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clarity love  作者: 朱希
32/50

焦燥

心の中の闇に打ち勝てるのは






その闇以上の光






僕の光は






優しく僕を誘う








clarity love 焦燥








夏休みもあと3日。

七海は最後の宿題に取り組んでいた。

双子たちは良い子におもちゃで遊んでくれている。

新学期が始まればすぐテストもあり、なおさら一生懸命勉強に励んでいた。


最後の日は香南とネズミーランド


これが今の七海の何よりもの楽しみであり、原動力であった。

早く、31日になって欲しい。

わくわくして勉強の集中力も落ちてしまいそうだった。

休憩にしようと双子のおやつと自分の飲み物を取りに行こうとするとピンポーンとチャイムが鳴る。

宅配便など頼んでいないのにと不思議に思いながら玄関に行く。

「はーい」

玄関のドアを開けると汗をかいてとても急いできた様子の雅さんが立っていた。











香南が一人で孤独に闘っている。

それを知ってるからこそ他のメンバーは必死にアルバム制作をしていた。

香南が戻ってきても快適にアルバム制作に戻れるように。

「香南、戻ってきてくれるかな。」

夏流がふと、不安をぼやく。

「何を言ってるんだい?」

周が頭を撫でると夏流はそれでも眉をひそめた。

「だって、せっかく光を見据えたのに、また、戻らされて。香南がかわいそうだ。」

歯を強くかむ。

燎はため息を吐くと苦笑いをしながら夏流の方へ向く。

「けどな。あいつの試練なんだ。これを乗り越えたらあいつは変わる。そして、七海への気持ちへの覚悟も決まると思うんだ。だから、ちゃんと見守ってやらねえと。」

夏流ガバッと燎の方を向くと燎も苦しそうだった。

「そう、だよね。僕たちが見守ってあげないと…」

「ちゃんと帰ってこれるのを待つのも、俺たちの仕事だよ。夏流。」

もう一度なでてあげると今度はにこやかな笑顔を向けた。

するとスタジオの戸がノックされる。

「はーい☆」

夏流が向かうとスタッフの一人だった。

「あの、ここのスタジオにお届けものなんですけど、どうしたらいいでしょうか?」

不思議そうにA4ぐらいの茶封筒を渡される。差出人は不明。

中に本が入っているようだった。

「なんだろ。ありがとう受け取っておくね。」

笑顔で受け取ると中へ戻り二人にも見せる。

二人はいかがわしそうに眉をひそめる。

「何だこれ…」

「とりあえず開けてみようか。」

周が封筒を開けると中には明日発売の週刊誌が入っていた。

「ま、まさか…」



夏流が週刊誌をめくっていくと最初のページに「人気バンドanfangボーカリストカナン熱愛報道!」と書かれており写真には七海の家へ入っていく香南、出迎える七海が写っていた。










「雅…さん?」

七海が不思議そうな顔をすると雅はガバッと腰を折る。

「七海ちゃんっごめん!!!」

「え?」

何に対して謝られているのか全く分からずさらに頭を悩ます。

すると後ろから双子がやってきた。

「あ、みやびさんだー」

「みやび、さん、」

双子が雅さんのもとへやってこようとするが七海が阻止する。雅の行動が尋常ではなかったからだ。

「あの、雅さん。」

「香南と七海ちゃんの写真が週刊誌に載せられた。」


「…え?」


七海には一瞬何を言われているかわからなかった。



「阻止しようと思ったけれどすでに印刷所に回ってしまった後で…本当にすまない。」

「…」

「とりあえず、七海ちゃんたちは数日分の衣服をまとめてくれるかな?多分ここも張られるだろうからしばらくの間ホテル住まいをして欲しい。もちろんお金はこちらが出す。」

「…」

「「ななちゃ?」」

双子が七海の袖を引っ張るとようやくハッと意識を戻す。

「あっ、すいま、せん」

七海が下を向く。

「いや、こちらが悪いんだ。ゆっくりでいいから。準備ができたら下に降りておいで」

雅に頭をなでられ頷くと上に向かう。

自分と双子の分。どれぐらいいなければならないのだろう。どれぐらい準備しなければならないのだろう。わからないまま無心で旅行鞄に詰めるだけ詰めた。

気づいたら涙が流れていた。しかし気付かないふりをする。



そう、雅に言われた時から聞こえていた。



終わりへのカウントダウンが鳴り続けているのを。










できた。




汗をぬぐう。作り始めて一週間。ようやく曲、歌詞が完成した。

香南はただただ昔の自分を思い出し思いついては書き、思いついては書いていた。

その間全く見ていなかった携帯。ようやく見れると戸棚を開ける。

すると携帯は8月30日を示しており着信履歴を示す光がピカピカと光っていた。

ネズミーランドまでになんとか完成したことに安堵するが携帯の着信履歴の数があまりに多く眉をひそめる。

携帯を見ると着信は雅、そしてメンバーでいっぱいだった。

不思議に思っていると雅から着信がありすぐさま通話ボタンを押す。

「もしもし」

『もしもし香南か!?良かった。ようやくつながった』

安心しているが急いだように喋ってくる。

『お前、家何ともないのか?』

家が何もないのかと言われてもいつものように静寂が漂っていた。

「別に、いつもと変わらないけど」

不思議に見渡しながらつぶやく。すると雅がいつもはしない舌打ちをした。

『ってことは、全部七海ちゃんところに集まってるんだな』

七海と言う単語が出てきてすぐさま香南が眉をひそめる。

「おい、どういうことだよ」

いつもよりも低い声に雅は少したじろぐが咳払いをすると真剣な声になる。

『いいか、落ち着いて聞けよ。実は―』





気づけば携帯を落としていた。






そして事の大きさにただただ呆然としていた。






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