ。

ただ、MCは少なめだった。スキャンダルの事をあまり言われたくないと言うこともあり、なるべく歌うことに重点を置いたのだ。

その分香南の歌声はいつもに増して想像力豊かで力強く、切なく、様々な気持ちが入り混じりファンを世界へ引き込んでいた。

アンコール前の最後の曲が終わりメンバーがはける。

すると客席からはアンコールが聞こえてくる。

メンバーは苦笑いをするといつもはしない円陣を組む。


これからの始まりのために、終わらせてくれ。


そう祈りながら再び舞台へあがった。










「皆に言わなければならない発表があります。」

それは突然、香南から告げられる。

何事かと客席がざわざわし始める。

「まず、倒れた件に関してファンの皆にはとても心配かけたことをここでお詫び申し上げます。」

4人が同時に頭を下げる。

ファンからはメンバーの名前のコールが広がってくる。

「これからはもっとanfangがanfangであるためにより精進していきたいと思います。」

はきはきとものを言う香南にファンから拍手が送られる。

しかしその次の言葉で一瞬にして言葉、音が失われた。


「そのために、anfangは今のレーベル会社を変え、新しい会社で一からものを作っていきたいと思います。」


まるで音が一瞬にしてなくなったようだった。

しかしその一瞬の後一気に驚きの声が上がる。

「今までのanfangを好きでいてくれた人、嫌いだった人、多分いろんな人がいると思うけど、これからの新しいanfangも変わらず見て欲しい。そして、変化を感じ取って欲しい。そこに何か感じるものがあって欲しいから、anfangは進んでいきたいと思います。」

そして再び礼をする。

もうファンは何も言えない状態だった。

「最後に、この終わりのために作った曲を聞いて欲しい。新しい始まり向けて『さよならの瞳』」






なくした痛みを再び与えた君は

僕を翻弄する


きみの瞳は何を言ってたの?

きみの心は何を感じてた?


今聞いてもわからない。

だってそれは終わりを告げているから

新しい明日を変えようとしているから







その曲はアルバムにも何にも入っていない本当にこの瞬間のためにだけ作ったものでとても寂しい曲だった。

ファンの人たちはたちまち涙を流していた。






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