寂しさ
負けたくない
負けたくないの
守りたいの
clarity love 寂しさ
香南に別れを告げたあと七海はすぐ家に戻った。
双子に留守番を頼んでいたからだった。
帰ると二人の元気な声が返事返してくれる。
思わず涙があふれそうになるが必死に止める。
そして二人の前に座ると二人を抱きしめる。
「「ななちゃ?」」
「あのね、香南さんとお別れをしてきたの。」
そういうと二人からは驚くような声が聞こえてきた。
「お姉ちゃん、一生懸命頑張るから、今まで以上に頑張るから、一緒に頑張ってくれる?」
二人の顔を見ると二人はとても悲しそうな顔をしていた。
しかし頷くと、ななちゃとがんばる!と言ってくれた。
例えその顔が無理しているように見えても、七海は嬉しかった。
それから日向家に不自然なほど香南の話題は一切でなくなった。
テレビも前のように子供番組だけだった。
琴乃にも別れを次げたことを言う。
すると琴乃はは辛い顔をしながらも頷いてくれそれからはなるべく一緒にいてくれるようになった。
七海もがむしゃらに就職先を探した。
しかし、幼い弟たちがいるということで勤務時間が限られているためなかなか見つからなかった。
おばさんからも毎日のように就職に関して電話がかかる。
毎日限界のような気持ちになる。
けれど後ろを見ると前以上に手伝いをしてくれるようになった美羽がいる。
勉強の邪魔をしないように静かに遊んだりしてくれている瑠唯がいる。
二人を守らなければならない。
自分を叱責し必死に前を見ていた。
しばらくして両親の3回忌が行われた。
もちろん親戚一同が集まることになっている。
七海たちはまたもやおばさんの協力を経て3回忌を行うことが出来た。
七海の家に親戚がぞろぞろと現れてくる。
するとおばさんに引き連れられたおばあちゃんたちがやってきた。
「「おばあちゃん」」
双子がおばあちゃんのそばによるとおばあちゃんはとても嬉しそうに二人をみる。
「二人とも、おばあちゃんがいない間元気だったかい?」
「うん元気だったよ!!」
「おばあちゃんはげんき??」
「ああ、げんきだよ。」
足腰が悪いのでなるべく座り心地のいい場所におばあちゃんを移動させる。
七海もおばあちゃんの傍に寄り添った。
「おばあちゃん、今日は、ありがとう。」
七海がそういうとおばあちゃんは七海の手を握り悲しそうな顔をした。
「七海ちゃん、ゴメンね。ゴメンね。おばあちゃんがもっと頑丈だったら、あなたたちをちゃんと支えられたのに。」
涙をこらえながら言われるが七海は首を横に振る。
「いいえ。おばあちゃんにはいつも感謝ばかりです。私たちこそ迷惑ばかりかけてごめんなさい。」
おばあちゃんはそれに対し何か言いたそうにしていたがおばさんに呼ばれたので七海はその場を離れた。
3回忌は順調に行われた。
坊さんのお経も終わりテーブルにはお食事が並べられる。
七海は必死に親戚の方々にお酒を注いだりしていた。
そこで話題になるのは七海の両親のこと、また七海たちのことであった。
「まだ早かったわよねえ。」
「子供もまだこんなに小さいのに」
その言葉におばさんが乗らないわけがない。
「全くよ。うちだってまだ子供がいるのにもう3人世話をしなければならない状態だけは避けたいんですよ。ねえ、七海ちゃん。」
「は、はい・・・」
七海は声を小さく答える。
しかしおばさんの言葉は止まらなかった。
「由美子もなんてものを置いていってしまったのかしら」
「これ、由紀子なんてこというの」
由美子とは七海たちの母でおばさんの妹のことである。
七海のことだけなら露知らず母のことまで言われますますいたたまれなくなる。
おばあちゃんがおばさんの声をさえぎるが話は続いていた。
「美羽と瑠唯ももう少し大きければよかったのに。なんてお荷物なの」
「ちょっおばさん!!!!!」
七海がとうとう声を上げるとリビングの戸がバンッと開いた。
親戚一同が目線を戸へ向ける。
七海も見ると香南が立っていた。
「香南、さ、」
七海がつぶやくと香南は七海の手を引っ張り外へ駆け出した。