強さ ※BL有
ここから僕ははじめたい
そうきっと待ち焦がれていた
始まり
clarity love 強さ
タクシーに乗り病院へ行くとすぐさま医者に怒鳴られた。
そして検査されるが疲れが出ただけでその他は前よりも良いようだった。
どういうことかと医者が不思議がりながら部屋から去ったところにメンバーと雅が来た。
「もう!香南驚いたよ。大丈夫なの?」
夏流が心配そうに言ってい距離を置いて聞いてくる。香南はそれに笑顔で答える。
「ああ。もう大丈夫。」
その言葉に夏流の目から涙が出てくる。そして香南に抱きつく。
「ばかかなん!!!よかった!!」
どうしたらいいかわからず、香南は夏流の頭を撫でる。
しかし、少しすると夏流を話す。
「香南…?」
また調子が悪くなったのかとすぐ離れるがそうではないようで、香南がとても真剣な顔をしていた。
「4人に、話があって。」
「なんだ。話してみろ」
燎が腕を組みながら聞く。これでも心配してやってきたのだ。それなりのことじゃないと許さないというような感じだった。
「まず、今回の件で皆に迷惑をかけた。すまない。」
ベッドから降り頭を下げる。それにメンバーと雅は驚いた。
「香南…」
「いや、いいんだよ。最近働きっぱなしだったし。この機会にゆっくり休めただろ」
夏流と雅はそれぞれ言葉を発しているが、周と燎はようやくかと言う様に笑顔を向けた。
しかし、香南の真剣な顔はそのままだった。
「そしてもう一つ。今日、その、七海の家に行ってきた。」
「「「え?」」」
雅以外の3人は今日香南がどこへ行っていたか知らなかったので初耳であった。
あれだけ拒絶された七海の家にどうして?
「だ、大丈夫だったの?ななちゃん」
夏流の言葉に香南は苦笑しながら頷く。
「俺、七海と結婚する。その話を今日してきた。」
「「「「え」」」」
「えええええええええええ!?」
夏流が叫ぶ。他の3人は驚きすぎて声も出ないようだった。
「ちょっと、えっななちゃん、どう言ったのさ!!」
「どうって、了承してくれた。いろいろ条件を出した結婚なんだ。普通とは少し、違うかな。」
「普通とは違うってどういうこと言ったんだい?」
普通と少し違うと言う部分に疑問を持ったのか雅が質問してくる。
「七海に今足りないのはお金なんだろ?俺は良いのか悪いのかお金には困っていない。だから結婚して共有財産にしようと思ってる。もちろん七海が結婚したいと願う人ができたら即離婚する。そして俺の財産全部七海に譲渡しようと思って」
この言葉に一同絶句した。
ここまで、ここまで思いこんでいたとは思いもよらなかったのだ。
「七海が結婚したい人がって七海の気持ちも聞かずにこの条件だけで結婚させるつもりなのか?」
燎は心配するように尋ねる。
「七海の気持ち?俺以外を好きということか…?何も聞かず突っ走ってしまったけれど、そうか、けれど結婚してくれると言ってるし、今はいないものかと思っていた。」
どうやら香南は七海の気持ちを全くわからず話を進めていたようだった。
その返答に脱力感を感じた燎は周の肩をたたく。
「こいつら、どうにかしてやってくれ…」
「うーん、それは難しい問題だねえ」
「と、とりあえずそれは結婚すると言うことになっているんだったら大丈夫だよ。まだきっといないってことで」
今にも七海に連絡を取りそうな香南を止める。こんな急展開の後に好きかどうか聞かれても七海も困ると思ったからだ。
「けれど、問題は社長だよ。絶対反対する。どうするつもりなのさ」
雅が心配そうに尋ねる。
「それは…」
香南に一つの案が浮かんでいた。しかし、それを伝えることはメンバーや雅にとても迷惑をかけることがわかっていた。
言ってもいいのか、どうなのか悩んでいると燎がにやりと笑った。
「よし、移籍すっか」
「え?」
香南は驚き目を大きくあける。思っていた考えを燎が言ってくれたからだった。
「だって、こんなところで音楽やってたら七海との関係崩れるのも時間の問題だし、俺もいいかげん適度に休憩しながらの音楽活動していきたいからな。お前らもいいよな?」
メンバーも薄々と思っていたらしくて少し苦笑いしながらも了承の頷きをする。
「全く、勝手に決めてくれちゃって。僕だってそう思ってたんだからね。」
「それが一番ベストな方法だろうね。」
「雅さんは、その、いいか?」
香南の言葉に一同雅に目を向ける。雅も考えるところがあったらしい。
香南たちのように歌手やバンドマンは事務所に入りそしてもう一つ歌を出すためにレコード会社にも入る。雅は事務所で雇われた人間なためレコード会社を移籍するとしても彼が会社を辞めると言うことはない。
レーベル会社を移籍すると言うのはとても大変なことだった。事務所への報告もしかり、移籍先を決めることも大変である。
そこから大きなところへ移籍するのか、はたまたちいさところで細々とやっていくのか。
anfangのこれからを考えると大きなところへ行きたい。しかしジュエリストも一応大きなところなのだ。それ以上を目指すと考えると果たしてうまくいくのか。
しかし、ここでやっていくのは難しいということに気がついてはいた。
社長の横暴ぶりがそれである。
「一つ、やってみようか。」
その声にメンバー4人は大きくうなずいた。
それから2,3日後香南は退院しその足で社長に会いに行った。
社長はなんとか香南が無事戻ってきたことに安堵していたようだった。
「先日のシングルの件大変申し訳ありませんでした。」
香南が最初に頭を下げそれから他のメンバーも頭を下げる。
「いや、まだ君たちは若いんだから。これからまたしっかりと働いてもらうよ」
「その件に関してなのですが、」
雅が一歩出る。社長は何事かと眉をひそめた。
「anfangはシングルの件の責任を取るために、その他さまざまな理由が重なったこともあり、ジュエリストから外れます。」
「・・・は?」
社長は目を大きく開く。驚きすぎて声が出ないようだった。
「この件についてメンバーはとても責任を感じています。また、それぞれ考えるところがありました。その後についてはメンバーと私で探すのでご心配なく。」
ことをさらさらと話す雅に社長は突然怒鳴りだす。
「だっだめだ!!!何を言っているんだ!!!」
「いいえ、これは決めたことですので」
「お金か?!金ならもう少し上乗せできる。やっ休みも」
「社長さんよ、休みくれるくれる言ってくれなかったのあんただろ」
頭をあげて手を組み燎が反論する。
「他にもたくさんの理由があるんだ。社長はうなづいてくれさえしてくれたら俺たちは勝手にやるから、心配しなくていいんだよ。」
周もにやりと笑いながら言う。
しかし、社長も黙ってはいられなかった。anfangが外れるマイナス面が大きすぎるのだ。それに今のanfangだと確実にどこかにすぐとられるのは目に見えていた。
「・・・それ以上言うと、周と夏流の事をメディアに流すぞ」
その言葉に周と夏流がハッとする。
二人の顔にこれは使えると思った社長はにやりとする。
「二人のことをばらして欲しくないならば、ずっとこのジュエリストでCDを出すことだ。以上。」
スタジオに来たメンバーと雅はため息しか出なかった。
ここまで横暴なのか、あの社長は。ため息の後は怒りしかわいてこない。
「ごめん、皆」
夏流が泣きそうな声で呟く。その頭を周がなでる。
「別に二人は悪くねえ。こんな時にああいう駆け引きをする社長が悪い。」
香南はすぐさま夏流の言葉を否定する。
夏流と周は微笑を浮かべた。
「そうだよ。くっそーなんとかできればなあ…雅さんなんか方法あんの?」
燎が頭の後ろで手を組みながら椅子前後させる。
「うーん、あると言うかこれしかないと言うか。」
「なんだい?」
周が雅の言葉を促す。
「ジュエリストよりも大きなレーベル会社に移籍だよ。あの社長の情報をもつぶせるほどの。じゃないとこっちがつぶされちゃうね。」
「なるほどなあ…」
「面白そうだねえ。夏流も、頑張れるかい?」
泣いていた夏流も必死に目をこすって涙を拭く。そして前を向いた。
「当たり前だよ。皆を守るために、頑張ろう?」
夏流の笑顔に皆が頷いた。